年下神官長殿にエセ聖女やらされてます

にんじんうまい

文字の大きさ
11 / 17

11

しおりを挟む

「食堂でソフィーの立場は証明された。ソフィー、君は今神官の間でなんと言われているか知っているのかい?」


首を思わず傾げた。


「食堂に降り立つ聖女、慈愛に満ちた天空の光女様と」



えっ、「食堂でソフィーの立場は証明された。ソフィー、君は今神官の間でなんと言われているか知っているのかい?」


首を思わず傾げた。


「食堂に降り立つ聖女、慈愛に満ちた天空の光女様と」



えっ?もしかして聖堂で光合成しすぎたことがまだ尾を引いてる?



ラモンはお腹を抱えて笑い出し、お手上げのような仕草を私に見せながら続ける。


「ツヴァイ兄さんが特にソフィーに陶酔していてね。『間違いない、あのお方は聖女様だ』と言って暴走しておられる。」


ツヴァイさんというのはどうやら、とても偉い方のようでこの方が是とするならば皆従うのだそうである。


「極め付けにツヴァイ兄さんからは『聖女様のサングラスは、きっと光溢れる光女様故に、生活に支障があるためかけていらっしゃるのだろう。それを儀式にて外していただくなど恐れ多くてできない』なんて言うんだから。」


え、ええと。つまり、聖女様には御光が常に差し込むのだから、サングラスで目をカバーしないと、健康を害しますよねって、そういうこと???
お門違いも甚だしくて展開についていけないのだけど..


「ソフィー様。申し訳ありません。ツヴァイ様は誰もが認める才色兼備な方なんですが思い込みが激しすぎるところが玉に瑕なのです...」



堪えていたマリーもついにブフッと声を漏らしていた。




******




トントントン。

「光女様、いえ、失礼いたしました。聖女様、ご準備が整いました。」


鏡の前の私は、実に聖女に見える、それはもちろん顔から下の部分なんだけど。
あれから、聖女様ではなく光女様と呼ばれているらしく、神官達はいつ光が差し込んでくるかと楽しみにしているらしい。そして、このサングラスを欠ける理由を怪しむものはいなくなった。


大聖堂にある一番大きな空間に通された。
厳粛な空間に、賛美歌が流れ、パイプオルガンの重奏が神の国を恋しかるように鳴り響いている。
この空間には、純白と月色しか存在していない。異様な光景ではあるのに、どこか懐かしいような空気を感じるのが私には不思議だった。


「光の聖女、ソフィー様入場」


大理石の床を進んだ先にはラモンとツヴァイ様、そして中心の席に座した教皇様がいらした。


「光の聖女、ソフィーよ。よくぞ天空よりこの地に降臨してくださりました。まずはこの国の代表として感謝御礼申し上げます。」


月色の髪に、黄金の瞳。ラモンの父上たる教皇は、その父だけあって、神々しさの中に慈愛を感じるような美しい人だった。誰しもが、彼こそ聖人であると認めてしまうようなオーラが醸し出されている。私もこの雰囲気にやられ、絆されそうになる....


ステンドガラスがまたもや強い光を通した。その先には、私が立っている。

「私もまだこの地のことは詳しくはございません。しかし、これから来る災害を見過ごすことはできません。できる限り私も助力させていただきたく思っております。」


これには教皇も少し目を緩めるとこうおっしゃった。


「お待ちしておりました、光の聖女様」







しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです

白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。 ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。 「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」 ある日、アリシアは見てしまう。 夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを! 「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」 「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」 夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。 自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。 ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。 ※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。

聖女解任ですか?畏まりました(はい、喜んでっ!)

ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私はマリア、職業は大聖女。ダグラス王国の聖女のトップだ。そんな私にある日災難(婚約者)が災難(難癖を付け)を呼び、聖女を解任された。やった〜っ!悩み事が全て無くなったから、2度と聖女の職には戻らないわよっ!? 元聖女がやっと手に入れた自由を満喫するお話しです。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

モブ転生とはこんなもの

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしはナナ。貧乏伯爵令嬢で転生者です。 乙女ゲームのプロローグで死んじゃうモブに転生したけど、奇跡的に助かったおかげで現在元気で幸せです。 今ゲームのラスト近くの婚約破棄の現場にいるんだけど、なんだか様子がおかしいの。 いったいどうしたらいいのかしら……。 現在筆者の時間的かつ体力的に感想などを受け付けない設定にしております。 どうぞよろしくお願いいたします。 他サイトでも公開しています。

国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。

樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。 ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。 国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。 「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」

処理中です...