その存在。

行枝ローザ

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ふたり。

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「なんで?友達って、いてもいなくてもおんなじじゃない」
「ふぅん……」
じゃあ、いてもいいんですね?

理屈がわからない。
いてもいなくても同じ。
いなくてもいても同じ。
じゃあ、いなくていい。
じゃあ、いてもいい。
じゃあ、今日から友達っつーことで。よろしく。なんなら恋人ってことでよろしく。今から夫婦でもいいっす。
理由ワケがわからない。

ていうか、あんた誰?
「あれ?忘れちゃった?さっき『こんちはー』ってあいさつしたじゃないですか」
「だって、今日初めての顔合わせ飲み会で、『こんちは』ってあいさつで、友達どころか恋人候補から夫婦って」
「いいじゃないっすか。だって、誰でもいいんでしょ?友達も、恋人も、ダンナでも、ひとりでも」
「誰でもいいってわけじゃないよ。丁寧に『友達』を断ったことだってあるよ。嫌いな奴だったから」
「じゃあ、俺のことは嫌い?」
「あんたのことは『知らない』」
「じゃあ、いいじゃないっすか。交際0日婚。流行ってるらしいですよー」
どこでだ。

『交際0日婚』でいいって言ったのに、奴は出て行った。
いつの間にか、出て行った。
いてもいなくても同じ。
いなくてもいても同じ。
いたけど、いなくなっちゃった。

勝手に置き土産を置いてって。

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