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しおりを挟む「食堂でソフィーの立場は証明された。ソフィー、君は今神官の間でなんと言われているか知っているのかい?」
首を思わず傾げた。
「食堂に降り立つ聖女、慈愛に満ちた天空の光女様と」
えっ、「食堂でソフィーの立場は証明された。ソフィー、君は今神官の間でなんと言われているか知っているのかい?」
首を思わず傾げた。
「食堂に降り立つ聖女、慈愛に満ちた天空の光女様と」
えっ?もしかして聖堂で光合成しすぎたことがまだ尾を引いてる?
ラモンはお腹を抱えて笑い出し、お手上げのような仕草を私に見せながら続ける。
「ツヴァイ兄さんが特にソフィーに陶酔していてね。『間違いない、あのお方は聖女様だ』と言って暴走しておられる。」
ツヴァイさんというのはどうやら、とても偉い方のようでこの方が是とするならば皆従うのだそうである。
「極め付けにツヴァイ兄さんからは『聖女様のサングラスは、きっと光溢れる光女様故に、生活に支障があるためかけていらっしゃるのだろう。それを儀式にて外していただくなど恐れ多くてできない』なんて言うんだから。」
え、ええと。つまり、聖女様には御光が常に差し込むのだから、サングラスで目をカバーしないと、健康を害しますよねって、そういうこと???
お門違いも甚だしくて展開についていけないのだけど..
「ソフィー様。申し訳ありません。ツヴァイ様は誰もが認める才色兼備な方なんですが思い込みが激しすぎるところが玉に瑕なのです...」
堪えていたマリーもついにブフッと声を漏らしていた。
******
トントントン。
「光女様、いえ、失礼いたしました。聖女様、ご準備が整いました。」
鏡の前の私は、実に聖女に見える、それはもちろん顔から下の部分なんだけど。
あれから、聖女様ではなく光女様と呼ばれているらしく、神官達はいつ光が差し込んでくるかと楽しみにしているらしい。そして、このサングラスを欠ける理由を怪しむものはいなくなった。
大聖堂にある一番大きな空間に通された。
厳粛な空間に、賛美歌が流れ、パイプオルガンの重奏が神の国を恋しかるように鳴り響いている。
この空間には、純白と月色しか存在していない。異様な光景ではあるのに、どこか懐かしいような空気を感じるのが私には不思議だった。
「光の聖女、ソフィー様入場」
大理石の床を進んだ先にはラモンとツヴァイ様、そして中心の席に座した教皇様がいらした。
「光の聖女、ソフィーよ。よくぞ天空よりこの地に降臨してくださりました。まずはこの国の代表として感謝御礼申し上げます。」
月色の髪に、黄金の瞳。ラモンの父上たる教皇は、その父だけあって、神々しさの中に慈愛を感じるような美しい人だった。誰しもが、彼こそ聖人であると認めてしまうようなオーラが醸し出されている。私もこの雰囲気にやられ、絆されそうになる....
ステンドガラスがまたもや強い光を通した。その先には、私が立っている。
「私もまだこの地のことは詳しくはございません。しかし、これから来る災害を見過ごすことはできません。できる限り私も助力させていただきたく思っております。」
これには教皇も少し目を緩めるとこうおっしゃった。
「お待ちしておりました、光の聖女様」
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