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魔女のお茶会

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「こんにちは金獅子殿。魔女殿はご在宅かな?」

姫が獅子のノッカーを使わず声をかけると、獅子の目がぱちりと開いた。

「ようこそ晶殿とそのお友達。主がお待ちですよ。」

おう、しゃべったよ。
後で聞いたのだが、あそこでノッカーを掴むと獅子様に噛みつかれるそうだ。
・・ノッカーの意味とは何ぞや・・。

扉を抜けた先は、窓の無い薄暗い図書の回廊だった。何階分の吹き抜けだろう?
冷やっこくて、乾いた静寂な空間。
姿は見えないけど、あちこちから視線と気配は感じるなぁ・・。

きょろきょろ見回しながら姫達の後を付いて進み回廊を抜けると中庭の様な、明るい場所に出た。
四方を2階建てのレンガ作りの建物に囲まれてる。
さっきの回廊と明らかにスケール感が違うけど、こーゆうのは気にしちゃいけないよね、なんせ魔女さんのお宅だから。

「美和ちゃんの順応性には、ほんとに感心するわ。」

環ちゃんが、無表情だが嬉しそうに頭を撫でてくれる。

「いらっしゃい。あぁ新しいお客様もいるのね。歓迎するわ。」

しゃなりと現れたのは、豹頭の細マッチョな獣人男性だった。
耳には繊細な作りのピアスをつけていて、耳がぴっと動く度にシャラシャラと涼やかな音が聞こえてくる。
綺麗な三つ揃えのスーツを着こなした英国紳士のいでたちだ。
ふぁぁぁ・・かっこいい・・。

「ふふ嬉しいわ、ありがとう。ブレアよ。よろしくね。さ、どうぞ。」

はっ!また心の声が漏れていた。

うわぁぁぁぁあぁぁん!ありがとうございますぅ!
本格的なアフタヌーンティーだぁ。
素敵!美味しそう!

「遠慮なく食べてね。いい茶葉が手に入ったの。香高くて心が踊るわよ。」

ブレアさん自ら紅茶を入れてくれた。
勿論水を注ぎ入れて、沸かす所からだ。
益々本格的。食器もカトラリーも品が良くて、紅茶ポットの保温用のニワトリ型のティーコジーも可愛い!
はわわ幸せ・・。
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