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私の神様は若様

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「ご、誤解だよ。僕ら若様を迎えに来ただけだから!」

「そうよ!若様をずっとお探ししてたんだから。あんたこそ何よ!」

神様を庇う私と、女の後ろに隠れて、オドオドとこちらを伺う男。

「若様って?神様の事?」

「神様って?若様の事?」

「「「・・・・。」」」かぶった・・。

「・・神様知り合い?」

私の腰にがっしりしがみ付いて、ぶんぶんと首を横に振る神様。
あ、ちょっと涙目だ。

私は目の前の2人をギッと睨みつけた。
私の神様を怖がらせやがって、どうしてくれよう・・。

「そ、そりゃ面識はないけど。ホントに若様をお迎えに来ただけなんです。信じて下さいー。」

どうやら訳アリらしい。

「ねえ、この話長くなる?」

「え?ええまぁ、そうね。」

「こっちは授業中なの!本分は学生なんだから!逃げも隠れもしないから、休みの日に出直してきて。」

あっけにとられる2人。

「何この男前な女の子。カッコイイ。」

「は?蜘蛛彦?」

腰に回された神様の腕に一瞬ぐっと力がこもった。

「私の名前は、宮原 奈津です。で?そちら様は?」

「はい!はい!僕、蜘蛛彦、こっちは揚羽。青嵐様のお使い虫だよ。なっちゃんよろしくね!」

・・虫なんだ・・。

一段と神様の力が強くなった。
不思議に思って神様を見ると、射殺さんばかりの不機嫌な視線を蜘蛛彦達にむけている。
え?こんな神様初めて見た。

「神様、神様。大丈夫だから、お社帰って待ってて。」

神様の頭ごと、ぎゅうと抱きしめてなだめると、元のニコニコ顔になった。
よかった、いつもの神様だ。

今の流れの何が、神様の気に触ったんだろう?うーんわからん?
しばらく、よしよしと頭を撫でていたら満足したのか、すぅっと神様が消えた。
お社に戻ってくれた様だ。

改めてお使い虫さん達と約束を取り付けて、普通の駆け足で教室に戻る。

「あら遅い?」

「あの力は、神様事案限定なの!」
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