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放課後

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白蛇様こと白水君は、私の異世界飯談議に付き合ってくれる、貴重なお友達の一人となった。

彼は私と一緒で食いしん坊で、かなりの大食漢な事が判明。
大口あけて、ペロリと一飲みされるゆで卵(白水君持参のおやつ)・・蛇感にもすっかり慣れました。

もう一人は当然守山君。
腹ペコ二人の会話に、戸惑いながらも巻き込まれているのが常だ。

不思議な組み合わせだと周りから思われている事を、当の本人達は知らない。

「僕作るのも好きだから料理部なんだ。まぁしんどくて、時々しか参加してないし、参加する時は沢山食べて迷惑かけてるけど・・大丈夫だよって皆優しいから続けられてるよ。今日はシフォンケーキ作るんだー。上手くできたら美和ちゃんにおすそ分けするねぇ。」

ふんわり笑う白水君の儚い事。
エプロン姿に料理部の皆さんは、さぞ癒されてる事でしょう。
え?違う?割烹着派なんだ白水君。

うーん・・白水君の胃袋を満足させるには、どれだけの量のシフォンケーキを焼くんだろうか?
・・頑張れ料理部の皆さん。

ふわふわと楽しそうに去っていく白水君を見送り、美和も教室を後にした。

「こんにちは美和さん。」

昇降口に向かう背後から声を掛けられ、振り向いた廊下には、何時ぞやの若旦那の姿があった。
少し陰ってきた廊下に佇んで微笑む和装の美青年・・校内用の父兄サンダルがやけに似合って無くて違和感増し増しだ。

「・・こんにちは・・。」

この人、何で名前知ってるの?
流石の美和も不信感が顔に出た。

「あぁ失礼しました。先程お友達がそう呼んでいらっしゃったもので、つい。」

・・成程・・まぁそれは分かったけど、なんで校舎内に?父兄か何かかな?

「私こういう者です。」

手慣れた仕草で着物の袂から、名刺を取り出し美和に差し出す。
すいと距離を詰められた。

― 流刻堂りゅうこくどう ―

代表取締役 ながれ永遠とわ

と書かれていた。

「・・流刻堂って、和雑貨とか和カフェとか展開してる大手の会社ですよね?そこの社長さん?」

「えぇ、本日はこちらの茶道部の御茶菓子の打ち合わせに来てまして。帰る所、偶然見覚えのあるお嬢さんを見かけたものですから、お声掛けした次第です。」

「えーと流さ「永遠と。」・・。」

「我が社は親族経営もので流だらけなのですよ。ですから下の名前で、永遠と呼んで下さい。」
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