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第一章 アーウェン幼少期
伯爵はもっと玩具を買い込む ①
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朝食が終わると、ラウドは約束した通りにアーウェンやエレノアが使う部屋で積み木遊びをした。
とはいえ、実際このような積み木で遊んだことなどほぼ無いのはアーウェンと同じで、ふたり揃ってエレノアの言うとおりに同じ色の同じ形の物を積み上げたり、三角に積み上げたり、並べたりと、三歳児が思うぐらいの遊びである。
「ふむ……形の違うものを積み上げると、家……?動物にもなるのか……ふぅむ……」
アーウェンもエレノアも付随する説明書を見ても字が読めない。
しかし丁寧な絵でカラフルな積み木を積み上げた完成図があるので、ラウドがひとつひとつ見ながら積んでいくと、アーウェンとエレノアも同じ色の同じ形の積み木を手に取る。
完成図より少し数を減らして考えながら造った家はやや小さめだったが、同じ形ができたふたりの子供は目を輝かせて、父が見ていた紙を覗き込んだ。
それが何なのか理解したのか、アーウェンは馬を作り、エレノアは積むのではなく並べて造る花が床にできると、それぞれ歓声を上げる。
「おお!なるほど……この玩具はこういうふうに遊ぶものなのか……なかなか奥が深い……」
「うきゃぁ~!」
「で、できました!父様!」
それぞれが思い思いに造っていたが、しばらくするとエレノアは図面通りに造るのに飽きて、ラリティスに絵本を読んでもらう。
しかしアーウェンは初めて遊ぶ積み木が色々な形に変わるのが気に入ったのか、飽きずに積んでは崩し、ひとつ残らず使って家が作れないか、どこまで積めば崩れてしまうか、崩れないようにするには土台をどうするかなど、次第に創造性と思考力を使い始めた。
「……なるほど。まずは体力を…と思ったが、こういった室内での遊びも、アーウェンには必要だったのだな」
ポトリと電池が切れるように床で眠り込んでしまったアーウェンをベッドに運んでそのままラリティスに預けると、ラウドは自室に戻って、後について入室したカラに話しかけた。
「そうですね。私がいた施設でも子供たちが外に出てはいけない時、ああやって積み木やダイス、トランプなどのカード遊びをして暇を潰していました」
「カード?子供なのに、賭け事まで教えていたのか?」
「え?いえいえ、違います!まあ……その日に出されるおやつを賭けることもありましたが、たいていは食事の際に並ぶ順番とか、湯を使う一番二番を決めるぐらいです。金を賭けることを覚えると、いい料理人や給仕にならないと考えていたみたいですが……実際は、心付けなどをもらってもその価値に気付かせないためだったのかもしれませんが」
思わず眉を顰めたターランド伯爵に向かってカラは苦笑しながら説明をする。
その顔はずいぶんと大人びていて──まだ十三歳という年齢を考えると、ラウドはズクッと胸を痛めた。
とはいえ、実際このような積み木で遊んだことなどほぼ無いのはアーウェンと同じで、ふたり揃ってエレノアの言うとおりに同じ色の同じ形の物を積み上げたり、三角に積み上げたり、並べたりと、三歳児が思うぐらいの遊びである。
「ふむ……形の違うものを積み上げると、家……?動物にもなるのか……ふぅむ……」
アーウェンもエレノアも付随する説明書を見ても字が読めない。
しかし丁寧な絵でカラフルな積み木を積み上げた完成図があるので、ラウドがひとつひとつ見ながら積んでいくと、アーウェンとエレノアも同じ色の同じ形の積み木を手に取る。
完成図より少し数を減らして考えながら造った家はやや小さめだったが、同じ形ができたふたりの子供は目を輝かせて、父が見ていた紙を覗き込んだ。
それが何なのか理解したのか、アーウェンは馬を作り、エレノアは積むのではなく並べて造る花が床にできると、それぞれ歓声を上げる。
「おお!なるほど……この玩具はこういうふうに遊ぶものなのか……なかなか奥が深い……」
「うきゃぁ~!」
「で、できました!父様!」
それぞれが思い思いに造っていたが、しばらくするとエレノアは図面通りに造るのに飽きて、ラリティスに絵本を読んでもらう。
しかしアーウェンは初めて遊ぶ積み木が色々な形に変わるのが気に入ったのか、飽きずに積んでは崩し、ひとつ残らず使って家が作れないか、どこまで積めば崩れてしまうか、崩れないようにするには土台をどうするかなど、次第に創造性と思考力を使い始めた。
「……なるほど。まずは体力を…と思ったが、こういった室内での遊びも、アーウェンには必要だったのだな」
ポトリと電池が切れるように床で眠り込んでしまったアーウェンをベッドに運んでそのままラリティスに預けると、ラウドは自室に戻って、後について入室したカラに話しかけた。
「そうですね。私がいた施設でも子供たちが外に出てはいけない時、ああやって積み木やダイス、トランプなどのカード遊びをして暇を潰していました」
「カード?子供なのに、賭け事まで教えていたのか?」
「え?いえいえ、違います!まあ……その日に出されるおやつを賭けることもありましたが、たいていは食事の際に並ぶ順番とか、湯を使う一番二番を決めるぐらいです。金を賭けることを覚えると、いい料理人や給仕にならないと考えていたみたいですが……実際は、心付けなどをもらってもその価値に気付かせないためだったのかもしれませんが」
思わず眉を顰めたターランド伯爵に向かってカラは苦笑しながら説明をする。
その顔はずいぶんと大人びていて──まだ十三歳という年齢を考えると、ラウドはズクッと胸を痛めた。
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