男女比1:10。男子の立場が弱い学園で美少女たちをわからせるためにヒロインと手を組んで攻略を始めてみたんだけど…チョロいんなのはどうして?

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延長戦

第21話 バカンス! 

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「海に行くわよ」

「え?」

 あまりの突然の提案にポカンと口を開く。

 夏休みに入り、鹿波ちゃんと部屋でのんびりしていると告げられた言葉。

「もちろん、あの3人も誘ってよ」

「3人って、立夏ちゃんと美奈ちゃんと弥夕ちゃんだよね」

「ええ。それじゃあ行きましょうか」

「え、いつ?」

「——明後日よ」



 と、いうことで……当日。

「来たぞ、海!!」

 海パンに麦わら帽子、ビーチサンダルにサングラス。
 海を堪能するための装備は完璧!

 真夏の太陽が、じりじりと日差しを注ぎ、潮風が肌を心地よく撫でる。

 ザァザァという波の音に耳を澄ませなが景色を見渡す。

「うん、絶景!!」

 後ろにそびえ立つお高そうな建物は、九空家の所有する別荘で、僕らが泊まるところだ。

 プライベートビーチなので僕たちしか人はいない。

「遅れてごめんなさい、大晴」

「お、おぉ……!!」

 背後から声をかけられ、決して動揺を悟られぬよう、振り向く。

 が、思わず目を輝かせ、釘付けになる。

 バカンスの一番の目的といっても過言ではない——美少女の水着姿。

 4人それぞれが違った水着を着ている。

「大晴くん、どうかな……?」

「似合ってる!」

「大晴、アタシは?」

「似合ってる!」

「先輩、私はどうですか~?」

「似合ってる!」

「大晴、私はどうかしら?」

「似合ってる! みんな凄く似合ってるよ!!」

 水泳の時ほど、露出面積は小さくない、前世である普通の水着。

 だが、破壊力は抜群!
 こんな美少女たちの水着を独占できるなんて……これが、ハーレム。これぞハーレムの特権。

「ニヤニヤしてるわよ、大晴」

 耳元でボソッと鹿波ちゃんが囁く。

 ああ、胸が。布一枚に遮られたおっぱいが僕の二の腕に当たっている。

 これぞ幸せ、これぞおっぱい。

「先輩、早くあっちに行ってください」

 と、弥夕ちゃんは事前に広げていたビニールシートの方を指す。

「え、海に入るんじゃないの?」

「その前に——これ、ですよ」

 Gカップおっぱいの谷間から小瓶を取り出した。

「サンオイル? あ、僕が塗るんだね」

 貸して、と手を差し出すも渡してくれない。

 次に立夏ちゃんと美奈ちゃんが口を開く。

「私たちが大晴くんに塗ってあげるんですよ」

「塗り残しのないように、隅から隅までなぁ……」

 そう言って、2人はワキワキと手指を動す。

 女の子の色っぽい声を聞くのがサンオイルの醍醐味だというのに。
 男の僕がサンオイルを塗る価値があるのだろうか?

 とりあえず言われた通り、ビニールシートにうつ伏せになる。

「じゃあ塗るね~」

「はーい……冷たっ!」

 サンオイルを背中に垂らされてビクリと反応してしまう。

「ぬりぬり、ぬりぬり」

 今塗っているのは立夏ちゃんだ。
 彼女の手の平が滑るたびに、オイル特有の粘着質な音が耳にへばりつく。

 思ったよりも、くすぐったくなく、色っぽい声も出ない。

 あくまで肌を保護するという目的のもとに使用されている。

 ……ムッツリ脳を反省したくなった。

「んじゃ次はアタシな」

 と、美奈ちゃんにバトンタッチ。
 背中から脇腹にかけて指を滑らせていく。

 にちゃにちゃ、にちゃにちゃ

「ふむ……」

 先ほどから無視しているつもりだったが……手で撫でている時の、にちゃにちゃという水音が、どうにもいやらしい音にしか聞こえない。

 ここで僕は気づいてしまった。
 サンオイルは勃起むすことの戦いだと。

「ん? どした大晴」

「なんでもないよ」

 貞操逆転の女の子たちは性知識が乏しいと聞く。
 彼女たちもきっとそうなのだろう。
 例え、下半身にテントが張ってしまったとしても、何か隠している、と言って誤魔化す事ができる……はず。
 
 そもそも仰向けにならなければ、何とかごまかせるだろう。

 円周率を唱えながら、僕はサンオイル地獄に勝ったのだった。


 

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