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08冒険者シリウス
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リティア達4人は顔を見合せて頷いた。闇夜の吊るされている間に感じていた、震えが止まらない程の恐怖も、余裕の態度と表情の「彼」のおかげで、すっかり平常心に戻っていた。
「助けてくれてありがとう。改めてお礼を言うわ。私達はエリザ、ライラ、ナオミ、リティです。図々しいお願いだけど、ここを離れる前に少しだけお仕事を見させて貰ってもいい?」
「構わないが……。少し距離をとった方がいい。」リティア達4人を見て最後のリティアに視線を移した。
何かを感じとったのか大木からスルスルっと蔓が延びて、再び獲物を吊るそうとする異様な気配がした瞬間、彼は音もなく跳び上がり指揮棒でも振るかのようにソードをシュッと振りおろした。その後、長い脚で、切られてぐらりと傾いた樹を軽く蹴り倒した。
「早いっ……!」
倒れた大木を火炎の武器を使って焼く迄の時間の短いこと。名前を尋ねなくとも、もう彼が噂のS級ソロ冒険者「シリウス」だとその場に居た全員が判っていた。強さは言わずもがな、その容姿は、ギルドで見たイケメンその人だった。
涼しげな濃い青色の目許に、目を伏せた瞬間の長い睫毛。
黒髪はサラリとしていて汗ひとつかいていない。
薄い口唇は閉じていて少し冷たく感じるが、それさえ彼の強さを際立たせている。
背は高く肩幅も広いのに動きが俊敏でしなやかなところもゾクゾクする。
みんなうっとりと見惚れていたし、リティアもその洗練された動きにすっかり魅了されてしまっていた。リティアは、シリウスがソードを振りおろす前に、念のために彼の体力を増幅させたが、あまりにも呆気なく彼の仕事は終わった。
(体力増幅の必要はなかったかも。それにしてもすごい力ね。私のA級とS級の差ね……。ううん、彼の力はS S 級だわ。)
考え事をしているうちに、シリウスはあの大木をもあっさりと格納してしまった。どんな大物であってもコンパクトに格納する事ができるようだ。そんな事ができるならば、一度に沢山の魔獣を片付けて持ち帰る事ができるだろう。
「あの……、シリウスさんですよね?本当にありがとうございました。」
「お礼ならさっき言って貰ったよ。それに、こんな事になったのはギルドがよく精査しなかったせいだから。」
シリウスは、長旅の末に魔植物を片付けたとはとても見えない様子で返事をしながら跡始末をしていた。
「そろそろ出発した方がいい。俺も後から付いていくから。」
思わずみんな「エッ?」や「キャッ」という表情や言葉を発して浮かれてしまう。あのシリウスが後ろから付いて来るというのだ。
「それじゃあ、私達出発しますね。シリウスさん、よろしくお願いします!」
「あぁ、OK。」
また、最後にリティアはシリウスと目が合ったような気がしたが、噂のS級冒険者が後ろを守ってくれるというドキドキする出来事に興奮して勘違いをしたのだろうと、一人顔が赤くなった。
「助けてくれてありがとう。改めてお礼を言うわ。私達はエリザ、ライラ、ナオミ、リティです。図々しいお願いだけど、ここを離れる前に少しだけお仕事を見させて貰ってもいい?」
「構わないが……。少し距離をとった方がいい。」リティア達4人を見て最後のリティアに視線を移した。
何かを感じとったのか大木からスルスルっと蔓が延びて、再び獲物を吊るそうとする異様な気配がした瞬間、彼は音もなく跳び上がり指揮棒でも振るかのようにソードをシュッと振りおろした。その後、長い脚で、切られてぐらりと傾いた樹を軽く蹴り倒した。
「早いっ……!」
倒れた大木を火炎の武器を使って焼く迄の時間の短いこと。名前を尋ねなくとも、もう彼が噂のS級ソロ冒険者「シリウス」だとその場に居た全員が判っていた。強さは言わずもがな、その容姿は、ギルドで見たイケメンその人だった。
涼しげな濃い青色の目許に、目を伏せた瞬間の長い睫毛。
黒髪はサラリとしていて汗ひとつかいていない。
薄い口唇は閉じていて少し冷たく感じるが、それさえ彼の強さを際立たせている。
背は高く肩幅も広いのに動きが俊敏でしなやかなところもゾクゾクする。
みんなうっとりと見惚れていたし、リティアもその洗練された動きにすっかり魅了されてしまっていた。リティアは、シリウスがソードを振りおろす前に、念のために彼の体力を増幅させたが、あまりにも呆気なく彼の仕事は終わった。
(体力増幅の必要はなかったかも。それにしてもすごい力ね。私のA級とS級の差ね……。ううん、彼の力はS S 級だわ。)
考え事をしているうちに、シリウスはあの大木をもあっさりと格納してしまった。どんな大物であってもコンパクトに格納する事ができるようだ。そんな事ができるならば、一度に沢山の魔獣を片付けて持ち帰る事ができるだろう。
「あの……、シリウスさんですよね?本当にありがとうございました。」
「お礼ならさっき言って貰ったよ。それに、こんな事になったのはギルドがよく精査しなかったせいだから。」
シリウスは、長旅の末に魔植物を片付けたとはとても見えない様子で返事をしながら跡始末をしていた。
「そろそろ出発した方がいい。俺も後から付いていくから。」
思わずみんな「エッ?」や「キャッ」という表情や言葉を発して浮かれてしまう。あのシリウスが後ろから付いて来るというのだ。
「それじゃあ、私達出発しますね。シリウスさん、よろしくお願いします!」
「あぁ、OK。」
また、最後にリティアはシリウスと目が合ったような気がしたが、噂のS級冒険者が後ろを守ってくれるというドキドキする出来事に興奮して勘違いをしたのだろうと、一人顔が赤くなった。
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