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駆けつける者。
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だが思いがけない解決策を授けてくれたのも、また馬だった。
正確には精霊魔獣のエンだった。
「ど……どうしよう……」
たとえ動けずとも目が覚めれば水以外も飲みたいと思うかもしれないし、どうせならバルトロメイの荷馬車をこちらに持ってきてその中で寝かせる方がいい。
そして行方の分からないヤシャも探しに行きたいのだが。
そんなバルトロメイに向かって、エンが口に銜えた枝をバサリと落とす。
「あっ…ああ、ありがとう、エン」
確かに焚火も少し落ち着きかけてしまい、新しい枝が欲しいと思っていたところだった。
だからよく乾いているということぐらいしかバルトロメイは気にせず、そのままポンと火の中に放り込み──
ぼぅんっ!
とてつもない音と煙が一気に樹上まで立ち上った。
「っひゃぁああ!?」
森の、『家族』との暮らしでは、めったに大きな音などなかった。
それは『母』だけでなく、自然の力が使える『きょうだい』たちが、幼く儚い末っ子が心安く短い生涯を生きられるようにという配慮から、暴風雨や落雷による爆音を防いでくれていたためである。
師匠たちのもとで暮らすようになってからもバルトバーシュのそばにいれば安全で、テーブルを強く叩く音や石床に金属物を落として響く騒音に驚きそのまま気を失った出来事から、バルトロメイの周囲ではなるべく静かな環境を作るようにとほとんどの神官たちが気を回してくれた。
さすがに日々の中で立つ大きめの音までも遮るわけにはいかなかったし、バルトロメイ自身も徐々に慣れていったから気絶することはなかったが、驚き過ぎて腰が抜ける。
ペタリと地面に座り込んで立てずにいると、ガサガサと激しく周囲の茂みが動き──
「何だっ?!今の音っ!!無事かっ、バルトッ?!!」
飛び出してきたのは擦り傷と折れた小枝と葉をあちこちにつけたラジムだった。
バルトロメイに対して邪な考えを抱いていた者たちがいた場所は、バルトロメイの味方だらけになった。
ラジムに続いてやはり小枝と葉をくっつけて飛び出してきたのは、シェイジンが率いるドファーニ商団護衛後方組の冒険者たちである。
ポカンとしているバルトロメイのそばに、行方のわからなかったヤシャが褒めてと言わんばかりに頭を下げて顔を摺り寄せてきた。
「いやぁ……コイツが森から飛び出してきた時は驚いたが、そのままここまで先導してくるんだもんな。お前さん、コイツらにどんな調教してるんだよ……」
「えっと……」
呆れたようにシェイジンが首を振るが、バルトロメイ自身とてそんな覚えはない。
命令するどころか、エンとヤシャをダンジョンの前に置いてきているのだから。
「まあ、それはいい……が」
特に答えを期待していたわけでもないのか、シェイジンは瓦礫と化した岩山の方へ向きを変える。
「ギルドで聞いた『新しいダンジョン』ってのはここで間違いないな……この有様だと、出来きる前に誰かがダンジョンマスターを倒しちまった…みたいだが」
「ダンジョン…マスター……」
キョトンとバルトロメイは首を傾げるが、さすがにここで何があったかシェイジンは問い質さずにはいられない。
「お前、ここに洞窟みたいなのがあったと思うが、何があった?」
正確には精霊魔獣のエンだった。
「ど……どうしよう……」
たとえ動けずとも目が覚めれば水以外も飲みたいと思うかもしれないし、どうせならバルトロメイの荷馬車をこちらに持ってきてその中で寝かせる方がいい。
そして行方の分からないヤシャも探しに行きたいのだが。
そんなバルトロメイに向かって、エンが口に銜えた枝をバサリと落とす。
「あっ…ああ、ありがとう、エン」
確かに焚火も少し落ち着きかけてしまい、新しい枝が欲しいと思っていたところだった。
だからよく乾いているということぐらいしかバルトロメイは気にせず、そのままポンと火の中に放り込み──
ぼぅんっ!
とてつもない音と煙が一気に樹上まで立ち上った。
「っひゃぁああ!?」
森の、『家族』との暮らしでは、めったに大きな音などなかった。
それは『母』だけでなく、自然の力が使える『きょうだい』たちが、幼く儚い末っ子が心安く短い生涯を生きられるようにという配慮から、暴風雨や落雷による爆音を防いでくれていたためである。
師匠たちのもとで暮らすようになってからもバルトバーシュのそばにいれば安全で、テーブルを強く叩く音や石床に金属物を落として響く騒音に驚きそのまま気を失った出来事から、バルトロメイの周囲ではなるべく静かな環境を作るようにとほとんどの神官たちが気を回してくれた。
さすがに日々の中で立つ大きめの音までも遮るわけにはいかなかったし、バルトロメイ自身も徐々に慣れていったから気絶することはなかったが、驚き過ぎて腰が抜ける。
ペタリと地面に座り込んで立てずにいると、ガサガサと激しく周囲の茂みが動き──
「何だっ?!今の音っ!!無事かっ、バルトッ?!!」
飛び出してきたのは擦り傷と折れた小枝と葉をあちこちにつけたラジムだった。
バルトロメイに対して邪な考えを抱いていた者たちがいた場所は、バルトロメイの味方だらけになった。
ラジムに続いてやはり小枝と葉をくっつけて飛び出してきたのは、シェイジンが率いるドファーニ商団護衛後方組の冒険者たちである。
ポカンとしているバルトロメイのそばに、行方のわからなかったヤシャが褒めてと言わんばかりに頭を下げて顔を摺り寄せてきた。
「いやぁ……コイツが森から飛び出してきた時は驚いたが、そのままここまで先導してくるんだもんな。お前さん、コイツらにどんな調教してるんだよ……」
「えっと……」
呆れたようにシェイジンが首を振るが、バルトロメイ自身とてそんな覚えはない。
命令するどころか、エンとヤシャをダンジョンの前に置いてきているのだから。
「まあ、それはいい……が」
特に答えを期待していたわけでもないのか、シェイジンは瓦礫と化した岩山の方へ向きを変える。
「ギルドで聞いた『新しいダンジョン』ってのはここで間違いないな……この有様だと、出来きる前に誰かがダンジョンマスターを倒しちまった…みたいだが」
「ダンジョン…マスター……」
キョトンとバルトロメイは首を傾げるが、さすがにここで何があったかシェイジンは問い質さずにはいられない。
「お前、ここに洞窟みたいなのがあったと思うが、何があった?」
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