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4・弟子になりました

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    実地に入る前に、この世界の魔力について教えてもらった。一口に魔術を扱える者と言っても、いろいろあるらしい。魔力の属性にも種類が色々ある上に、内面・事象・空間などを操るものなど、あげたらキリがないそうだ。その中で更に魔力の強い・弱いがあり、カイは魔術士の中でも多分もの凄い人だと思われる。
だって。
普通は、火の属性を持ち攻撃魔法を使う…、水の属性を持ち事象を扱う…、幻術を扱う…、召還・転移などの空間魔法を扱う…といった具合にそれぞれに専門分野があるのだそうだ。
それに対してカイは。
多分使えない魔術はないんじゃないかという程の沢山の魔術を扱う事が出来る。しかも、そのすべての魔力がとても強い。その為魔導士という、魔術士の最高位の指導者なのである。
(私がえらそうに言う事ではないが。)
つまり、本来なら、複数の属性を持つ凄い人を指導する立場にある、とても偉ーいお人なのである。

「師匠、僕はどんな魔術が使えるのですか?」
「俺は鑑定のスキルがあるから、発現していればわかるが、発現していないレナの場合はどうだろう…?」
カイは近づいてきて、おでこに手をかざした。
「ぼんやりだが、もしかしたら、回復・治癒力の魔法かも知れない。そうだとしたら、俺が持たない数少ない魔法の一つだな。」
凄い魔導士のカイだが、何故か回復・治癒の魔法は使えないのだそうだ。
「どうやったら使えるのですか?」
「まずは、魔力のチャージだが、人によって全然違う。俺は、何かを食べるとチャージされる。チャージが大変だったり、方法がわからないと、魔力が使えないから、苦労する人もいると聞くよな。」
「一生わからない場合もあるのですか?」
「どうだろう?チャージされた量の増減がわかるから、その時の行動を調べればわかるかもな。」
「僕は今チャージされているのですか?」
「とても僅かだな。日常的に沢山している事ではなさそうだ。」
ちょっとガッカリした。カイみたく食べるだけ簡単チャージが良かった…。

「でも、少しでもあるなら、今使う事は出来るのですか?」
「発動にも何パターンかある。言葉を発する者、イメージする者、道具を使う者、だな。ちなみに俺は思うだけで使える。」
「…師匠は楽に貯めて、楽にたくさんの魔法を使えるのですね…。何か、魔法を見せてくれませんか?」
「では簡単なものを。」
師匠は片手に葉っぱを持ち、ぱっと燃やした。
「わ!凄いです!師匠!」
「これを発動するのに、俺は心の中で燃えろとイメージする。」
「思うだけですもんね?」
「レナが回復・治癒だとすれば、実際に"治癒"と言うか、"触れる"か、もっと別の事か、だな。初心者は"言葉"による発動から試した方がいいだろうな。頭の中でイメージして、"治癒"と言葉に出してみる練習から行おう。」
「ふぅん…。難しそうです…。でも、頑張ってみます。」
「他にもまだまだ教えておきたい事が沢山あるんだが、俺も仕事に行かないと。時々長時間留守にする事もあるが、気をつけろよ。綺麗な顔や肌に傷がついたら困るからな。」
「師匠…!僕、気をつけます。行ってらっしゃい、」
「ああ、悪いな。行ってくる。」

(なんか新婚さんごっこみたいでいいな。私の事、子どもだと思ってるから身の危険もないし、空想の世界のようで楽しい!リアルではあり得ないけど、夢の中のつもりでなんだってできそう。)
私は、こっちの世界が面白くなりつつあった。
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