11 / 22
11 私、いつの間にか王都まであと少しですわ
しおりを挟む
報奨金をいただき、乗り合い馬車で進む事1週間。やはり、自家用の馬車でないと様々な街に泊まる事になるので思うようには進めない。
しかし、徒歩よりはずっとマシだ。山賊も出ないし、ご飯も食べられる。狭くて硬いけれど清潔なベッドで眠れるし、そろそろ私の方が不潔で申し訳ないくらいになってきた。
生命神様の加護のおかげなのか、私の体は汚れがつきにくいようだ。正確には身体から出る老廃物という物がつきにくいというのだろうか。
身体の方は臭くない……と、思うのだけど、さすがに着の身着のままで服はだいぶ臭ってそうな気がする。はやく王都に……実家に帰らなければ。
シュヴァルツ殿下にお会いする前には一度ドレスを干して、風にあてて少しは臭いを飛ばした方がいいかな?
でも、落とされた時の格好で会いに行かないと、私の偽物だとか言われてしまうかもしれない。
さすがに崖から落ちたということは死んだということくらい、あの屋敷の家臣が進言しているはず。それならば、私の捜索より先に王都に戻って報告をしてるはずだ。だから私は一人で王都に戻ると決めたのだし。
加護を持っているかどうかは、神殿で神官様に診てもらうしか方法はない。私が加護持ちだとは、親も知らないことだ。私だって知らなかった。
何か特別なことがあった人が、それを確信するために神殿で診てもらう。わざわざ私は確認するほど特別なことはなかった。
崖から落ちても無傷、剣に斬りつけられても剣が折れ、暴行を加えようとした人の方が怪我をする。
うん、これは特別だ。ちゃんと神官様に認定してもらおう。
その後ろ盾と、私が私である証明をするため、汚いけれどこのままの姿で会いに行くしかない。
乗り合い馬車の距離は日に日に短くなる。王都が近くなるにつれて、街の数も増えてくるからだ。
シュヴァルツ殿下と私とで旅をした時は通り過ぎた街もいくつかあった。路銀はまだ残っているし、このまま王都まで乗り合い馬車と宿屋でご飯とベッドを借りて行けばなんとかなるだろう。
……シュヴァルツ殿下が、またほんの冗談のつもりで誰かを崖から落とさなければいいのだけれど。いえ、きっと他の家臣がそこは進言したはず。
普通、死にます、と。
ショックを受けていらっしゃらないかな……。私が死んだと聞いて一番ショックを受けるのは両親で、次はマリアンヌかな。ヴァイス殿下もお優しくしてくれていたから、悲しんでくれているかも。
でも、知らずに殺してしまったと知った殿下は今頃罪悪感で震えているかもしれない。
愛してる、さよなら。そうは言っていたけど、笑っていた。冗談のつもりだったんだろう。王子として育って、私より大事にされてきたのだから、仕方ないと言えば仕方ない。
だけど、なぜかしら。あの時の殿下の笑顔、どうしても忘れられない。
とっても無邪気で……とても醜かった。あの笑い方もいけない、とちゃんと言ってあげないと。
婚約破棄されたのに、私なんでこんなに元気なんだろう。シュヴァルツ殿下とは政略結婚だったからかな。
さよなら、と言われたからかもしれない。私はとても大事に思っているけれど、そう……、まるで弟のような。
連れ添うなら、冗談でも女性を崖から落とすような真似はしなくて、優しくて、仕事に実直で真面目な人がいい。愛してると言われても、シュヴァルツ殿下とは怖くて婚姻はどの道できない。
……ん? なぜか一瞬ヴァイス殿下のお顔が浮かんだ。なぜだろう。
とにかく明日も早くに馬車に乗らないと。おやすみなさい。
しかし、徒歩よりはずっとマシだ。山賊も出ないし、ご飯も食べられる。狭くて硬いけれど清潔なベッドで眠れるし、そろそろ私の方が不潔で申し訳ないくらいになってきた。
生命神様の加護のおかげなのか、私の体は汚れがつきにくいようだ。正確には身体から出る老廃物という物がつきにくいというのだろうか。
身体の方は臭くない……と、思うのだけど、さすがに着の身着のままで服はだいぶ臭ってそうな気がする。はやく王都に……実家に帰らなければ。
シュヴァルツ殿下にお会いする前には一度ドレスを干して、風にあてて少しは臭いを飛ばした方がいいかな?
でも、落とされた時の格好で会いに行かないと、私の偽物だとか言われてしまうかもしれない。
さすがに崖から落ちたということは死んだということくらい、あの屋敷の家臣が進言しているはず。それならば、私の捜索より先に王都に戻って報告をしてるはずだ。だから私は一人で王都に戻ると決めたのだし。
加護を持っているかどうかは、神殿で神官様に診てもらうしか方法はない。私が加護持ちだとは、親も知らないことだ。私だって知らなかった。
何か特別なことがあった人が、それを確信するために神殿で診てもらう。わざわざ私は確認するほど特別なことはなかった。
崖から落ちても無傷、剣に斬りつけられても剣が折れ、暴行を加えようとした人の方が怪我をする。
うん、これは特別だ。ちゃんと神官様に認定してもらおう。
その後ろ盾と、私が私である証明をするため、汚いけれどこのままの姿で会いに行くしかない。
乗り合い馬車の距離は日に日に短くなる。王都が近くなるにつれて、街の数も増えてくるからだ。
シュヴァルツ殿下と私とで旅をした時は通り過ぎた街もいくつかあった。路銀はまだ残っているし、このまま王都まで乗り合い馬車と宿屋でご飯とベッドを借りて行けばなんとかなるだろう。
……シュヴァルツ殿下が、またほんの冗談のつもりで誰かを崖から落とさなければいいのだけれど。いえ、きっと他の家臣がそこは進言したはず。
普通、死にます、と。
ショックを受けていらっしゃらないかな……。私が死んだと聞いて一番ショックを受けるのは両親で、次はマリアンヌかな。ヴァイス殿下もお優しくしてくれていたから、悲しんでくれているかも。
でも、知らずに殺してしまったと知った殿下は今頃罪悪感で震えているかもしれない。
愛してる、さよなら。そうは言っていたけど、笑っていた。冗談のつもりだったんだろう。王子として育って、私より大事にされてきたのだから、仕方ないと言えば仕方ない。
だけど、なぜかしら。あの時の殿下の笑顔、どうしても忘れられない。
とっても無邪気で……とても醜かった。あの笑い方もいけない、とちゃんと言ってあげないと。
婚約破棄されたのに、私なんでこんなに元気なんだろう。シュヴァルツ殿下とは政略結婚だったからかな。
さよなら、と言われたからかもしれない。私はとても大事に思っているけれど、そう……、まるで弟のような。
連れ添うなら、冗談でも女性を崖から落とすような真似はしなくて、優しくて、仕事に実直で真面目な人がいい。愛してると言われても、シュヴァルツ殿下とは怖くて婚姻はどの道できない。
……ん? なぜか一瞬ヴァイス殿下のお顔が浮かんだ。なぜだろう。
とにかく明日も早くに馬車に乗らないと。おやすみなさい。
45
あなたにおすすめの小説
魔法のせいだから許して?
ましろ
恋愛
リーゼロッテの婚約者であるジークハルト王子の突然の心変わり。嫌悪を顕にした眼差し、口を開けば暴言、身に覚えの無い出来事までリーゼのせいにされる。リーゼは学園で孤立し、ジークハルトは美しい女性の手を取り愛おしそうに見つめながら愛を囁く。
どうしてこんなことに?それでもきっと今だけ……そう、自分に言い聞かせて耐えた。でも、そろそろ一年。もう終わらせたい、そう思っていたある日、リーゼは殿下に罵倒され頬を張られ怪我をした。
──もう無理。王妃様に頼み、なんとか婚約解消することができた。
しかしその後、彼の心変わりは魅了魔法のせいだと分かり……
魔法のせいなら許せる?
基本ご都合主義。ゆるゆる設定です。
『彼を解放して!』とおっしゃいましたが、何から解放されたいのですか?
シエル
恋愛
「彼を解放してください!」
友人たちと教室に戻ろうとしていると、突如、知らない令嬢に呼び止められました。
「どなたかしら?」
なぜ、先ほどから私が問いかける度に驚いているのでしょう?
まるで「え!?私のこと知らないの!?」と言わんばかりですけれど、知りませんよ?
どうやら、『彼』とは私の婚約者のことのようです。
「解放して」とおっしゃっいましたが、私の目には何かに囚われているようには見えないのですが?
※ 中世ヨーロッパモデルの架空の世界
※ ご都合主義です。
※ 誤字、脱字、文章がおかしい箇所は気付いた際に修正しております。
四の五の言わず離婚届にサインをしてくれません?
白雲八鈴
恋愛
アルディーラ公爵夫人であるミレーネは、他の人からみれば羨ましいと思える立場にいた。
王妹の母譲りの美人の顔立ち、公爵夫人として注目を集める立場、そして領地の運営は革命と言えるほど領地に潤いを与えていた。
だが、そんなミレーネの心の中にあるのは『早く離婚したい』だった。
順風満帆と言えるミレーネは何が不満なのか。その原因は何か。何故離婚できないのか。
そこから始まる物語である。
この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
婚約破棄された私は、処刑台へ送られるそうです
秋月乃衣
恋愛
ある日システィーナは婚約者であるイデオンの王子クロードから、王宮敷地内に存在する聖堂へと呼び出される。
そこで聖女への非道な行いを咎められ、婚約破棄を言い渡された挙句投獄されることとなる。
いわれの無い罪を否定する機会すら与えられず、寒く冷たい牢の中で断頭台に登るその時を待つシスティーナだったが──
他サイト様でも掲載しております。
婚約者が妹と結婚したいと言ってきたので、私は身を引こうと決めました
日下奈緒
恋愛
アーリンは皇太子・クリフと婚約をし幸せな生活をしていた。
だがある日、クリフが妹のセシリーと結婚したいと言ってきた。
もしかして、婚約破棄⁉
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる