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1・地味眼鏡女子、OLを目指す
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私、河合怜奈は小学5年から男性が苦手だ。いや、思えば小学1年生の頃だって既に嫌いだった。スカートをめくってきたり、何が面白いのか「◯んこ」とか馬鹿なことばかり言ってきたり。友達なら女子がいてくれれば十分だと思う。
中学生の頃は共学だった為、大きな眼鏡をかけて、髪を一本にまとめ、出来るだけ地味に過ごした。女子とは遊びたいので、二次元のイケメンや芸能界の話題にはそれなりに興味があったけど、実生活で男子と関わらなくても、一切困らなかった。
その後、女子高、女子大と進み、平和に過ごした。休みの日は友達と買い物に行ったり、映画やカラオケ、オンラインゲーム、読書と、彼などいなくても充実していた。
成績もまあいい方、後は就職活動だ!…という時期に来て、行き詰まった。全く、内定が貰えないのである。それまで順風満帆だった為、少し焦り始めた。
「普通にOLでいいのに…。なんで内定貰えないんだろう…。」
私は、ゼミの教授に相談した。すると。
「そんなの簡単よ?その日だけ眼鏡外して、ちゃんとメイクして、高いヒール履いて面接に行きなさい。」
「は?それで受かりますか?」
「大丈夫よー。」
早速、最後の一社へ言われた通りにして面接を受けた。…あっさり、内定を貰えた。なるほど、私は見た目で落とされていたらしい。能力があれば関係ないだろうと軽く考えていたが、同じ能力であれば、きちんと化粧をした大人の女性の方を採用するに決まっている。実は私は、背が低く、胸もあまりない幼児体型だ。ヒールを履けば何とかほっそりした女性に見えるが、すっぴんのペタンコ靴ではお子様みたいに思われたのだろう。まあ、就職浪人は避けられてホッとした。
そして、無事に入社の日を迎えた。受かってしまえばこっちのもの。伊達眼鏡に一本結びに戻して出勤した。はっきり言って、周りの新入社員に比べて私は地味だ。だけど、寿退社出来る訳でもないので、仕事を頑張るしかない。
同じ営業事務の2年先輩の島村さんに仕事を教えて貰い、午前中の業務を終えた。
「河合さん、お疲れ様。仕事の覚えもいいし早いから助かるわ。お昼休憩しましょう。」
「はいっ。」
「河合さんのその眼鏡、もしかしてプラスチック?」
「よくわかりますね。そうなんです。実は男性が苦手でして、このワンクッションがあると、結構大丈夫なんですよね。」
「あーそうなんだ?私でも、うちのイケメン課長とか営業の田所さんとか、眩し過ぎて直視できない時あるわ。」
「確かに二人とも、眼鏡越しでも、目を合わせるのはつらい程のイケメンぶりですよね。」
「そうね。課長は既婚者だし、二人とも鑑賞専用よね。」
「そうですね。」と笑いあった。
午後の業務も順調にこなし、なかなか上手くいきそうだと胸を撫で下ろした。今のところ、男性と近づくような機会もない。このまま、定年退職まで働けるかな~とつまらない想像までしてしまった。
私は、(末永くお世話になります!)と心の中で祈って帰宅した。
中学生の頃は共学だった為、大きな眼鏡をかけて、髪を一本にまとめ、出来るだけ地味に過ごした。女子とは遊びたいので、二次元のイケメンや芸能界の話題にはそれなりに興味があったけど、実生活で男子と関わらなくても、一切困らなかった。
その後、女子高、女子大と進み、平和に過ごした。休みの日は友達と買い物に行ったり、映画やカラオケ、オンラインゲーム、読書と、彼などいなくても充実していた。
成績もまあいい方、後は就職活動だ!…という時期に来て、行き詰まった。全く、内定が貰えないのである。それまで順風満帆だった為、少し焦り始めた。
「普通にOLでいいのに…。なんで内定貰えないんだろう…。」
私は、ゼミの教授に相談した。すると。
「そんなの簡単よ?その日だけ眼鏡外して、ちゃんとメイクして、高いヒール履いて面接に行きなさい。」
「は?それで受かりますか?」
「大丈夫よー。」
早速、最後の一社へ言われた通りにして面接を受けた。…あっさり、内定を貰えた。なるほど、私は見た目で落とされていたらしい。能力があれば関係ないだろうと軽く考えていたが、同じ能力であれば、きちんと化粧をした大人の女性の方を採用するに決まっている。実は私は、背が低く、胸もあまりない幼児体型だ。ヒールを履けば何とかほっそりした女性に見えるが、すっぴんのペタンコ靴ではお子様みたいに思われたのだろう。まあ、就職浪人は避けられてホッとした。
そして、無事に入社の日を迎えた。受かってしまえばこっちのもの。伊達眼鏡に一本結びに戻して出勤した。はっきり言って、周りの新入社員に比べて私は地味だ。だけど、寿退社出来る訳でもないので、仕事を頑張るしかない。
同じ営業事務の2年先輩の島村さんに仕事を教えて貰い、午前中の業務を終えた。
「河合さん、お疲れ様。仕事の覚えもいいし早いから助かるわ。お昼休憩しましょう。」
「はいっ。」
「河合さんのその眼鏡、もしかしてプラスチック?」
「よくわかりますね。そうなんです。実は男性が苦手でして、このワンクッションがあると、結構大丈夫なんですよね。」
「あーそうなんだ?私でも、うちのイケメン課長とか営業の田所さんとか、眩し過ぎて直視できない時あるわ。」
「確かに二人とも、眼鏡越しでも、目を合わせるのはつらい程のイケメンぶりですよね。」
「そうね。課長は既婚者だし、二人とも鑑賞専用よね。」
「そうですね。」と笑いあった。
午後の業務も順調にこなし、なかなか上手くいきそうだと胸を撫で下ろした。今のところ、男性と近づくような機会もない。このまま、定年退職まで働けるかな~とつまらない想像までしてしまった。
私は、(末永くお世話になります!)と心の中で祈って帰宅した。
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