その存在。

行枝ローザ

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また、さんにん。その後…

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いまだに俺の記憶を埋めてくれない空白。
埋めてくれた関係。
埋めてくれる存在。
俺の横にいる、鮮やかな色。
俺の手を握る、柔らかな未来。
俺にはまだ見えない、微かな光。
これを手放すって、アンタは人生損したな。
これを見る前に逝くなんて、アンタは生き急いだな。
俺は物言わない冷たい石の前で、空の果てのどこかに向かって、無言でそう呟く。
線香の細い煙の前で手を合わせていた艶やかな髪が揺れて、煌めきが俺を見上げる。
「何か言った?」
「ん~…俺のバカ親2匹に。孫見ないなんて、損したなって」
「2匹って。犬じゃないんだから」
「犬って母親社会だろ?雄っていなくなるんじゃなかったっけ?」
「それ、猫じゃない?まあ…どっちでもいいけど。うちには3匹、面倒見なきゃいけないのがいるし」
「うるせー。そのうち社長夫人で、暇がお釣りくるくらいにしてやらぁ」
「期待してるわ、『社長』さん。それまではアタシがアンタとうちの子くらい育ててあげるって」
豪快に笑う、彼女で妻で母親で。

ああ、愛してるよ。
お前も、俺も、息子も、冬に生れる娘も。
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