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事情を訊く者。
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そこでようやくバルトロメイは、離れた場所に寝かせている男の存在とひと固まりとしか見えなかった岩にダンジョンと思われる広い入り口が開いており、その奥に進んでみた結果を話すことができた。
石と土でできた通路
どこまでも続くかと思われたその奥の部屋
巨大な花
その葉や根に絡み取られ、ミイラの如く皮と骨だけになってしまった男たち
バルトロメイが助けられたのは、自分が持っていた水を飲ませられたあの男だけだったこと
花の魔物の茎と根の間にあった魔石をマジックバッグに入れた途端に奥の間から順番に崩れ始め、男を背負ったバルトロメイが入り口をくぐった途端に中だけでなく、岩そのものも崩れてしまったこと
かいつまんで話していたが、シェイジンはところどころ質問を挟み、他に通じる横道やドア、その他にも魔物などはいなかったかと問い質す。
だがバルトロメイが覚えている限り、光源もないのに岩と石の通路が明るかった以外に怪しいところはなく、ほぼ一直線に男たちが辿り着いた奥の間に自分も入ったとしか言えなかった。
「……べつに上ったり下ったり、他に階段とかもなかったんだな?」
「階段……もなかったし、たぶん下に降りたとかもなかった…と思います」
「おい、ジン、たぶん坊やは嘘ついてねぇぜ?」
「おう、そうか?」
座り込んだまま動けずにいるバルトロメイに質問するシェイジンの後方から、別の冒険者が声を掛ける。
それはまだ動けない元ミイラの男を診ていてくれた者だった。
身体中の体液と精気を抜かれて干からびる寸前だったため、小回復しかできない魔法薬では完全回復とはいかなかったが、途切れ途切れに新しくできたはずのダンジョンで何が起きたのかを断片的に聞きだすことはできたのである。
さすがにバルトロメイよりは長く冒険者稼業についていただけあり、男は噂になっていた『新しいダンジョン』であることは理解していた。
リーダーを気取っていた男は何かに憑りつかれたかのように、そして間違いなくバルトロメイがあのダンジョンの奥にいると思い込んで、躊躇いもなく『仲間』を引き連れてダンジョンに入っていった。
その結果はバルトロメイが見たとおりだが、やはり彼らも横道も隠し通路も下層へ繋がる階段も見つけられず、あのダンジョンマスターらしき巨大花のいる奥の間に辿り着いたのである。
助かったあの男は馬につけた矢筒の通り、後方で援護射撃をする弓使いで、ダンジョンへ入る際もやはり最後尾に近い位置にいた。
だがそれでも何が起こったのか、その瞬間にはわからなかった。
全員がその奥の間に入った途端に黄色い霧が満ちて視界が遮られたかと思うと、悲鳴と怒号だけが聞こえ、バルトロメイが飛び込んでくるまで自分自身も含め何かに絡めとられて視界を奪われたかと思うと、そのまま身体中の血管から血が吸い取られる感覚で気を失ってしまったのである。
だがそこから先の記憶はなく、なぜ獲物のはずの少年が自分に水を飲ませようとしたのか、そして視界も朧な中で初心者冒険者と思えない動きで気味の悪い巨大花に立ち向かって討伐し、崩壊し始めたダンジョンから自分まで連れ出してくれたのかはわからないとしか答えられなかった。
つまり男はところどころ意識を取り戻してバルトロメイに自分のマジックバッグを使えと許可したことも覚えておらず、全力で逃げるバルトロメイの背中に括られていた間に気絶したことも記憶できるほどの気力もなくしていたが、バルトロメイが話した通りに彼のマジックバッグから『仲間』の遺品や巨大花の花びらが出てきたことから、ふたりの話が真実であると判断されたのである。
石と土でできた通路
どこまでも続くかと思われたその奥の部屋
巨大な花
その葉や根に絡み取られ、ミイラの如く皮と骨だけになってしまった男たち
バルトロメイが助けられたのは、自分が持っていた水を飲ませられたあの男だけだったこと
花の魔物の茎と根の間にあった魔石をマジックバッグに入れた途端に奥の間から順番に崩れ始め、男を背負ったバルトロメイが入り口をくぐった途端に中だけでなく、岩そのものも崩れてしまったこと
かいつまんで話していたが、シェイジンはところどころ質問を挟み、他に通じる横道やドア、その他にも魔物などはいなかったかと問い質す。
だがバルトロメイが覚えている限り、光源もないのに岩と石の通路が明るかった以外に怪しいところはなく、ほぼ一直線に男たちが辿り着いた奥の間に自分も入ったとしか言えなかった。
「……べつに上ったり下ったり、他に階段とかもなかったんだな?」
「階段……もなかったし、たぶん下に降りたとかもなかった…と思います」
「おい、ジン、たぶん坊やは嘘ついてねぇぜ?」
「おう、そうか?」
座り込んだまま動けずにいるバルトロメイに質問するシェイジンの後方から、別の冒険者が声を掛ける。
それはまだ動けない元ミイラの男を診ていてくれた者だった。
身体中の体液と精気を抜かれて干からびる寸前だったため、小回復しかできない魔法薬では完全回復とはいかなかったが、途切れ途切れに新しくできたはずのダンジョンで何が起きたのかを断片的に聞きだすことはできたのである。
さすがにバルトロメイよりは長く冒険者稼業についていただけあり、男は噂になっていた『新しいダンジョン』であることは理解していた。
リーダーを気取っていた男は何かに憑りつかれたかのように、そして間違いなくバルトロメイがあのダンジョンの奥にいると思い込んで、躊躇いもなく『仲間』を引き連れてダンジョンに入っていった。
その結果はバルトロメイが見たとおりだが、やはり彼らも横道も隠し通路も下層へ繋がる階段も見つけられず、あのダンジョンマスターらしき巨大花のいる奥の間に辿り着いたのである。
助かったあの男は馬につけた矢筒の通り、後方で援護射撃をする弓使いで、ダンジョンへ入る際もやはり最後尾に近い位置にいた。
だがそれでも何が起こったのか、その瞬間にはわからなかった。
全員がその奥の間に入った途端に黄色い霧が満ちて視界が遮られたかと思うと、悲鳴と怒号だけが聞こえ、バルトロメイが飛び込んでくるまで自分自身も含め何かに絡めとられて視界を奪われたかと思うと、そのまま身体中の血管から血が吸い取られる感覚で気を失ってしまったのである。
だがそこから先の記憶はなく、なぜ獲物のはずの少年が自分に水を飲ませようとしたのか、そして視界も朧な中で初心者冒険者と思えない動きで気味の悪い巨大花に立ち向かって討伐し、崩壊し始めたダンジョンから自分まで連れ出してくれたのかはわからないとしか答えられなかった。
つまり男はところどころ意識を取り戻してバルトロメイに自分のマジックバッグを使えと許可したことも覚えておらず、全力で逃げるバルトロメイの背中に括られていた間に気絶したことも記憶できるほどの気力もなくしていたが、バルトロメイが話した通りに彼のマジックバッグから『仲間』の遺品や巨大花の花びらが出てきたことから、ふたりの話が真実であると判断されたのである。
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