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5・師匠のお役にたてるでしょうか(前編)

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「師匠!お帰りなさぁい。」
「おう、ただいま。なんだかいい匂いがするな。」
「はい、僕、夕食を作りました。」
「あのお昼の一度でもう調理を覚えたのか?えらいな?」
…師匠…。私はホントは22歳の大人なんですぅ…うっうっうっ。
「僕、元の世界で、結構、お料理は頑張ってたんですよ。師匠、これはポトフっていう煮込み料理です。」
「そうか。旨そうだな。」
「師匠、一緒に食べましょう。他にも色々作ったので。」

・・・

「全部旨かった。驚いたな。食事は任せてもいいのか?」
「はいっ。こんな感じで良ければ僕にお任せください!」
「ああ、頼むな。週に一度、フランクという男が、野菜などの食材を届けに来る。次は4日後の朝だが、その時、必要な物があったら言えよ?」
「ちなみにフランクさんは何歳位の方なんですか?」
「50歳位だと思うが?娘も20歳を過ぎていたと思う。」
「なら良かったです。」若い男性は苦手だ。
「?そうか。少年なら市場へ買い出しも行けなくはないが、レナは肌が白く可愛い顔立ちだから、少女だとバレるとまずいからな。」

「でも何故女性は外へ出ないのですか?」
「元は魔力のある肌の白い女性だけを家に閉じ込めていたそうだ。それがやがて女性全部を出さないようになっていったらしい。今でも肌の白い女性は稀で狙われやすい。王宮でも欲しているから、大きくなって王家に嫁ぎたければ望めば叶うぞ?」
「嫌です!絶対お嫁にはいきません。他の人の所はイヤです。ずっとここに置いてください!お願いです、師匠…!」
「?そうか?それはいいが…。」
    カイが嬉しそうな顔をしているような気もしたが、2m近い身長のむさ苦しい(ムキムキ?)男に嫁ぐのは絶対ごめんだ、とんでもない!とつい焦りまくってしまった… 。何がなんでも僕が役に立つ必要な人間だとカイに思って貰わないと!!と必死にあれこれ思いをめぐらせた。

「ところで、師匠はどちらでお仕事しているのですか?」
「普段は王宮で仕事をしているが?」
「師匠がいない時は一人で魔法発動の練習をしてもいいですか?」
「くれぐれも無理はしないようにな?明日、魔道具を買ってくるから。」
「魔道具?」
「今はまだ、発動が何なのかわからないが、"言葉"の次は"魔道具"を試してみる必要はあるだろう?」
「はいっ。ありがとうございます。」
「じゃあ今日は疲れただろう。部屋は用意してあるから、ゆっくりお休み。」
「はい、お休みなさい。」

・・・

     あれから3日間、治癒・回復の魔法発動の訓練をしているのに、全く発動の気配がない。カイは気長にやればいいと言ってくれているのだが、せっかく弟子にしてもらったのに何だか申し訳ない。相変わらずチャージの方法もわからない。カイは、かなりの美形で凄い魔導士なのに、全く偉ぶることなくとても優しい。今まで接してきた男性と違い、何故か落ち着く。それでいて少しドキドキもしたりする。出来る事ならずっとここに置いてもらいたい位居心地がいい。元の世界の社畜人生より楽しい位だ。
    明日はフランクさんが食材を届けてくれる日だ。せめてカイに美味しいお料理を作ってあげたい。フランクさんにいろんな食材を持ってきて貰おう!とそんな想像で心が踊った。
    
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