18 / 21
18 本当の『忌子』
「僕にヘンリーという名前を付けたのは義父上で、僕は物心がつく前……もっと言えば、生まれたその場で、義父上に王城から貰われた。奪われたと言ってもいいかもしれないね。そもそも、王室で双子だなんて……本来ならばあってはならないからね。このことを知っているのは、もう、僕と、国王陛下だけ。王妃様も知らないよ、赤子を産んですぐの王妃様は、因習通りに『弟の僕』が殺されたと思っている」
「一体何故……何が、どうなってそんなことに? だって、ヘンリー様は……双子の、兄、なのでしょう?」
私はまだ頭が混乱から抜けきっていなかった。どうして、双子の兄であるはずのヘンリー様が辺境伯に引き取られ、その上、今となってはこの領は王都から煙たがられ、王都に入る事すら許されていないのか。
だけれど、その理由がこれならば納得がいく。そして、髪の色と、目の色が、全くそっくりなことにどうして私は気付かなかったのだろう。
ヨルング王太子殿下と、そっくり同じ髪と瞳。顔の造作はそこまで似ていないけれど、歳も同じ。
自分が例外だと思っていた。生きながらえたのは、自分が駒として使われるためだと。
「そもそも義父上は陛下の実の弟でね。大公の位も持ってはいたけれど、とびぬけた身体能力と身体強化の魔法で、僕らが生まれる前は結構な農作物や田舎の村や集落が被害に遭っていたこの国境近くの領主になる事を選んだ。辺境伯として、元は直轄地だったこの地を継いで、もともとは仲が良かった国王陛下の子供が生まれると聞いて王都に行った。――このグラスウェル領の安全を整え、隣国からの冒険者を積極的に受け入れて……この屋敷にひっそりと残されていた前に見せた治療記録。あれを見つけていたから、因習に対しては忌避感を持っていた。少しずつ、隣国の人間を受け容れることで、領民からも忌避感を取り除いて行っていた所だった。国全体は難しくとも、ってね」
ヘンリー様の人柄からも分かる。前代のグラスウェル辺境伯はきっと優しい人だったのだろう。優しくて、強くて、そして賢い人だ。
徒に真実を公表したところで国全体に長くに渡って染み付いた因習は取れはしない。だから、まずは手の届く範囲から、少しずつ訴えかけた。領民に、隣国にそんな因習は無いという話を自然に受け入れさせるために、隣国の人間を領の中に呼び込み、常識を少しずつ塗り替えようとした。
もしかして、隣国と仲が悪いということも、代々の国王陛下がそう国民に思い込ませていただけなのかと思ったが、今はヘンリー様の話に集中しなければ。
本来の目的である国内の安全のための魔物狩りというのもこなしながら……だから、このグラスウェル領では、領主の仕事は運営ではなく魔物狩りにあって、領を盛り上げるような催し物になっている。
隔月に一度の頻度で行われる収穫祭。祭りで、あれだけ領主が派手にやれば、領の運営が領主に任された代行者でも誰も文句は言わないだろう。
安全の確保として、魔物達にとっては定期的に現れる魔物にとっての脅威。それが、あの巨大な城壁だけでなく、魔物からこの領を守る礎になっている。
「そんな考えで兄の子が生まれる場に立ち合いにいったら、双子だった。そして、『兄である僕が小さい』赤子だった。目を離せば死んでしまいそうな、ね。だから、国王陛下は僕を下の子として殺そうとした。それを掻っ攫ったのが、僕の義父上だ。それからは陛下と義父上の仲は険悪になった。何せ、国王陛下の最悪の弱味を義父上は握ってしまったから」
「ただ……目の前で、赤子が殺されるのを、よしとしなかった、だけで……」
「そう、この国では殺して当たり前だからね。大体、双子の『下の子』だなんて、どっちがどっちなんだか訳がわからないでしょう?」
言われてみればその通りだ。二人産んだ、と母親に自覚はあったとしても、見た瞬間に先に生まれたのはどちら、というのはわかるはずがない。
因習自体に穴がありすぎる。本当に、最初は口減らしの為、そして、乗っ取った国の人心掌握の為の嘘が、こんな未来まで続いているとは当代の王にだって分からなかったことだろう。
「国王陛下は本当の歴史を知っている。たぶん、僕の弟……なんだっけ、ヨルングだったかな? も、知っている。でも、ヨルングは自分が『忌子』だとは知らない。国王陛下は義父上を辺境に縛り付けるお触れを出して、義父上はわざわざ国内が混乱する真似はしなかった。まずは、奪い取って助けた僕を生かして、育てる必要があったからね」
その先の話は、予想通りであり、やはり衝撃的でもあった。
隣国からの技術と医療の導入でグラスウェル領では肥立ちの悪い子を育てる技術と知識、清潔な上下水道の徹底、王都より進んだ医学があった。ヘンリー様のお義父様は、万が一の為に連れてきていた医者にこっそりヘンリー様の面倒を見させながら、領へ急ぎ帰った。そして、ヘンリー様が無事大きくなった後、真実を話して聞かせ、体を鍛えさせた。健康のためだったが、ヘンリー様もまた、人間離れした身体能力をやがて発揮したという。
そして、今。
「最初は何の冗談かと思ったよ。王都で、忌子が生き残っているなんて、って。最初っていうのは、グラスウェル領に、君の家の使用人や乳母だった人たちが何人か逃げて来た時。……殺されてしまった人もいるけれど、市井でちゃんと生活している。僕はその頃、10歳くらいだったかな……、それが、まさか、ねぇ? 僕と、義父上と、国王陛下しかしらない『王家の忌子』と婚約してるだなんて」
風の噂で聞いた時には驚いたよ、と言ったヘンリー様の顔は、なんとも言えない表情をしていた。
陛下はまだご健在で、どちらかといえば若い。お義父様が何故亡くなったのかは、今、口を差し挟む余裕はない。
だって、ヘンリー様の顔が、ゾッとする程美しく、そして恐ろしい微笑を浮かべていたから。
「誰でも考えることは一緒なんだと思った。人を減らすための口伝、なら、足りないならば別の嘘を吐けばいいと考えるのだと。僕はね、君の存在を知ってからずっと、君に思いを馳せていた。君が王妃になったら、と。そしたら……真実を少しずつ広めてもいいかもしれないと。何年という話じゃなく、何代もかけて、だけれどね」
私は、初めて真実の歴史を知った時のように乾いた口で少ない唾を飲み込んだ。緊張と、動悸と、目の前の美しい、形容し難い表情から目が離せない。
「だけど、君の姉が台無しにした。……僕は、一度王都に『忍び込んで』くるよ。君を王太子妃候補としてありがたがっていた王室も、駒として使おうとした公爵家も、君を罪人のように扱って僕の元に運んできた。僕はこの領で育ったから、あの時は本当はすごく、すごくびっくりしたんだ。因習を『現実』として目の当たりにしたのは初めてだったからね」
私は、おやめくださいとも、お願いしますとも言えなかった。何かヘンリー様の行動に、私が訴えかけることなどなく、する権利もなかった。
「メルクール、もう終わりにしよう。すぐには変わらないかもしれないけれど、僕は、最後通告をしに行ってくる。君という体現者を見て、僕は決めた。僕は、君を、愛している。愛しいと思う。この国で『忌子』とされる人たちだって、本来そういう未来があるし、あったはずだった。だから、……君のように忌子として『生きた』人間が、ちゃんと幸せになれるのだと確信したから、……ごめん、うまく言えないんだけれど」
「いいえ」
私は、首を横に振った。
「いいえ、ヘンリー様。私には、分かりました。……また、壁の前でお待ちしています。どうか、生きてお戻りくださるように」
掠れた声で必死に告げた言葉に、ヘンリー様はただただ優しいばかりに笑って首を傾げた。
「さて、あの大蛇程の強敵が王都にいるとは、僕には思えないんだけれどね」
「それも……そうですね」
茶目っ気たっぷりに告げたヘンリー様と少しだけ笑うと、私たちは真剣な目で見つめ合ってから、そっと抱きしめあった。
「……ご無事で」
「うん」
「一体何故……何が、どうなってそんなことに? だって、ヘンリー様は……双子の、兄、なのでしょう?」
私はまだ頭が混乱から抜けきっていなかった。どうして、双子の兄であるはずのヘンリー様が辺境伯に引き取られ、その上、今となってはこの領は王都から煙たがられ、王都に入る事すら許されていないのか。
だけれど、その理由がこれならば納得がいく。そして、髪の色と、目の色が、全くそっくりなことにどうして私は気付かなかったのだろう。
ヨルング王太子殿下と、そっくり同じ髪と瞳。顔の造作はそこまで似ていないけれど、歳も同じ。
自分が例外だと思っていた。生きながらえたのは、自分が駒として使われるためだと。
「そもそも義父上は陛下の実の弟でね。大公の位も持ってはいたけれど、とびぬけた身体能力と身体強化の魔法で、僕らが生まれる前は結構な農作物や田舎の村や集落が被害に遭っていたこの国境近くの領主になる事を選んだ。辺境伯として、元は直轄地だったこの地を継いで、もともとは仲が良かった国王陛下の子供が生まれると聞いて王都に行った。――このグラスウェル領の安全を整え、隣国からの冒険者を積極的に受け入れて……この屋敷にひっそりと残されていた前に見せた治療記録。あれを見つけていたから、因習に対しては忌避感を持っていた。少しずつ、隣国の人間を受け容れることで、領民からも忌避感を取り除いて行っていた所だった。国全体は難しくとも、ってね」
ヘンリー様の人柄からも分かる。前代のグラスウェル辺境伯はきっと優しい人だったのだろう。優しくて、強くて、そして賢い人だ。
徒に真実を公表したところで国全体に長くに渡って染み付いた因習は取れはしない。だから、まずは手の届く範囲から、少しずつ訴えかけた。領民に、隣国にそんな因習は無いという話を自然に受け入れさせるために、隣国の人間を領の中に呼び込み、常識を少しずつ塗り替えようとした。
もしかして、隣国と仲が悪いということも、代々の国王陛下がそう国民に思い込ませていただけなのかと思ったが、今はヘンリー様の話に集中しなければ。
本来の目的である国内の安全のための魔物狩りというのもこなしながら……だから、このグラスウェル領では、領主の仕事は運営ではなく魔物狩りにあって、領を盛り上げるような催し物になっている。
隔月に一度の頻度で行われる収穫祭。祭りで、あれだけ領主が派手にやれば、領の運営が領主に任された代行者でも誰も文句は言わないだろう。
安全の確保として、魔物達にとっては定期的に現れる魔物にとっての脅威。それが、あの巨大な城壁だけでなく、魔物からこの領を守る礎になっている。
「そんな考えで兄の子が生まれる場に立ち合いにいったら、双子だった。そして、『兄である僕が小さい』赤子だった。目を離せば死んでしまいそうな、ね。だから、国王陛下は僕を下の子として殺そうとした。それを掻っ攫ったのが、僕の義父上だ。それからは陛下と義父上の仲は険悪になった。何せ、国王陛下の最悪の弱味を義父上は握ってしまったから」
「ただ……目の前で、赤子が殺されるのを、よしとしなかった、だけで……」
「そう、この国では殺して当たり前だからね。大体、双子の『下の子』だなんて、どっちがどっちなんだか訳がわからないでしょう?」
言われてみればその通りだ。二人産んだ、と母親に自覚はあったとしても、見た瞬間に先に生まれたのはどちら、というのはわかるはずがない。
因習自体に穴がありすぎる。本当に、最初は口減らしの為、そして、乗っ取った国の人心掌握の為の嘘が、こんな未来まで続いているとは当代の王にだって分からなかったことだろう。
「国王陛下は本当の歴史を知っている。たぶん、僕の弟……なんだっけ、ヨルングだったかな? も、知っている。でも、ヨルングは自分が『忌子』だとは知らない。国王陛下は義父上を辺境に縛り付けるお触れを出して、義父上はわざわざ国内が混乱する真似はしなかった。まずは、奪い取って助けた僕を生かして、育てる必要があったからね」
その先の話は、予想通りであり、やはり衝撃的でもあった。
隣国からの技術と医療の導入でグラスウェル領では肥立ちの悪い子を育てる技術と知識、清潔な上下水道の徹底、王都より進んだ医学があった。ヘンリー様のお義父様は、万が一の為に連れてきていた医者にこっそりヘンリー様の面倒を見させながら、領へ急ぎ帰った。そして、ヘンリー様が無事大きくなった後、真実を話して聞かせ、体を鍛えさせた。健康のためだったが、ヘンリー様もまた、人間離れした身体能力をやがて発揮したという。
そして、今。
「最初は何の冗談かと思ったよ。王都で、忌子が生き残っているなんて、って。最初っていうのは、グラスウェル領に、君の家の使用人や乳母だった人たちが何人か逃げて来た時。……殺されてしまった人もいるけれど、市井でちゃんと生活している。僕はその頃、10歳くらいだったかな……、それが、まさか、ねぇ? 僕と、義父上と、国王陛下しかしらない『王家の忌子』と婚約してるだなんて」
風の噂で聞いた時には驚いたよ、と言ったヘンリー様の顔は、なんとも言えない表情をしていた。
陛下はまだご健在で、どちらかといえば若い。お義父様が何故亡くなったのかは、今、口を差し挟む余裕はない。
だって、ヘンリー様の顔が、ゾッとする程美しく、そして恐ろしい微笑を浮かべていたから。
「誰でも考えることは一緒なんだと思った。人を減らすための口伝、なら、足りないならば別の嘘を吐けばいいと考えるのだと。僕はね、君の存在を知ってからずっと、君に思いを馳せていた。君が王妃になったら、と。そしたら……真実を少しずつ広めてもいいかもしれないと。何年という話じゃなく、何代もかけて、だけれどね」
私は、初めて真実の歴史を知った時のように乾いた口で少ない唾を飲み込んだ。緊張と、動悸と、目の前の美しい、形容し難い表情から目が離せない。
「だけど、君の姉が台無しにした。……僕は、一度王都に『忍び込んで』くるよ。君を王太子妃候補としてありがたがっていた王室も、駒として使おうとした公爵家も、君を罪人のように扱って僕の元に運んできた。僕はこの領で育ったから、あの時は本当はすごく、すごくびっくりしたんだ。因習を『現実』として目の当たりにしたのは初めてだったからね」
私は、おやめくださいとも、お願いしますとも言えなかった。何かヘンリー様の行動に、私が訴えかけることなどなく、する権利もなかった。
「メルクール、もう終わりにしよう。すぐには変わらないかもしれないけれど、僕は、最後通告をしに行ってくる。君という体現者を見て、僕は決めた。僕は、君を、愛している。愛しいと思う。この国で『忌子』とされる人たちだって、本来そういう未来があるし、あったはずだった。だから、……君のように忌子として『生きた』人間が、ちゃんと幸せになれるのだと確信したから、……ごめん、うまく言えないんだけれど」
「いいえ」
私は、首を横に振った。
「いいえ、ヘンリー様。私には、分かりました。……また、壁の前でお待ちしています。どうか、生きてお戻りくださるように」
掠れた声で必死に告げた言葉に、ヘンリー様はただただ優しいばかりに笑って首を傾げた。
「さて、あの大蛇程の強敵が王都にいるとは、僕には思えないんだけれどね」
「それも……そうですね」
茶目っ気たっぷりに告げたヘンリー様と少しだけ笑うと、私たちは真剣な目で見つめ合ってから、そっと抱きしめあった。
「……ご無事で」
「うん」
あなたにおすすめの小説
地味で無能な聖女だと婚約破棄されました。でも本当は【超過浄化】スキル持ちだったので、辺境で騎士団長様と幸せになります。ざまぁはこれからです。
黒崎隼人
ファンタジー
聖女なのに力が弱い「偽物」と蔑まれ、婚約者の王子と妹に裏切られ、死の土地である「瘴気の辺境」へ追放されたリナ。しかし、そこで彼女の【浄化】スキルが、あらゆる穢れを消し去る伝説級の【超過浄化】だったことが判明する! その奇跡を隣国の最強騎士団長カイルに見出されたリナは、彼の溺愛に戸惑いながらも、荒れ地を楽園へと変えていく。一方、リナを捨てた王国は瘴気に沈み崩壊寸前。今さら元婚約者が土下座しに来ても、もう遅い! 不遇だった少女が本当の愛と居場所を見つける、爽快な逆転ラブファンタジー!
追放された悪役令嬢、規格外魔力でもふもふ聖獣を手懐け隣国の王子に溺愛される
黒崎隼人
ファンタジー
「ようやく、この息苦しい生活から解放される!」
無実の罪で婚約破棄され、国外追放を言い渡された公爵令嬢エレオノーラ。しかし彼女は、悲しむどころか心の中で歓喜の声をあげていた。完璧な淑女の仮面の下に隠していたのは、国一番と謳われた祖母譲りの規格外な魔力。追放先の「魔の森」で力を解放した彼女の周りには、伝説の聖獣グリフォンをはじめ、可愛いもふもふ達が次々と集まってきて……!?
自由気ままなスローライフを満喫する元悪役令嬢と、彼女のありのままの姿に惹かれた「氷の王子」。二人の出会いが、やがて二つの国の運命を大きく動かすことになる。
窮屈な世界から解き放たれた少女が、本当の自分と最高の幸せを見つける、溺愛と逆転の異世界ファンタジー、ここに開幕!
「何の取り柄もない姉より、妹をよこせ」と婚約破棄されましたが、妹を守るためなら私は「国一番の淑女」にでも這い上がってみせます
放浪人
恋愛
「何の取り柄もない姉はいらない。代わりに美しい妹をよこせ」
没落伯爵令嬢のアリアは、婚約者からそう告げられ、借金のカタに最愛の妹を奪われそうになる。 絶望の中、彼女が頼ったのは『氷の公爵』と恐れられる冷徹な男、クラウスだった。
「私の命、能力、生涯すべてを差し上げます。だから金を貸してください!」
妹を守るため、悪魔のような公爵と契約を結んだアリア。 彼女に課せられたのは、地獄のような淑女教育と、危険な陰謀が渦巻く社交界への潜入だった。 しかし、アリアは持ち前の『瞬間記憶能力』と『度胸』を武器に覚醒する。
自分を捨てた元婚約者を論破して地獄へ叩き落とし、意地悪なライバル令嬢を返り討ちにし、やがては国の危機さえも救う『国一番の淑女』へと駆け上がっていく!
一方、冷酷だと思われていた公爵は、泥の中でも強く咲くアリアの姿に心を奪われ――? 「お前がいない世界など不要だ」 契約から始まった関係が、やがて国中を巻き込む極上の溺愛へと変わる。
地味で無能と呼ばれた令嬢が、最強の旦那様と幸せを掴み取る、痛快・大逆転シンデレラストーリー!
実家も国も私を捨てたが、私を愛さないと国が滅びる。絶望する人々を特等席で眺め、冷徹な王子の腕の中で思考停止する。
唯崎りいち
恋愛
持参金がないという理由で家族と祖国から追放された私は、実はこの国を支える“加護”そのものだった。
私が去った瞬間、王都の結界は崩れ、国は崩壊へ向かい始める。
そんな私を拾ったのは、冷徹と噂される隣国の王子。
「やっと見つけた。お前は俺のものだ」
捨てられたはずの私は、気づけば滅びゆく祖国を背に、彼の腕の中で溺愛されていた。
婚約破棄されたので、隠していた聖女の力で聖樹を咲かせてみました
Megumi
恋愛
偽聖女と蔑まれ、婚約破棄されたイザベラ。
「お前は地味で、暗くて、何の取り柄もない」
元婚約者である王子はそう言い放った。
十年間、寡黙な令嬢を演じ続けた彼女。
その沈黙には、理由があった。
その夜、王都を照らす奇跡の光。
枯れた聖樹が満開に咲き誇り、人々は囁いた。
「真の聖女が目覚めた」と——
離婚と追放された悪役令嬢ですが、前世の農業知識で辺境の村を大改革!気づいた元夫が後悔の涙を流しても、隣国の王子様と幸せになります
黒崎隼人
ファンタジー
公爵令嬢リセラは、夫である王子ルドルフから突然の離婚を宣告される。理由は、異世界から現れた聖女セリーナへの愛。前世が農業大学の学生だった記憶を持つリセラは、ゲームのシナリオ通り悪役令嬢として処刑される運命を回避し、慰謝料として手に入れた辺境の荒れ地で第二の人生をスタートさせる!
前世の知識を活かした農業改革で、貧しい村はみるみる豊かに。美味しい作物と加工品は評判を呼び、やがて隣国の知的な王子アレクサンダーの目にも留まる。
「君の作る未来を、そばで見ていたい」――穏やかで誠実な彼に惹かれていくリセラ。
一方、リセラを捨てた元夫は彼女の成功を耳にし、後悔の念に駆られ始めるが……?
これは、捨てられた悪役令嬢が、農業で華麗に成り上がり、真実の愛と幸せを掴む、痛快サクセス・ラブストーリー!
追放された薬膳聖女は氷の公爵様を温めたい~胃袋を掴んだら呪いが解けて溺愛されました~
黒崎隼人
恋愛
冤罪で婚約破棄され、極寒の辺境へ追放された伯爵令嬢リリアナ。「氷の公爵」と恐れられる魔導師アレクセイの城に送られるが、そこで彼女を待っていたのは、呪いにより味覚を失い、孤独に震える公爵だった!?
「……なんだ、この温かさは」
前世の知識である【薬膳】で作った特製スープが、彼の凍りついた心と胃袋を溶かしていく!
料理の腕で公爵様を餌付けし、もふもふ聖獣も手なずけて、辺境スローライフを満喫していたら、いつの間にか公爵様からの溺愛が止まらない!?
一方、リリアナを追放した王都では作物が枯れ果て、元婚約者たちが破滅へと向かっていた――。
心も体も温まる、おいしい大逆転劇!
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。