間の悪い幸運勇者

行枝ローザ

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喜ぶ者。

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とにかくバルトロメイに関しては冒険者たちの新たなレベル査定に関わった功労として、今回の待遇が通ったというわけである。
何よりバルトロメイはほとんど戦闘を行っていないため、そちら方面の実力やレベルアップが見込めず、簡単にランクアップするわけにもいかないという実情もあった。
だがいずれは何らかの称号を与えられる──それが何なのかアギディハーンには目安がついているらしく、ニヤッとしながらバルトメイに向かってウィンクしながらこうも言っていた。
「ま、お前さんがそれを望むなら、上の奴らにガタガタ言わせないし、言えるわけもねぇ。後はお前さんの実力次第さ」
とはいえ、バルトロメイ自身は実力を発揮しようにも手に入れた剣は生者を切れず、死したものを払うことができるらしいとはわかったが、だからといってアンデッドが出るところばかりを狙う冒険者になるつもりはない。
かといって自分が目指すのが何かも分かってはいないのだ。
今のところ目標は、無事にレーアのもとに着いたことをマロシュ老に伝えるために戻ることである。
何せここまで無事についた過程において、エンとヤシャという二頭の魔馬を手に入れたという幸運もあり、逆に道を行くのもたやすく思えた。

そうして思った通りバルトロメイはガンス家に戻ってくるという目的を果たし、改めて冒険者としての目的を定めたのである。
『自分が育った場所を見つける』という目的を──


とはいえバルトロメイ自身も自分の実力とやらを発揮させる方法もわからず、とりあえず旅立ちの支度がてら、1人で村を彷徨った。

むろん以前に防具と剣を譲ってくれた武器屋にも立ち寄った。
旅立った時とは違ういで立ちに驚きはしても、自分が用意だてた物よりも上質な革鎧をつけたバルトロメイを喜び、しかもドファーニ商会からの紹介状を携えてきたとなれば諸手を挙げて歓迎するしかない。
「なんてこった!これは……お前さんのような新人冒険者がこの村から出た場合や、立ち寄った時に必要な上質な防具なんかをこちらに卸してくれるって?!しかも……希望すればドファーニ商会と縁を続けて支店扱いで、さらに店を大きくする支援もしてくれるって……」
髭面の強面店主は目を潤ませ、バルトロメイの手を握ってブンブンと上下に振った。
この村からマロシュ老の弟であるドウシュが旅立ってしまったのは、まさしくろくな武具や防具が手に入らなかったからとも言える。
それが解消される手立てを差し伸べられたのだ──これを喜ばずして何としよう。


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