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第一章 アーウェン幼少期
料理人一家は恩返しをする ①
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合流地点に一番最初に着いたのは、チュラン・グラウエス家の荷馬車を含む警護第一団と野営担当だった。
「この後、大隊長たちがお着きになり、夕方までにはロフェナ殿と警護第二団が到着予定!野営はその先で行うが、まずは大隊長たちをお迎えするため、一時的に結界を展開!用意!」
あっという間に荷馬車を囲むように警護兵たちが馬を回し、『結界』を張ると、パージェが頭を抱えて蹲った。
「……うぅっ……な、何だい……こりゃぁ……」
「おっ、おいっ……?」
耳の奥がぼわんとする慣れない感覚に妻がよろけるのを、慌ててイシューが抱きかかえると、シェイラは慌てて腰に巻いていた調理用エプロンに差したままだったペティナイフを武器のように身構える。
「だっ、誰か!う、うちのやつがぁっ?!」
「うぅぅ……何……み、耳……痛い……」
「どうしました?魔力酔い?」
パッと荷馬車の幌の隙間を開けて、若い女性が顔を出した。
手には水の入った筒を持ち、サッとパージェに近付くと様子を見てくれる。
「……ああ、初めてだっけ?私は調理担当のニィザです。とりあえず水を飲んで……どうです?」
「あ、あ……何か……まだ、変だけど……さっき、よりは……」
「ちょっとね、結界を張ると、内側の空気圧っていうのが変わるらしいんですよ。見えない圧力鍋みたいなって言えばいいのかな?慣れれば別に普通になるんですけどね。しばらくあたしが一緒にいますから」
テキパキと母の介護をするその女性を見て、シェイラはポカンとその動きを見るだけである。
「あ~……えっと、娘さん?ミント水は作れるかしら?」
「ミ、ミント…と、レモンの入ったの……なら……」
羊肉を食べるのに口をサッパリさせたり、蜂蜜を入れた変わり紅茶にしたりと便利に使えるので、ミントレモン水は常備している。
氷屋から氷を買って冷たくもできるが、今は温いままだから、どちらかというと沸かした方が飲みやすい物だ。
「じゃぁ、それをコップに入れてもらえる?」
「で……でも……」
シェイラは躊躇ったが、重ねて促されてようやく水の入ったコップを差し出した。
「ありがとう。私はこれくらいしかできないけど……」
シュゥ…と音を立てて、受け取ったコップの外側に霜が付くのを見て、イシューとシェイラは気が抜けたように見つめる。
「つめたっ……あぁ……生き返る……」
パージェはぐったりしていた様子から、まさしく生き返った様子でごくごくと水を飲み干した。
ほぅっと一息をついたその顔を見たイシューとシェイラもまた安堵した笑顔になるのを見て、ニィザはそちらへ空になったコップを差し出した。
「この後、大隊長たちがお着きになり、夕方までにはロフェナ殿と警護第二団が到着予定!野営はその先で行うが、まずは大隊長たちをお迎えするため、一時的に結界を展開!用意!」
あっという間に荷馬車を囲むように警護兵たちが馬を回し、『結界』を張ると、パージェが頭を抱えて蹲った。
「……うぅっ……な、何だい……こりゃぁ……」
「おっ、おいっ……?」
耳の奥がぼわんとする慣れない感覚に妻がよろけるのを、慌ててイシューが抱きかかえると、シェイラは慌てて腰に巻いていた調理用エプロンに差したままだったペティナイフを武器のように身構える。
「だっ、誰か!う、うちのやつがぁっ?!」
「うぅぅ……何……み、耳……痛い……」
「どうしました?魔力酔い?」
パッと荷馬車の幌の隙間を開けて、若い女性が顔を出した。
手には水の入った筒を持ち、サッとパージェに近付くと様子を見てくれる。
「……ああ、初めてだっけ?私は調理担当のニィザです。とりあえず水を飲んで……どうです?」
「あ、あ……何か……まだ、変だけど……さっき、よりは……」
「ちょっとね、結界を張ると、内側の空気圧っていうのが変わるらしいんですよ。見えない圧力鍋みたいなって言えばいいのかな?慣れれば別に普通になるんですけどね。しばらくあたしが一緒にいますから」
テキパキと母の介護をするその女性を見て、シェイラはポカンとその動きを見るだけである。
「あ~……えっと、娘さん?ミント水は作れるかしら?」
「ミ、ミント…と、レモンの入ったの……なら……」
羊肉を食べるのに口をサッパリさせたり、蜂蜜を入れた変わり紅茶にしたりと便利に使えるので、ミントレモン水は常備している。
氷屋から氷を買って冷たくもできるが、今は温いままだから、どちらかというと沸かした方が飲みやすい物だ。
「じゃぁ、それをコップに入れてもらえる?」
「で……でも……」
シェイラは躊躇ったが、重ねて促されてようやく水の入ったコップを差し出した。
「ありがとう。私はこれくらいしかできないけど……」
シュゥ…と音を立てて、受け取ったコップの外側に霜が付くのを見て、イシューとシェイラは気が抜けたように見つめる。
「つめたっ……あぁ……生き返る……」
パージェはぐったりしていた様子から、まさしく生き返った様子でごくごくと水を飲み干した。
ほぅっと一息をついたその顔を見たイシューとシェイラもまた安堵した笑顔になるのを見て、ニィザはそちらへ空になったコップを差し出した。
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