藤崎さんに告白したら藤崎くんに告白してた件

三宅スズ

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4.送り迎え!?

「お疲れ様でした~」

22時。

退勤カードを切って、バイト仲間達に挨拶を済まして、今日も何事もなく、無事にバイトが終わった。

あぁ、しかし疲れる……

夜時間帯のピーク時のレジ打ちに、レジ打ちが終われば、ペットボトル飲料や、お酒、お米などの重い物の補充に、手がキンキンに冷えてしまうアイスなどの補充。

本当に、スーパーのバイトは体力仕事だ。

今日は特に疲れたぞ……あぁ……たかだか電車で3駅とはいえ、家に帰るのめどくせぇ……

今の疲れきっている俺には、この3駅すらもめんどくさいと思ってしまう。

従業員出口から出て、帰ろうと思ったその時!!

見慣れない車が止まっていた。

なんだあの車? 見たことないな? しかもちょっと高そうな国産車。 今日は車で来てる従業員もいないはずだけど……

すると、車の運転席のドアが開いて人が出てくる……

「純、お疲れ様。」

イケメン藤崎登場。

ヤバいヤバい、俺は疲れすぎてるぞ……
車から藤崎が出てくる幻影を見てしまっている……
あぁ、早く帰って寝よ……明日も1限からだし……

と、きっと俺自身の見間違いだ!ということにして、足早に駅に向かおうとすると……

右手を掴まれた。

「幻影じゃないよ? 純が出てくるのずっと待ってたから。純、送っていくから、乗って?」

「はぁ!?!?!?」

どうやら見間違いじゃなかったらしい。
紛れもなく、俺の手を掴んできたのは、イケメン藤崎だ。
なんでこいつがいるの!?!?


「ま、待て待て! お前、藤崎さ、なんで待ってたんだよ!? てかその高そうな車はなんだ!? てか、車で颯爽と登場って、お前カッコよすぎんだろ!?」

いろいろツッコミたいことがあった。

「なんでって、純が疲れてると思ったし、車で家まで送ってあげようかなって。バイトが終わる時間もさっき教えてくれたじゃん? だから、ちょっと前から待ってたんだよね。ああ、この車は親から借りてきたやつね。さすがに俺の車じゃないよ(笑)」

「なるほど。それはそうだよな(笑) 待っててくれたんなら、家まで送ってもらおうかな!」

わけも分からず納得してしまった俺は、藤崎の車の助手席に乗り込む。

「純の家はさっき行ったし、もうナビも設定してあるから。それじゃ行こうか。」

「おいいいいいい!!!待て待て待て!?」

車に乗り込んでから我に帰った俺は、この状況のおかしさに気がつく。

「いや、あのさ!? なんで?なんでなん!?何が起きてんの!?」

「とりあえず行こっか。」

「行こっか。じゃねーよ!?!? なんでお前が送ってくれる流れになってんのよ!?」

「ええ、さっき説明したじゃん。もう、純さ、何回も同じこと聞く男は好かれないよ?」

「あぁ、そうなんだ……じゃあこれ以上は聞かないでおこ……じゃねーよ!?!? この状況がおかしいから聞いてるんですよぉ!?」

「恋人の仕事終わりに迎えに行って、家まで送ってあげる。うーん、そんなにおかしいかな?」

「あー絶対おかしいな!!!なぜなら恋人じゃないしな!?」

「まだそんなこと言ってるんだ。とにかく行くよ。あとこれ、午前の紅茶ミルクティー、買っておいたから、飲んで。」

「うわぁお前、俺が今一番飲みたいものまで用意しやがって……!?」

俺の心からの叫びも虚しく、車は俺の家へと向かい、出発してしまったのであった。

「おい藤崎!! 俺はいろいろと納得はしてないからな!! まぁ、家まで送ってくれるのはありがたいけど…で、でもな、勘違いするなよ! 恋人じゃねーぞ!?」

「次の信号って左折した方が早かったりする?」

「あ、そうそう! 次左折して、その後ちょっと狭い道入ってくれた方が近道だね~」

「オッケイ。道案内は任せたよ。」

「おう! っておいちょっと待て!!? 俺の話を聞けええええ!!?」

そうこうしているうちに、あっという間に家の前に着いてしまった。
ああ、楽だった。じゃなくて!?

「じゃあ、純、また明日大学ね。」

「いやいやいや、俺あれだぞ、送ってくれなんて頼んでないからな!?」

「うん。俺が送りたいと思ったから、送っただけだよ。」

「あっ、そこはちゃんと分かってるのな……で、でもあれだぞ、恋人だとかなんだとか、それはぜんぜん納得してないからな!?」

「そうか……じゃあこれでも?」

イケメン藤崎は、シートベルトを取り、助手席に座っている俺の方へ身体を寄せてきた。

そこからは一瞬の出来事だった。

藤崎はそのまま俺に顔を近づけてきて、唇を俺の唇へとソフトタッチ。

ま た キ ス さ れ て し ま っ た


「んん!?」

「キスは恋人としかしないよね? じゃあまた明日ね、純。」

ふざけるな、何してんだ、なんでキスするんだ。怒りなのか、否定なのか、俺の頭の中には様々なワードが思い浮かぶが、なぜか俺はそれを口に出すことが出来ず、そのまま車を降りてしまった。

そして、車は行ってしまった。

部屋に入ってからも、なんだかまだポワポワしているような感覚だ。

それよりも何よりも、俺は二回も男からキスをされてしまった。この事実が凄く嫌なはずなのだが、上手く言葉に出来ない。嫌なことは嫌なのだが、どうにも、イケメン藤崎は本当に俺のことが好きなのだと、それについても、やっと理解した。

はぁ~、一体あいつはなんなんだ……

ため息と独り言が混ざったような言葉に、自分自身でもどうしたらいいのか分からなくなっていた。

風呂入って、寝よう……飯を食う気にならないわ……

------------

翌日。

大学の1限の講義室。


俺は警戒していた。何をって、そんなの決まってる、イケメン藤崎が講義室で朝一から俺を待ってたりするんじゃないかと!!

しかし、どうやらその様子は無さそうで...

ホッと一息ついていたら……

「鈴原くん、隣座ってもいい~?」

「あっ、藤崎さん! おはよう、うん、大丈夫だよ。」

「やった! じゃあお言葉に甘えて!」

隣に座ってきたのは、藤崎葵(ふじさきあおい)だ。

そう、元を言えば、俺はこの藤崎葵にLINEで告白をしたつもりだったのだ。

それなのに、なぜか今、俺はイケメン藤崎に追い回されている羽目に……(涙)(涙)

「鈴原くん、この講義難しいと思わない? 回が進むにつれてぜんぜん分からなくなってきたよ~(>.<)」

「うん、そうだね。」

空返事になりながら、俺はただ、藤崎葵を見ていた。

あぁ、やっぱり可愛い。鼻先に伝わってくるかすかな甘い香り。シャンプーとかの匂いなのだろうか。いい匂いだ……
やっぱり、藤崎さんは可愛い女子だ……
ああ、付き合えたりしないだろうか……

「鈴原くん? 聞いてる?」

「あっ、ごめんごめん、うん難しいよね。でも、分からないことがあったらぜんぜん聞いて。俺はそこそこ理解してるつもり!」

「え~、助かる~(>.<) じゃあ、テスト前は鈴原くんにいろいろ助けてもらおっと♪」


あぁ、やっぱり可愛い。付き合いたい!!

90分の講義が終わり、2限は空きのため、俺は溜まってるレポートをやろうと思い、図書館に行くことに。

「鈴原くんも2限空きなの? じゃあ、一緒に図書館でレポートやろうよ!」

「えっ…! うん、も、もちろんいいよ、藤崎さんがいいなら、むしろ、その……一緒にやればレポートも捗るというか……」

「決まり!じゃ、行こっ!」

やはり神様は見てくれている。
神様ありがとう。
藤崎さんと一緒にレポートが出来るなんて、なんというご褒美だ。
俺はこの時間を噛みしめるぞ……!

ウキウキになりながら、俺は藤崎と一緒に講義室から図書館へ向かおうと思ったその矢先……!!!

あ い つ の 姿 が 見 え た。


講義室の外で出待ちしていた。

イケメン藤崎…………

やっぱり来たか…………


「純、1限の講義お疲れ様。2限は空きだよね? 一緒にレポートやろうよ。」


さて、俺はどうしたらいいのか……


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