その存在。

行枝ローザ

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また、ひとり。

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大学2年生。
人生が横転した。
俺は天涯孤独。
どっかに『祖父母』というのがいるかもしれない。ついでにどっかに『父親』もいるはずだ。生きていれば。
体調が悪いことは、しばらく前から知っていた。
「病院、行けよ」
「行くよ。そのうち」
俺の言う事聞かないで。
ああ、聞かないだろうな。
わかっていたけどな。
白い病室は俺にも、アンタにも似合わない。
色が氾濫する、物が氾濫する、家に帰ろうぜ。
帰ろうぜ。
帰ろうぜ。

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