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賢者、仲間の由来を知る。

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そもそもケヴィンがミウのことを知ったというのは、冒険者ギルドから冷遇されている経緯からというわけではなく、それこそ偶然に王都内でミルベルとケヴィンが出会い、恋に落ち、そして友人として紹介された──という何とも甘酸っぱさを含む成り行きだった。
「まあ、冷遇されているというのをミルベルから聞いて、ミルベルは僕がどうしてそんなに早くレベルアップできたのか教えてあげてほしいと言われて……まさかミウが『魔法研究所所長夫妻の娘だから、冒険者として旅立たせるわけにはいかない』という理由もあったりしてさ。いや変な色目を使われて、ミウが靡かないから嫌がらせをしていた…っていうのもあるけど」
「いや、それもたいそうな理由じゃないか?!というか、そんなフラフラとしていただけで、出会えるものなの?」
「うぅむ…それは俺も眉唾物だと思っていたんだが」
私は驚いたが、どうも高位ランクの冒険者が『運命の相手』に巡り合うのは割とあるらしい。
デューンは冒険者になってからずっとどこかのパーティーに参加してもなかなか居つけず、それは何故かと聞いてみたことがあるのだそうだ。
「だいたいは故郷が同じという者が多い。俺みたいに流れるように旅をするのはあまり信用してもらえない」
「確かにそうかもしれない」
「だが、俺とケヴィンは偶然出会い、そのまま2人組のようになり、ラダが呼ばれ、ミウのランク昇格と同時にパーティー参加が認められ、そしてそのミウが大賢者殿を従魔ともども引き寄せたんだ!」
「最後は景品みたいに聞こえたが?!」
「いや~、実際すごい大運なんだよ。魔法使いも賢者も、冒険者の職業としては希少であるし、その職名に相応しい実力者はだいたい有名でレベルの高いパーティーに加わっているし。しかも『大賢者』なんてここ何年だか何十年だか何百年だか授かってないし、しかもフリーだし……」
ケヴィンが感極まって涙を浮かべて力説し、ラダとミウは「ほんと、ほんと!!」と異口同音に満面の笑みで何度も頷く。
確かに私が何度も転生したどの時代でも『大賢者』はおろか、『大魔法使い』も出会ったり噂に聞くこともなかった。


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