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1章
-5- 【約束】
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「ごちそーさまでした」
私の特製チャーハンを「まあまあ」とほざきながらも綺麗に食べきったジオは、机に頬杖をついて居心地が悪そうにしていた。
気まずい沈黙が続く。
「それで、身体の具合はどう?」
これでは話が進まないので、私から話を振ってみる。
「うーん、ちょっとダルいし、頭もぼーっとするが……あとは問題ないな」
「そっか」
また、しばらく沈黙が続く……。
どうしようかな、もうお暇した方が良いのかもしれない。元々は彼が目覚めるまでいる予定だったし、そもそも向こうに仲良くなる意思がないなら──。
「なぁ」
「はい!?」
突然話しかけられて、思わず間の抜けた声が出てしまった。なにかお怒りなのか……?
「お前さ、なんで魔法使えないんだ?」
「……え?」
沈黙の末に、聞かれたことがそれだった。てっきり、もっと他のことを聞かれるのかと思ったんだけれど──。
なぜ俺を助けたのかとか、あの時言った言葉はなんだったのかとか……。もっと気になることはあるはずなんだが。
「な、何よ。もっと他に気になることがあるんじゃないの?」
また急な質問に、思わず質問で返してしまう。質問文に質問文で答えるとテストは0点だ。
「そりゃ勿論あるが。……でも、互いのことがよく分かってない状態でそれ聞いたとしてさ、お前答えるか?」
「あ、確かに……」
「な?だからとりあえず雑談程度に聞いてるんだよ」
「そうか……そう、だわ」
言われてみれば、もしストレートに聞かれたとしたらはぐらかしていたかもしれない。
あの時はちょっと混乱気味だったから何言っても恥ずかしくなかったけれど、落ち着いた今話せって言われるとやっぱり恥ずかしい。……なんか、心を見透かされた気分だ。
「それで?お前なんで魔法が使えないんだ?」
「デリカシーないこと聞くね」
「そりゃ気になるからな」
「……うーん」
大体、そんなこと雑談程度に聞くか?
結構複雑な事情とかあったらどうするつもりなんだろうか。
──ま、そんな事情ないんだけどねっ。
「……実は、私にもよくわかんないんだよね。生まれつきなんだけど……結局、原因がよくわかんなくてさ」
「……へー」
「どうよ、聞いても面白くないでしょ?」
「本当だな」
「そこ同意する?」
「……」
頬杖を着いたまま、彼は目を伏せる。
いや、向こうから聞いてきたくせに、あまりにも反応が薄くない?
……と、いうか。
さっきのチャーハンにしろ、この興味のなさそうな返事にしろ、この男あまりにも失礼ではないか!?
感謝のかの字もない上に、態度も悪いときた!いよいよ私も耐えられなくなってくるぞ。
そしてしばらく経って、もう部屋に帰ってやろうかなと思っていた矢先。
また彼が口を開いた。
「……お前さ、『賢者アイザック』って奴知ってる?」
「知らない……けど、話題コロコロ変わるねぇ」
「まぁ、聞いてくれよ」
私も頬杖をついて、もはや呆れ半分で話を聞いている。どうせまた変な話なのだろう。
「『賢者アイザック』。俺の保護者なんだが、アイツなら、お前が魔法を使えないことについて何か知ってるかもしれない」
「えっ」
突然降ってきた手がかりに思わず顔を上げる。確かに、賢者であればそういうことを知っていてもおかしくないのかもしれない。
「多分、俺は今回の騒動で停学か退学になると思う。……少なくとも停学は間違いないだろ」
「そうかも、ね……」
確かに、校舎をぶっ壊しといて処分なしというのもおかしな話だ。
多分、彼には何かしらの処分が下る。
「だから、俺は一旦実家に帰らなきゃならない。良かったら、その時にでも聞いておこうか」
「まさか私の、魔法のこと?……聞いてくれるの?」
「今日の礼だ」
……まさか、こんな形で長年の悩みが解決するかもしれないなんて、思いもしなかった。
「ついでに、俺が暴走してしまった原因も聞いてくる。俺もお前と同じで、原因がわからんのでね」
「……そっか」
「……あは、お礼する気はあったのね!」
「何だよ、俺が恩知らずみたいな言い方するじゃないか!」
「だってホントの事じゃない!」
そう言って彼は怒るが。
……またなぜか、彼の顔は笑顔だった。
この時、私たちは初めて互いの本心を話し、理解したのだろうと思う。
──後から考えてみれば、これは『これから長い付き合いになる』。そんな私たちの第1歩だった。
私の特製チャーハンを「まあまあ」とほざきながらも綺麗に食べきったジオは、机に頬杖をついて居心地が悪そうにしていた。
気まずい沈黙が続く。
「それで、身体の具合はどう?」
これでは話が進まないので、私から話を振ってみる。
「うーん、ちょっとダルいし、頭もぼーっとするが……あとは問題ないな」
「そっか」
また、しばらく沈黙が続く……。
どうしようかな、もうお暇した方が良いのかもしれない。元々は彼が目覚めるまでいる予定だったし、そもそも向こうに仲良くなる意思がないなら──。
「なぁ」
「はい!?」
突然話しかけられて、思わず間の抜けた声が出てしまった。なにかお怒りなのか……?
「お前さ、なんで魔法使えないんだ?」
「……え?」
沈黙の末に、聞かれたことがそれだった。てっきり、もっと他のことを聞かれるのかと思ったんだけれど──。
なぜ俺を助けたのかとか、あの時言った言葉はなんだったのかとか……。もっと気になることはあるはずなんだが。
「な、何よ。もっと他に気になることがあるんじゃないの?」
また急な質問に、思わず質問で返してしまう。質問文に質問文で答えるとテストは0点だ。
「そりゃ勿論あるが。……でも、互いのことがよく分かってない状態でそれ聞いたとしてさ、お前答えるか?」
「あ、確かに……」
「な?だからとりあえず雑談程度に聞いてるんだよ」
「そうか……そう、だわ」
言われてみれば、もしストレートに聞かれたとしたらはぐらかしていたかもしれない。
あの時はちょっと混乱気味だったから何言っても恥ずかしくなかったけれど、落ち着いた今話せって言われるとやっぱり恥ずかしい。……なんか、心を見透かされた気分だ。
「それで?お前なんで魔法が使えないんだ?」
「デリカシーないこと聞くね」
「そりゃ気になるからな」
「……うーん」
大体、そんなこと雑談程度に聞くか?
結構複雑な事情とかあったらどうするつもりなんだろうか。
──ま、そんな事情ないんだけどねっ。
「……実は、私にもよくわかんないんだよね。生まれつきなんだけど……結局、原因がよくわかんなくてさ」
「……へー」
「どうよ、聞いても面白くないでしょ?」
「本当だな」
「そこ同意する?」
「……」
頬杖を着いたまま、彼は目を伏せる。
いや、向こうから聞いてきたくせに、あまりにも反応が薄くない?
……と、いうか。
さっきのチャーハンにしろ、この興味のなさそうな返事にしろ、この男あまりにも失礼ではないか!?
感謝のかの字もない上に、態度も悪いときた!いよいよ私も耐えられなくなってくるぞ。
そしてしばらく経って、もう部屋に帰ってやろうかなと思っていた矢先。
また彼が口を開いた。
「……お前さ、『賢者アイザック』って奴知ってる?」
「知らない……けど、話題コロコロ変わるねぇ」
「まぁ、聞いてくれよ」
私も頬杖をついて、もはや呆れ半分で話を聞いている。どうせまた変な話なのだろう。
「『賢者アイザック』。俺の保護者なんだが、アイツなら、お前が魔法を使えないことについて何か知ってるかもしれない」
「えっ」
突然降ってきた手がかりに思わず顔を上げる。確かに、賢者であればそういうことを知っていてもおかしくないのかもしれない。
「多分、俺は今回の騒動で停学か退学になると思う。……少なくとも停学は間違いないだろ」
「そうかも、ね……」
確かに、校舎をぶっ壊しといて処分なしというのもおかしな話だ。
多分、彼には何かしらの処分が下る。
「だから、俺は一旦実家に帰らなきゃならない。良かったら、その時にでも聞いておこうか」
「まさか私の、魔法のこと?……聞いてくれるの?」
「今日の礼だ」
……まさか、こんな形で長年の悩みが解決するかもしれないなんて、思いもしなかった。
「ついでに、俺が暴走してしまった原因も聞いてくる。俺もお前と同じで、原因がわからんのでね」
「……そっか」
「……あは、お礼する気はあったのね!」
「何だよ、俺が恩知らずみたいな言い方するじゃないか!」
「だってホントの事じゃない!」
そう言って彼は怒るが。
……またなぜか、彼の顔は笑顔だった。
この時、私たちは初めて互いの本心を話し、理解したのだろうと思う。
──後から考えてみれば、これは『これから長い付き合いになる』。そんな私たちの第1歩だった。
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