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2 君、すっごく可愛くないね!
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「ペルセウス王国の第一王子、グラード・ペルセウス殿下だ。が、留学生であってもこの学園在学中の身分差は無いものとする校則は適応される。互いに名前で呼び合い、親睦を深めるように」
担任の紹介を受けて教団の横に立ったのは、私も目を剥く程の美形だった。
色合いは特別なものではない。髪は薄めの栗色で、瞳は濃い青。その目鼻立ちの整い方が尋常ではない。16歳にしては背も高く、姿勢も良く、浮かべる表情は穏やかな笑み。
誰しも好感を持つだろう。私がそうされたように、男女関係なくだ。
この時の私の心情としては。
(スケープゴートゲット! よっしゃ! 卒業まで人気をかっさらってくれ!)
だった。これだけでも、存在してくれるだけでも本当にありがたい。
チラッと教室を見回してみても、みんなが驚嘆と憧れの目で彼をみている。うんうん! これでこそ! ありがとうグラード様!
「ご紹介に預かりました、グラード・ペルセウスです。気軽にグラード、と呼んでください。2年生から卒業までの期間に、たくさんの方と親交を深められたらと思います」
そして彼は空いてる席……私の2つ後ろに座るべく通路を進み、自然と私と目が合った。
皆が注目している中で、私も別の意味で彼に注目していた。王子だけあって話し方も良いし発声もいい。表情も自然に柔らかく、歩く姿も完璧だ。粗野な所がない。という、チェックをしていた。この先のスケープゴートとしての彼は、目が合うその瞬間まで完璧だった。
何を思ったのか、グラード様は私の横で足を止め、見つめあったまま少しの間をおいて飛び切りの笑顔で言い放たれた。
「君、すっごく可愛くないね!」
一言。
たったその一言、満面の笑みで言われたその言葉に教室が凍りついた。
私は内心混乱していた。どう返していいのかとても迷ったのだ。今まで反対のことばかり言われ、内面や努力や結果を褒められたことが無かった。
見た目を貶されるという経験がなく、また、私は他のところを認められたかっただけなので、新鮮だしいっそ嬉しくもあったが、気を悪くされないように返答するのに、5秒程放心してしまった。
「えぇ、そうなんです。グラード様の慧眼はさすがですね、それに、グラード様ほどの見目であれば私は本当に道端の草です。目に留めて貰えただけで光栄ですわ」
私が答えた言葉は本心だ。笑顔でそう返されたグラード様は、そのまま私とにっこりと笑い合うと、何事も無かったかのように席についた。
そして、教室の誰もが、今のやりとりは幻聴と幻覚だと自ら強い意思で思い込み、休み時間にはグラード様を取り囲む輪ができていた。
昼休みにも私をランチに誘う人がいない! よっしゃ! 今日は一人で飯だ!
と、喜んだのも束の間。クラス中からの誘いを断ったグラード様が、一緒にランチに行かない? と誘ってきたのだ。
再び教室が固まる。が、私には分かってしまった。
グラード様、あなた、私の同類ですね?
担任の紹介を受けて教団の横に立ったのは、私も目を剥く程の美形だった。
色合いは特別なものではない。髪は薄めの栗色で、瞳は濃い青。その目鼻立ちの整い方が尋常ではない。16歳にしては背も高く、姿勢も良く、浮かべる表情は穏やかな笑み。
誰しも好感を持つだろう。私がそうされたように、男女関係なくだ。
この時の私の心情としては。
(スケープゴートゲット! よっしゃ! 卒業まで人気をかっさらってくれ!)
だった。これだけでも、存在してくれるだけでも本当にありがたい。
チラッと教室を見回してみても、みんなが驚嘆と憧れの目で彼をみている。うんうん! これでこそ! ありがとうグラード様!
「ご紹介に預かりました、グラード・ペルセウスです。気軽にグラード、と呼んでください。2年生から卒業までの期間に、たくさんの方と親交を深められたらと思います」
そして彼は空いてる席……私の2つ後ろに座るべく通路を進み、自然と私と目が合った。
皆が注目している中で、私も別の意味で彼に注目していた。王子だけあって話し方も良いし発声もいい。表情も自然に柔らかく、歩く姿も完璧だ。粗野な所がない。という、チェックをしていた。この先のスケープゴートとしての彼は、目が合うその瞬間まで完璧だった。
何を思ったのか、グラード様は私の横で足を止め、見つめあったまま少しの間をおいて飛び切りの笑顔で言い放たれた。
「君、すっごく可愛くないね!」
一言。
たったその一言、満面の笑みで言われたその言葉に教室が凍りついた。
私は内心混乱していた。どう返していいのかとても迷ったのだ。今まで反対のことばかり言われ、内面や努力や結果を褒められたことが無かった。
見た目を貶されるという経験がなく、また、私は他のところを認められたかっただけなので、新鮮だしいっそ嬉しくもあったが、気を悪くされないように返答するのに、5秒程放心してしまった。
「えぇ、そうなんです。グラード様の慧眼はさすがですね、それに、グラード様ほどの見目であれば私は本当に道端の草です。目に留めて貰えただけで光栄ですわ」
私が答えた言葉は本心だ。笑顔でそう返されたグラード様は、そのまま私とにっこりと笑い合うと、何事も無かったかのように席についた。
そして、教室の誰もが、今のやりとりは幻聴と幻覚だと自ら強い意思で思い込み、休み時間にはグラード様を取り囲む輪ができていた。
昼休みにも私をランチに誘う人がいない! よっしゃ! 今日は一人で飯だ!
と、喜んだのも束の間。クラス中からの誘いを断ったグラード様が、一緒にランチに行かない? と誘ってきたのだ。
再び教室が固まる。が、私には分かってしまった。
グラード様、あなた、私の同類ですね?
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