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連れてくる者。
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その他にも単独で旅立つ初心者冒険者にはあり得ないほどの荷物のわけは、暇を持て余したバルトロメイに大なり小なり助けられた町民が、それぞれのできる範囲や持てる物で持ち寄った『お礼』の数々だという。
バルトロメイを連れて行ってくれるという商人自体も当の本人も実はこのルーキーに助けられたのだが、それがやはり経験値にはならない類いのもので、『誤って足を痛めた馬に、余計に採取した薬草を使って治してくれた』のだが、おそらくそれは万能薬に最も近いと言われる霊草だったはずだ。
人どころか動物まで余さず癒してしまう霊草などめったに見つかるものではないが、この町の近辺にある森は霊泉があるらしくて時折りその群草が見つかる。
だがどこに生えるかは自然か神の気紛れで、必ずしも同じ所に発現するとは限らないのだが、バルトロメイはそのどこかも不明瞭な薬草や霊草を依頼より多く採取してきたため、運よく馬を殺処分しなくて済んだとその商人は感謝の意からバルトロメイを同行してくれるという話になったのだ。
「いやはや……それにしても、こんなに多くの人に感謝される冒険者さんなんて……長く商売をしていますが、まあ見たことのない光景ですわ」
「いや、俺もだよ……昔っから冒険者と商人は共存共栄、しかしながら虎視眈々と相手の隙と手違いを狙っているってぇのが相場だからな」
「まったくです。いや、しかし困ったものだな……」
エピルスと顔見知りの老獪な商人は膨れ上がる財産と同じぐらいに丸々と肥えた腹を軽く叩きながら、バルトロメイも困り顔の荷物を眺める。
しかしその問題を解決する方法はまだあり、冒険者ギルドマスターとして商人ギルドとひと悶着が日常茶飯事なエピルスとしてはあまり言いたくはなかったが、解決策が自らやってきてしまい、黙っていることはできなくなった。
「いやぁ~!あんたのおかげさんで、無事積み荷を木材所に届けられたよ!親方も感謝しててなぁ。ほら……ここの領主さんが何か都から別嬪さんを住まわせるんだと。噂じゃあ、あっちで産ませたお妾さんの子供だってぇ話だけど」
ヒヒヒッといやらしく笑う男は二頭引きの使い古した幌馬車を連れてきていた。
「こいつらはもう山ほどの木材を運べるほどの年じゃないから、もうそろそろツブそうかって話もあったんだが、あんたの旅の足ぐらいは勤められるよ。いらなくなったら売り払ってくれていいから、そのまま受け取ってくれってうちの親方から」
そう言いながら気立ての良さそうな馬の手綱を引いて荷馬車をバルトロメイの荷物の側に寄せる。
何をどうしたら運搬馬車を助けて、お返しが引退した使役馬と幌付きの馬車になるというのか──エピルスの脳裏に読めない文字のついた『幸運・対人運』というバルトロメイの冒険者記録が浮かんだ。
バルトロメイを連れて行ってくれるという商人自体も当の本人も実はこのルーキーに助けられたのだが、それがやはり経験値にはならない類いのもので、『誤って足を痛めた馬に、余計に採取した薬草を使って治してくれた』のだが、おそらくそれは万能薬に最も近いと言われる霊草だったはずだ。
人どころか動物まで余さず癒してしまう霊草などめったに見つかるものではないが、この町の近辺にある森は霊泉があるらしくて時折りその群草が見つかる。
だがどこに生えるかは自然か神の気紛れで、必ずしも同じ所に発現するとは限らないのだが、バルトロメイはそのどこかも不明瞭な薬草や霊草を依頼より多く採取してきたため、運よく馬を殺処分しなくて済んだとその商人は感謝の意からバルトロメイを同行してくれるという話になったのだ。
「いやはや……それにしても、こんなに多くの人に感謝される冒険者さんなんて……長く商売をしていますが、まあ見たことのない光景ですわ」
「いや、俺もだよ……昔っから冒険者と商人は共存共栄、しかしながら虎視眈々と相手の隙と手違いを狙っているってぇのが相場だからな」
「まったくです。いや、しかし困ったものだな……」
エピルスと顔見知りの老獪な商人は膨れ上がる財産と同じぐらいに丸々と肥えた腹を軽く叩きながら、バルトロメイも困り顔の荷物を眺める。
しかしその問題を解決する方法はまだあり、冒険者ギルドマスターとして商人ギルドとひと悶着が日常茶飯事なエピルスとしてはあまり言いたくはなかったが、解決策が自らやってきてしまい、黙っていることはできなくなった。
「いやぁ~!あんたのおかげさんで、無事積み荷を木材所に届けられたよ!親方も感謝しててなぁ。ほら……ここの領主さんが何か都から別嬪さんを住まわせるんだと。噂じゃあ、あっちで産ませたお妾さんの子供だってぇ話だけど」
ヒヒヒッといやらしく笑う男は二頭引きの使い古した幌馬車を連れてきていた。
「こいつらはもう山ほどの木材を運べるほどの年じゃないから、もうそろそろツブそうかって話もあったんだが、あんたの旅の足ぐらいは勤められるよ。いらなくなったら売り払ってくれていいから、そのまま受け取ってくれってうちの親方から」
そう言いながら気立ての良さそうな馬の手綱を引いて荷馬車をバルトロメイの荷物の側に寄せる。
何をどうしたら運搬馬車を助けて、お返しが引退した使役馬と幌付きの馬車になるというのか──エピルスの脳裏に読めない文字のついた『幸運・対人運』というバルトロメイの冒険者記録が浮かんだ。
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