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第二章 アーウェン少年期 領地編
少年兵は恐れる ③
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その夜はなかなか寝られなかった。
宿舎とはいえ兵たちに与えられた寝具は庶民が使う物よりも上等で、枕もシーツも布団もこんなにゴワゴワじゃない。
祖父の商売のおかげで使用人を雇う余裕があるおかげで、こうやってロエンの部屋も掃除されていたり、清潔な寝具や寝間着も用意してもらえていたが、貴族様が使っている日用品は洗剤でも違うようでもっと肌触りが良かったり匂いが良いのだとこんな時に気付いた。
だから、たぶん、そのせいだ。
祖父に殴られただけでなく、頭痛を感じて浅い眠りから時々目が覚めて寝返りを何度も打つ。
そのたびに胸がドキドキしたり、じっとりと汗をかいたりして、寝間着の肌触りがさらに悪くなった。
「気持ち悪ぃ……」
エブランに持たされたナップサックの中にはいつも宿舎で使っている寝間着がちゃんと入っており、ありがたく着替えさせてもらう。
ロエン自身はこれといった魔法や魔術を使えるわけではないので、着替えただけで肌がサラッとしたのは布に何か施されていたのかもしれない。
こんなのがあれば祖父も紹介で働く男衆も、いつでも清潔な服を着られるのに──と一瞬思ったが、宿舎で使っている服も寝具もすべてランドリーメイドと呼ばれる少女やおばさんたちがいるところに持って行って洗ってもらうのだ。
ずっと綺麗なままで使えるわけではないのかもしれないと思い直し、ロエンはさっきよりもずっと寝やすくなった気がする寝具の上にゴロリと寝直した。
──ねえ、あなたは何ともないの?
──うん。何ともないよ?どうにかならないとダメなのかな?
──ううん…そう……そうなら、嬉しい。
──そう?俺がどうもなってないのが嬉しいなら、俺も嬉しいな。
──ふふっ…あら!ねえ、あなた、この子笑ったわ!
──ああ、本当だ。この子の髪の毛、君だけ色だったら、もっと男前になったと思わないか?
──ううん。あなたと私の色が混じって、とっても可愛いわ。私みたいに……色じゃなくて、良かったのよ。
──ねえ、お願いよ?もう娘はいないの…だから、その子だけなのよ。
──俺にもこの子だけなんです。あなたたちには渡さない。
──なんて薄情な奴だ!どこの馬の骨ともわからないのに、娘と結婚させてやったのに!
──彼女は自分の意志で、俺を選びました。あなたたちに与えられたわけじゃない。
──ああ!どうしてそんなに冷たいことを言うの?赤ん坊なんて、あなたが育てられるわけがないでしょう?
──いいえ。彼女の遺言の通り、この子は連れて帰ります。俺の故郷に。
──絶対に渡さない!その子は私たちの物だ!
──連れて行くなんて言わないで!その子は置いて行って!!
──大丈夫…大丈夫だ……絶対に、お前は渡さない。お前の母みたいに、あの人たちにお前を利用することなんてさせない。
「う……うぅ……と、うさ……」
よく見えていなかったが、ぼんやりとした気持ち悪いモノがグニャグニャと近付いてこようとしたのから必死に守ってくれた人──ロエンは呟き、一粒涙を落とした。
宿舎とはいえ兵たちに与えられた寝具は庶民が使う物よりも上等で、枕もシーツも布団もこんなにゴワゴワじゃない。
祖父の商売のおかげで使用人を雇う余裕があるおかげで、こうやってロエンの部屋も掃除されていたり、清潔な寝具や寝間着も用意してもらえていたが、貴族様が使っている日用品は洗剤でも違うようでもっと肌触りが良かったり匂いが良いのだとこんな時に気付いた。
だから、たぶん、そのせいだ。
祖父に殴られただけでなく、頭痛を感じて浅い眠りから時々目が覚めて寝返りを何度も打つ。
そのたびに胸がドキドキしたり、じっとりと汗をかいたりして、寝間着の肌触りがさらに悪くなった。
「気持ち悪ぃ……」
エブランに持たされたナップサックの中にはいつも宿舎で使っている寝間着がちゃんと入っており、ありがたく着替えさせてもらう。
ロエン自身はこれといった魔法や魔術を使えるわけではないので、着替えただけで肌がサラッとしたのは布に何か施されていたのかもしれない。
こんなのがあれば祖父も紹介で働く男衆も、いつでも清潔な服を着られるのに──と一瞬思ったが、宿舎で使っている服も寝具もすべてランドリーメイドと呼ばれる少女やおばさんたちがいるところに持って行って洗ってもらうのだ。
ずっと綺麗なままで使えるわけではないのかもしれないと思い直し、ロエンはさっきよりもずっと寝やすくなった気がする寝具の上にゴロリと寝直した。
──ねえ、あなたは何ともないの?
──うん。何ともないよ?どうにかならないとダメなのかな?
──ううん…そう……そうなら、嬉しい。
──そう?俺がどうもなってないのが嬉しいなら、俺も嬉しいな。
──ふふっ…あら!ねえ、あなた、この子笑ったわ!
──ああ、本当だ。この子の髪の毛、君だけ色だったら、もっと男前になったと思わないか?
──ううん。あなたと私の色が混じって、とっても可愛いわ。私みたいに……色じゃなくて、良かったのよ。
──ねえ、お願いよ?もう娘はいないの…だから、その子だけなのよ。
──俺にもこの子だけなんです。あなたたちには渡さない。
──なんて薄情な奴だ!どこの馬の骨ともわからないのに、娘と結婚させてやったのに!
──彼女は自分の意志で、俺を選びました。あなたたちに与えられたわけじゃない。
──ああ!どうしてそんなに冷たいことを言うの?赤ん坊なんて、あなたが育てられるわけがないでしょう?
──いいえ。彼女の遺言の通り、この子は連れて帰ります。俺の故郷に。
──絶対に渡さない!その子は私たちの物だ!
──連れて行くなんて言わないで!その子は置いて行って!!
──大丈夫…大丈夫だ……絶対に、お前は渡さない。お前の母みたいに、あの人たちにお前を利用することなんてさせない。
「う……うぅ……と、うさ……」
よく見えていなかったが、ぼんやりとした気持ち悪いモノがグニャグニャと近付いてこようとしたのから必死に守ってくれた人──ロエンは呟き、一粒涙を落とした。
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