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初めてのお城
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王様に会いに行く当日。
渡された僕の衣装は黒。
ベトナムの女性が着るアオザイに似た形だ。
すらっと身長がないと映えない形なので、小さな僕では残念な感じになってる気がするね。
ロベリアは翡翠色、ラダさんは紺碧色なので、瞳の色にあわせるのが決まり事みたい。
だから僕の場合、真っ黒か。
二人の服は襟や袖口、裾などには銀糸で刺繍が施されている。
僕の服には、刺繍が金色で、全体にちりばめられている様なデザインになので、少し違うかな?
二人より刺繍がはるかに多い気が・・。
黒地に金、これまた自己主張の強い色の服だな、悪目立ちしそう。
「ロベリアは、今日は髪を結いあげているんですね。とても綺麗です。」
「男の私に綺麗はどうかと思いますが・・。お褒めにあずかり光栄ですよ。夜空も良く似合っています。ふふっ、金糸がまるで星の様です。私の見立てにくるいはありませんでした。」
そこでどうして、ラダさんが激しく同意しているんだろ。
ラダさんは相変わらず無表情だけど、僕を抱きしめようとソワソワしているのが丸わかりだ。
衣装に皺が出来るから我慢しなさいと、やんわりロベリアに窘められていた。
結局、転移陣に移動する頃には、腕抱っこされていたけどね。
初の王城か、ちょっと緊張してきた。
『大丈夫』
ラダさんに背中をポンポンとされる。
あ!すこーし、ほんのすこーしだけどラダさんが笑ったよ。
僕もロベリアもつられて、ほんわか笑顔になる。
「私たちと一緒です、何も心配はいりません。では、行きましょう。」
王城の転移陣は、石作りのずいぶんひんやりとした部屋の中央にあった。薄暗いし、地下なのかもしれない。
出入り出来る扉は一つきり。
部屋にはぐるりと騎士が取り囲んで並んでいる。
それもそうか、王様の部屋に直接転移なんて、防犯上だめだよね。
「忙しい中、毎回出迎えご苦労ですね、宰相殿・騎士団長殿。案内は不要なのだがね。」
ロベリア微笑んでいるけど、なんか黒い気がでてない?
「翠の賢者様、蒼の賢者様、ようこそ御出で下さいました。・・ロベリア様、これも形式美でございますよ。王の元までご案内致します。」
うわぁ、宰相さんロベリアに負けてない、黒い!
ラダさんがポンポンとまた僕をなだめるてくれる。
そんな様子をみて、宰相さんや他の騎士たちは、やっと僕の存在に気が付いた様だ。
「嘘だろ、黒だ・・・。」
どこか遠くの騎士がポツリつぶやいたのが聞こえた。
波紋のように、騒めいた雰囲気が周囲に広がっていく。
あぁ、黒持ちってこんな感じになるんだね。
「・・ご案内いたします。」
さすが宰相ともなれば、一瞬で気持を切り替えられるんだな、と妙に感心して、じっとみつめてしまった。
宰相さんと目があったけど、ふっとそらされてしまった。
王城は、艶やかで、きらびやかだった。
ラダさんにだっこされたまま、右に左に、きょろきょろと、好奇心を抑えられない。
「すごいね。豪華だね。」
ラダさんはそんな僕を見てご満悦だ。
相変わらず無表情だけど、僕も気持ちが読める様になってきたよ。
今も盛大に振られる犬の尻尾がみえる。
すれ違う人達に、ぎょっとされ、城中に動揺をまき散らしながら、謁見室に向かう。
あー僕のせいです。
本当にすいません。
移動中、ラダさんの肩越しに、騎士達と目があったので、ニコっと微笑んでおいた。
第一印象は大事。
ん?なんか、ちょっと違う雰囲気の動揺がはしってるみたいだけど、なんでかな?
渡された僕の衣装は黒。
ベトナムの女性が着るアオザイに似た形だ。
すらっと身長がないと映えない形なので、小さな僕では残念な感じになってる気がするね。
ロベリアは翡翠色、ラダさんは紺碧色なので、瞳の色にあわせるのが決まり事みたい。
だから僕の場合、真っ黒か。
二人の服は襟や袖口、裾などには銀糸で刺繍が施されている。
僕の服には、刺繍が金色で、全体にちりばめられている様なデザインになので、少し違うかな?
二人より刺繍がはるかに多い気が・・。
黒地に金、これまた自己主張の強い色の服だな、悪目立ちしそう。
「ロベリアは、今日は髪を結いあげているんですね。とても綺麗です。」
「男の私に綺麗はどうかと思いますが・・。お褒めにあずかり光栄ですよ。夜空も良く似合っています。ふふっ、金糸がまるで星の様です。私の見立てにくるいはありませんでした。」
そこでどうして、ラダさんが激しく同意しているんだろ。
ラダさんは相変わらず無表情だけど、僕を抱きしめようとソワソワしているのが丸わかりだ。
衣装に皺が出来るから我慢しなさいと、やんわりロベリアに窘められていた。
結局、転移陣に移動する頃には、腕抱っこされていたけどね。
初の王城か、ちょっと緊張してきた。
『大丈夫』
ラダさんに背中をポンポンとされる。
あ!すこーし、ほんのすこーしだけどラダさんが笑ったよ。
僕もロベリアもつられて、ほんわか笑顔になる。
「私たちと一緒です、何も心配はいりません。では、行きましょう。」
王城の転移陣は、石作りのずいぶんひんやりとした部屋の中央にあった。薄暗いし、地下なのかもしれない。
出入り出来る扉は一つきり。
部屋にはぐるりと騎士が取り囲んで並んでいる。
それもそうか、王様の部屋に直接転移なんて、防犯上だめだよね。
「忙しい中、毎回出迎えご苦労ですね、宰相殿・騎士団長殿。案内は不要なのだがね。」
ロベリア微笑んでいるけど、なんか黒い気がでてない?
「翠の賢者様、蒼の賢者様、ようこそ御出で下さいました。・・ロベリア様、これも形式美でございますよ。王の元までご案内致します。」
うわぁ、宰相さんロベリアに負けてない、黒い!
ラダさんがポンポンとまた僕をなだめるてくれる。
そんな様子をみて、宰相さんや他の騎士たちは、やっと僕の存在に気が付いた様だ。
「嘘だろ、黒だ・・・。」
どこか遠くの騎士がポツリつぶやいたのが聞こえた。
波紋のように、騒めいた雰囲気が周囲に広がっていく。
あぁ、黒持ちってこんな感じになるんだね。
「・・ご案内いたします。」
さすが宰相ともなれば、一瞬で気持を切り替えられるんだな、と妙に感心して、じっとみつめてしまった。
宰相さんと目があったけど、ふっとそらされてしまった。
王城は、艶やかで、きらびやかだった。
ラダさんにだっこされたまま、右に左に、きょろきょろと、好奇心を抑えられない。
「すごいね。豪華だね。」
ラダさんはそんな僕を見てご満悦だ。
相変わらず無表情だけど、僕も気持ちが読める様になってきたよ。
今も盛大に振られる犬の尻尾がみえる。
すれ違う人達に、ぎょっとされ、城中に動揺をまき散らしながら、謁見室に向かう。
あー僕のせいです。
本当にすいません。
移動中、ラダさんの肩越しに、騎士達と目があったので、ニコっと微笑んでおいた。
第一印象は大事。
ん?なんか、ちょっと違う雰囲気の動揺がはしってるみたいだけど、なんでかな?
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