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いざ人里へ

32.素朴な疑問

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「にしてもさ妖精の国くっそ綺麗じゃなかった?」

「それな」

老木の洞を通れば幻想的な空間が広がり、妖精達が淡く光る姿が無数の蛍が飛び交ってるように見えて思い出すだけでウットリと悦に浸り異世界最高と炯が惚けていれば零がペチンと叩いて目を覚まさせてくれた。

「後思ったけどさ、精霊王って男性なのかな...女性?」

零に叩かれてふと思い出したので質問を投げかければ余り零は興味を示す顔ではなかった。

「???どっちでもいいんじゃない?」

炯の質問の意図が読めず、頭を傾げて精霊王の顔をぼんやりと思い出すが、整った顔立ちで丁寧な口調...どこぞの全身黒タイツより余程神らしい雰囲気だなと思った程度だ。

「もしもさ、精霊王が男性であの喋り方だったらちょっとオネエぽくない?」

「ぶはっ!」

だが炯が精霊王をオネエぽい?と言うものだから耐えきれず吹き出してしまった。言われてみれば確かにと思いつつツボに入ったのか笑いが止まらない。

「え?大丈夫、零??いや、だってそう思わない?」

言い出しっぺの炯も自分で言っておきながらお腹を抱えて笑い苦しそうにしている。

「はぁ...はぁ...待って、お腹痛いw」


妖精の国を出てからというもの案内草の指す方向へ歩いて行けば人里まで着くというのだから2人はにぎやかに喋ってばかりであった。

「ねぇ、炯。」

「ん?どうしたん??」

炯は零の1m程後ろを歩いていたが、零に呼ばれれば聞き取りやすいよう慌てて隣へ駆け寄り同じ速度で歩き始めると零が続けて口を開いた。

「...次ゴブリンとか他の魔物に遭遇したらさ、どうする?」

間をあけ零が真面目な表情を浮かべて聞いてくるものだから炯も少し考えた。

「んー?戦うか、遠回りして避けるってこと?」

「そうそう」

「...2度も俺のせいで戦う羽目になっちゃったし、流石に今度は零が決めていいよ(ぶっちゃけどうでもいい)」

この異世界に転移してからというものの自分のせいでゴブリンとの戦闘が続き、汗をかいたり汚れても風呂は無く出来ても水浴び程度で軽い潔癖のある零にはかなり負担が掛かってるのではと思った。何より頭使うのは苦手なんだよなー

「うん...。装備揃ったし戦いたい気もするけど、元の運動神経がな...。1匹だったら戦って、複数匹居たら避けるってのはどう?」

考えるのを放棄してるな此奴...と零は思ったがそれを口には出さなかった。それより風呂!風呂!!奴隷!奴隷!!この2つで頭の中をほぼ占めていたからだ。1日入らないだけでも気持ち悪いのにここ数日水浴びを何回かしただけで服の着替えもない。今着てるこの装備も誰かの着用済み...正直考えただけで吐きそうだ。そんなこと言ってる場合じゃないから仕方ないが、出来る限り早く新しい装備も揃えたい。


「うん、それでいいと思うよ(考えるのめんどくせー)」

零の意見に反対する筈もなく後を着いていく炯はやっぱり金魚のフン...。

「よし、しゅっぱーつ」

「おー」

かくして元アラサーはゴブリン複数を避けながら先を急ぐのだった。

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神→変質者
精霊王→オネエ(?)
この先もどんどん濃いキャラ出していきたいです
(・ω・三・ω・)フンフン
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