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第一章 アーウェン幼少期
家庭教師は少年執事と和解する ②
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ロフェナの言葉のすべてがターランド伯爵の言葉ではないが、少なくとも家族をこの町に残していく必要はないらしいと判断し、クレファーはゆっくりと息を吐いた。
万が一ロフェナが「そうですね、そうしてください」と言ったとしたら、きっと妹だけでなく両親もこの町に残るという話にまで到達していたのである。
そうすればクレファー自身は領地にまで付いていくつもりであっても、いろいろと禍根が残ったかもしれない。
それより何より失念していたのは、ターランド伯爵が『店ごと』カブス料理を作れる料理人を買い入れたという事実である。
人身売買というわけではないけれど、少なくともターランド伯爵当主のラウドが両親の去就を決める立場にあるのは間違いなく、例えシェイラが後ろ盾もなくこの町に残っても両親を連れて行くと言えば娘を見捨てて従って付いていくしか恩を返す方はないのだ。
「だいたい後見人もなく、未成年のお嬢さんを旦那様が捨てていくと思いますか?それにあなたたちのご両親と妹さんの乗る馬車と、私たち当主に近い使用人たちはかなり離れて移動しています。これから先はあなたたち家族の問題でもありますが、私たちを保護するべき旦那様もまた今回の旅で問題が起こらないようにと配慮されています。今までも私ではありませんが、同行した使用人や騎士に客人が近付くと行ったことがなかったわけではなく、その時もきちんと対処されてきましたから、簡単に家族を見捨てないでください」
「……ありがとう、ございます……」
そう言ってクレファーは改めてロフェナに頭を下げた。
クレファーが両親や妹と約束させたのは、ターランド伯爵家と同行する上で見聞きしたことは、領地に着いても他言しないということである。
使用人もその家族もターランド伯爵家内で働くということはどんな機密を知るかわからず、それが主人たちを害する者に利用されることを防ぐためだ。
だからこそただの恋人関係にあり、まだ婚約者という立場ですらないからこそ、ロフェナとラリティスはほんのわずかな時間しか親しい雰囲気を出せない。
しかしそれでもいいと思うほど、お互いに想い合い、尊重し、そして仕事に誇りを持っている。
それを両親に守られ、責任のほとんどを負わずにきた妹には理解しがたいだろうと思ったが、それでもやはり言い聞かせずにはいられなかった。
むろんロフェナの恋人の名は伏せてではあるが──
「だからって!いつも一緒にいないのに、それでも恋人って言えるの?彼を幸せにできるの?」
「ロフェナ君が幸せになるかどうかは、お前が決めるんじゃない。彼自身が恋人を想うことで幸せだと知っているから、他の女性はいらないんだ。母さんがたとえ異国の地にいたとしても、父さんが浮気したりしないのと一緒だよ」
「そんなの……結婚してれば当然でしょ?!でもそんな、家族でもないのに……」
「じゃあ、そもそも家族どころか顔見知り程度のお前を、どうしてロフェナ君が愛すると?」
「そんなの……一緒にいたら、気持ちだって変わるかもしれないでしょ?!」
「……だったら、お前も交際を申し込んできた誰かと付き合ってみればよかったんだ。自分が変わるかもしれないと思って。それを拒否したお前が、他人から拒否されるのを許さないという道理は通らない」
あの言い方で妹が納得したかどうかはわからない。
わかってもらえないなら、ここで見捨てても仕方ないと思ってしまった。
だが年下とはいえ貴族の家に勤めているロフェナは今後もきちんと対処できると断言してきたことで、市井で差別を受けながらもやはり同じ平民として生きてきた自分とでは、責任や考え方そして経験してきたものが違い過ぎて、クレファーはそれ以上妹について思い煩うことは止めて、教えがいのある生徒に出会えたことに感謝して仕事に打ち込もうと改めて心に誓った。
万が一ロフェナが「そうですね、そうしてください」と言ったとしたら、きっと妹だけでなく両親もこの町に残るという話にまで到達していたのである。
そうすればクレファー自身は領地にまで付いていくつもりであっても、いろいろと禍根が残ったかもしれない。
それより何より失念していたのは、ターランド伯爵が『店ごと』カブス料理を作れる料理人を買い入れたという事実である。
人身売買というわけではないけれど、少なくともターランド伯爵当主のラウドが両親の去就を決める立場にあるのは間違いなく、例えシェイラが後ろ盾もなくこの町に残っても両親を連れて行くと言えば娘を見捨てて従って付いていくしか恩を返す方はないのだ。
「だいたい後見人もなく、未成年のお嬢さんを旦那様が捨てていくと思いますか?それにあなたたちのご両親と妹さんの乗る馬車と、私たち当主に近い使用人たちはかなり離れて移動しています。これから先はあなたたち家族の問題でもありますが、私たちを保護するべき旦那様もまた今回の旅で問題が起こらないようにと配慮されています。今までも私ではありませんが、同行した使用人や騎士に客人が近付くと行ったことがなかったわけではなく、その時もきちんと対処されてきましたから、簡単に家族を見捨てないでください」
「……ありがとう、ございます……」
そう言ってクレファーは改めてロフェナに頭を下げた。
クレファーが両親や妹と約束させたのは、ターランド伯爵家と同行する上で見聞きしたことは、領地に着いても他言しないということである。
使用人もその家族もターランド伯爵家内で働くということはどんな機密を知るかわからず、それが主人たちを害する者に利用されることを防ぐためだ。
だからこそただの恋人関係にあり、まだ婚約者という立場ですらないからこそ、ロフェナとラリティスはほんのわずかな時間しか親しい雰囲気を出せない。
しかしそれでもいいと思うほど、お互いに想い合い、尊重し、そして仕事に誇りを持っている。
それを両親に守られ、責任のほとんどを負わずにきた妹には理解しがたいだろうと思ったが、それでもやはり言い聞かせずにはいられなかった。
むろんロフェナの恋人の名は伏せてではあるが──
「だからって!いつも一緒にいないのに、それでも恋人って言えるの?彼を幸せにできるの?」
「ロフェナ君が幸せになるかどうかは、お前が決めるんじゃない。彼自身が恋人を想うことで幸せだと知っているから、他の女性はいらないんだ。母さんがたとえ異国の地にいたとしても、父さんが浮気したりしないのと一緒だよ」
「そんなの……結婚してれば当然でしょ?!でもそんな、家族でもないのに……」
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「そんなの……一緒にいたら、気持ちだって変わるかもしれないでしょ?!」
「……だったら、お前も交際を申し込んできた誰かと付き合ってみればよかったんだ。自分が変わるかもしれないと思って。それを拒否したお前が、他人から拒否されるのを許さないという道理は通らない」
あの言い方で妹が納得したかどうかはわからない。
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