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チーズは亜種で
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古びたペンションを改装したその図書館は、元々は地元の地主の所有物だったらしい。キャンプ場や湖周辺を見渡せ、夏の蒸し暑さを掻き消す様な涼しい風が吹く私たちの溜まり場になった。
蔵書数は少ないけれど、趣ある外観とベランダからの景色は見るものがある場所で、色先輩は良くこの場所で勉学に励んでいた。
一冊の小説を携えながら、私は色先輩が待つオープンテラスへと脚を進める。図書館では湿気対策の為に締め切り、クーラーが常に回っているけど、景色と自然の涼しさにはやはり勝てない。
鳴き続ける蝉の声が妙にうるさくて、それでも夏を意識してしまう事には歯痒いなとか思いた。
そんな中。私に気が付き、わざとらしく隣りを指す色先輩。
私が来るのを楽しみにしていたのか、その表情は晴れやかだ。
ルーズリーフに書き足しながら、受験勉強に励む色先輩は私が携えた本を見ると、興味ありげにその手を止める。
その視線の先にあったのは、図書館から持ち出した一冊の本だ。
「へぇ、長瀬後輩は短編集が好み、……と」
「勧めたのは先輩ですよ?」
「……そうだっけ?」
「憶えていないんですか?」
先週とは言わないけど、ここ最近の話だ。
かなりの読書家である色先輩は、様々な本に手を出しては私に紹介してきた。色先輩の好みは多岐にわたり、恋愛小説から推理物、ファンタジーに至るまでありとあらゆるジャンルを好む。
その中には伝記やら、あやしい短編集やら。一度色先輩の部屋にお邪魔させてもらった身としては、先輩は多種多様な本を好んでいるようだった。
かく言う私も、色先輩程ではないけど本を嗜む。
ジャンルに偏りがあるのは否めないが、読書家と自負できるくらいには様々な本を読んだ。
「……あ、思い出した。東星がケガしてたあの時でしょ。でも長瀬後輩。私は確かに、一度読んでみると良いとは言ったけど、あまりに独創的だと付け加えた筈だよ」
独創的。
挑戦的な作品という解釈としよう。
テラスを囲むように森林が日光を妨げ、本の日焼けを守るように手を伸ばす。木製の椅子に佇む色先輩は、此方を覗き込むように手を頬に沿える。
「その短編集は尚更お勧めしないね。うん、実に下らないと思うよ。
__それに、私が読む本はどれもこれもがそんな本ばかりだから、後輩にお勧めできる一品なんて存在しないって前から言っているだろ?真面目な話。庵の本棚の方が為になると思うけどな」
そんな事は無い。
私が学んだ大切な事を教えたのは、先輩が紹介した小説であり、彼女が私にこの趣味を教えてくれた。彼女が教えた小説が間違いなのなら、私の感動した感情さえも間違いだとでも言うのか?
その問いに、目の前の先輩はにこやかな表情を浮かべて何も言わない。真面目な話、彼女はそれをジョークとして言ったつもりだろう。それは私も理解している。
だけど、私にとっての先輩が特別であり。私が感動した書籍が特別である為に。私は、先輩の意見に対して言わなければならなかった。
私は、私の感動を否定されたくなかっただろう。
彼女は、私の目を覗きながら。何時も通りのセリフを吐く。
「……まぁ、隣の芝生は青く見えるモノだけどね」
先輩はそう言って、自身の席に広げていた勉強道具を仕舞った。
中学二年、受験シーズンが迫るなか勉学に余念がない先輩の志望校は、隣町にある普通科高校だ。先輩は私達の中でも成績が良く、元々の真面目な気質も相まって進学に対しては不安が無いらしい。
此処での勉学は自分がとても落ち着けるからと、精神面での意味合いが強いとこぼしたのはほかならぬ先輩だ。
落ち着いた所で考えを巡らせるのが、マイブームだと崩した言い方をしていた。
私は、先輩に読書の誘いを受けてここへ来た訳だけど、如何やら先輩は何時も通りお勧めの小説を重ねてはいなかったようで、短編集の話を二、三度話しかけた後、次のように世間話を挟む。
「それよりも、長瀬後輩。この前、東星と一緒に”B・ミーツ”へ行ったんだけどね。その時、私はチーズケーキを注文したんだが、東星の奴がチーズケーキをお菓子だと認めないって話をしてさ」
先輩曰く、下らない話題に出てきた人物。
この街の登山クラブで知り合った先輩、最上先輩は、色先輩と幼い頃からの友人。傍から見れば親密な関係だけど、そんな事は無い。
芝生を比べるまでも無く、釣り合いが取れる訳がないと思っているのは、私だけではなく本人曰くだ。
B・ミーツというケーキ屋は、私達とは湖を挟み対照的な集落にあるケーキ屋だ。林道を通る故に、あまり気軽にはいけないと思うのだけれど。
多芸多趣味なツーリング仲間として、そういう事もするのだろう。
「あの時、あいつはマンゴーケーキを注文していたんだけどさ。奴曰く、フルーツケーキや野菜ケーキが代表的な店で、そんなものを注文するもの好きは”君ぐらい”なんて迷い事を言っていたんだ。
心外だろ?酷いと思わないか?」
だから、私は言ったんだ。
なら、野菜ケーキだって総菜に違いないだろ?なのに、ケーキとして否定しない君は一体何なんだ?君が見ているマンゴーだって、ジャンル的には野菜と相違ないじゃないか。動物性か植物性かでどれほど変わるって言うんだ?
__等と。
最上先輩と色先輩は、そのような言い合いをしていたようで。傍目から見ればたわいもない世間話だというのに、熱心に話す先輩の表情は、何処かいつも以上に楽しそうだった。
その顔に、少し羨ましい気持ちが浮かぶ。
私の憧れは遠いというのに、あの先輩は。
隣の芝生は青く見える。先輩の口癖が過る。
「そう言えば、最上先輩はあの店がお気に入りでしたね」
「庵の誕生日ケーキをどうしようか迷ってさ。東星にアドバイスをもらったんだ。私の自信作でも構わないと言っていたけど、プロとアマチュアでは比べものにならないだろ?
技量を高めるのもいいけど、技量にはそれ相応の時間がかかる。私は何でも程々に出来るけど、程々しか出来ないからね。経験を積んだプロには負けてしまう。
君は自慢の後輩だから、其れを理解して毎回プレゼントを贈ってくれているけどさ。東星じゃ、そんな気遣いなんて出来ないからね」
程々に出来る先輩は、全部は出来ない。
色先輩の料理の腕は、私が見る限りでは素晴らしいと思っている。だけどもそれは、家庭で作るレベルでの話で、店を開く程ではないと彼女は語る。家庭の味は大切だけど、プロとは比較にならないと彼女は言った。
AはBになれないと彼女は言う。
どこか諦めた様子で、彼女は付け足した。
「先輩の心がこもった手作りなら、庵先輩も喜ぶのでは?」
「現物は、それなりの物しか出来ないだろ?
せっかくの誕生日だからさ。私は拘りたいんだよ。出来る限りを尽くすよりも、出来ない事を他人で補いたい。__私だって、完璧ではないから」
必要なのは、心よりもセンスだと色先輩は言った。
思い出は選べるのだと、付け加えた。
「ところで、長瀬後輩。この後は暇?」
「__受験生でもないので、暇ですね」
こうして読書へと誘ったのは貴方だろうに、如何やら本命は違うようで、彼女は私を一瞥した後に湖へと顔を向けた。
伸ばした手はある一点を指し示しているようで、私は自然とその方向へと顔を向ける。
「んじゃあ、少しハイキングをしないか?良い読書スペースを見つけたんだ」
「ハイキングですか?」
「ここよりもいい避暑地を見つけてね。生憎、誰も付き合ってくれないんだ。最上は相変わらずだし、庵だって付き合いが悪くて。私に付き合ってくれるのは長瀬後輩ぐらいしかいないんだよ。__お願い、聞いてくれるだろうか?」
__自宅からは離れている故に、登山の其れとは比べる程ではないにしろ今の格好は十分動ける恰好だった。成程、先輩は私の顔ではなく恰好を見ていたようだ。
陰湿な言葉を飲み込んで、先輩が望んでいるであろう優秀ちゃんな後輩として、私はわざとらしく頬をつきながら答える。
「いいですよ、先輩のご命令とあれば」
「私の後輩は、やっぱり優秀ちゃんだね。__後、もう一つお願いがあるんだけどさ。……聞いてほしいな」
晴天のような彼女は、私に折りたたまれた紙を渡した。
彩り豊かなその色は、私の心を染め上げてくれた。
そんな色に対して出来る事に、話相手以外の選択肢はなくて。
隣の芝生は青色で、私自身は空白だったけど。
それでも頼ってくれる蒼い色彩の言葉に、私は想像以上に救われていた。
これが延々ではないと分かっていた。
けれども、もっと長く続くと思っていた。
色彩は、晴れやかに其処にあったから。
「どうか、私の手を繋いでほしい」
青く眩しい色彩は、何時だって遠くて。
私は、尊敬を込めてその蒼を愛していた。
困ったような顔をする色先輩。
その青色は、それでも笑っていた。
蔵書数は少ないけれど、趣ある外観とベランダからの景色は見るものがある場所で、色先輩は良くこの場所で勉学に励んでいた。
一冊の小説を携えながら、私は色先輩が待つオープンテラスへと脚を進める。図書館では湿気対策の為に締め切り、クーラーが常に回っているけど、景色と自然の涼しさにはやはり勝てない。
鳴き続ける蝉の声が妙にうるさくて、それでも夏を意識してしまう事には歯痒いなとか思いた。
そんな中。私に気が付き、わざとらしく隣りを指す色先輩。
私が来るのを楽しみにしていたのか、その表情は晴れやかだ。
ルーズリーフに書き足しながら、受験勉強に励む色先輩は私が携えた本を見ると、興味ありげにその手を止める。
その視線の先にあったのは、図書館から持ち出した一冊の本だ。
「へぇ、長瀬後輩は短編集が好み、……と」
「勧めたのは先輩ですよ?」
「……そうだっけ?」
「憶えていないんですか?」
先週とは言わないけど、ここ最近の話だ。
かなりの読書家である色先輩は、様々な本に手を出しては私に紹介してきた。色先輩の好みは多岐にわたり、恋愛小説から推理物、ファンタジーに至るまでありとあらゆるジャンルを好む。
その中には伝記やら、あやしい短編集やら。一度色先輩の部屋にお邪魔させてもらった身としては、先輩は多種多様な本を好んでいるようだった。
かく言う私も、色先輩程ではないけど本を嗜む。
ジャンルに偏りがあるのは否めないが、読書家と自負できるくらいには様々な本を読んだ。
「……あ、思い出した。東星がケガしてたあの時でしょ。でも長瀬後輩。私は確かに、一度読んでみると良いとは言ったけど、あまりに独創的だと付け加えた筈だよ」
独創的。
挑戦的な作品という解釈としよう。
テラスを囲むように森林が日光を妨げ、本の日焼けを守るように手を伸ばす。木製の椅子に佇む色先輩は、此方を覗き込むように手を頬に沿える。
「その短編集は尚更お勧めしないね。うん、実に下らないと思うよ。
__それに、私が読む本はどれもこれもがそんな本ばかりだから、後輩にお勧めできる一品なんて存在しないって前から言っているだろ?真面目な話。庵の本棚の方が為になると思うけどな」
そんな事は無い。
私が学んだ大切な事を教えたのは、先輩が紹介した小説であり、彼女が私にこの趣味を教えてくれた。彼女が教えた小説が間違いなのなら、私の感動した感情さえも間違いだとでも言うのか?
その問いに、目の前の先輩はにこやかな表情を浮かべて何も言わない。真面目な話、彼女はそれをジョークとして言ったつもりだろう。それは私も理解している。
だけど、私にとっての先輩が特別であり。私が感動した書籍が特別である為に。私は、先輩の意見に対して言わなければならなかった。
私は、私の感動を否定されたくなかっただろう。
彼女は、私の目を覗きながら。何時も通りのセリフを吐く。
「……まぁ、隣の芝生は青く見えるモノだけどね」
先輩はそう言って、自身の席に広げていた勉強道具を仕舞った。
中学二年、受験シーズンが迫るなか勉学に余念がない先輩の志望校は、隣町にある普通科高校だ。先輩は私達の中でも成績が良く、元々の真面目な気質も相まって進学に対しては不安が無いらしい。
此処での勉学は自分がとても落ち着けるからと、精神面での意味合いが強いとこぼしたのはほかならぬ先輩だ。
落ち着いた所で考えを巡らせるのが、マイブームだと崩した言い方をしていた。
私は、先輩に読書の誘いを受けてここへ来た訳だけど、如何やら先輩は何時も通りお勧めの小説を重ねてはいなかったようで、短編集の話を二、三度話しかけた後、次のように世間話を挟む。
「それよりも、長瀬後輩。この前、東星と一緒に”B・ミーツ”へ行ったんだけどね。その時、私はチーズケーキを注文したんだが、東星の奴がチーズケーキをお菓子だと認めないって話をしてさ」
先輩曰く、下らない話題に出てきた人物。
この街の登山クラブで知り合った先輩、最上先輩は、色先輩と幼い頃からの友人。傍から見れば親密な関係だけど、そんな事は無い。
芝生を比べるまでも無く、釣り合いが取れる訳がないと思っているのは、私だけではなく本人曰くだ。
B・ミーツというケーキ屋は、私達とは湖を挟み対照的な集落にあるケーキ屋だ。林道を通る故に、あまり気軽にはいけないと思うのだけれど。
多芸多趣味なツーリング仲間として、そういう事もするのだろう。
「あの時、あいつはマンゴーケーキを注文していたんだけどさ。奴曰く、フルーツケーキや野菜ケーキが代表的な店で、そんなものを注文するもの好きは”君ぐらい”なんて迷い事を言っていたんだ。
心外だろ?酷いと思わないか?」
だから、私は言ったんだ。
なら、野菜ケーキだって総菜に違いないだろ?なのに、ケーキとして否定しない君は一体何なんだ?君が見ているマンゴーだって、ジャンル的には野菜と相違ないじゃないか。動物性か植物性かでどれほど変わるって言うんだ?
__等と。
最上先輩と色先輩は、そのような言い合いをしていたようで。傍目から見ればたわいもない世間話だというのに、熱心に話す先輩の表情は、何処かいつも以上に楽しそうだった。
その顔に、少し羨ましい気持ちが浮かぶ。
私の憧れは遠いというのに、あの先輩は。
隣の芝生は青く見える。先輩の口癖が過る。
「そう言えば、最上先輩はあの店がお気に入りでしたね」
「庵の誕生日ケーキをどうしようか迷ってさ。東星にアドバイスをもらったんだ。私の自信作でも構わないと言っていたけど、プロとアマチュアでは比べものにならないだろ?
技量を高めるのもいいけど、技量にはそれ相応の時間がかかる。私は何でも程々に出来るけど、程々しか出来ないからね。経験を積んだプロには負けてしまう。
君は自慢の後輩だから、其れを理解して毎回プレゼントを贈ってくれているけどさ。東星じゃ、そんな気遣いなんて出来ないからね」
程々に出来る先輩は、全部は出来ない。
色先輩の料理の腕は、私が見る限りでは素晴らしいと思っている。だけどもそれは、家庭で作るレベルでの話で、店を開く程ではないと彼女は語る。家庭の味は大切だけど、プロとは比較にならないと彼女は言った。
AはBになれないと彼女は言う。
どこか諦めた様子で、彼女は付け足した。
「先輩の心がこもった手作りなら、庵先輩も喜ぶのでは?」
「現物は、それなりの物しか出来ないだろ?
せっかくの誕生日だからさ。私は拘りたいんだよ。出来る限りを尽くすよりも、出来ない事を他人で補いたい。__私だって、完璧ではないから」
必要なのは、心よりもセンスだと色先輩は言った。
思い出は選べるのだと、付け加えた。
「ところで、長瀬後輩。この後は暇?」
「__受験生でもないので、暇ですね」
こうして読書へと誘ったのは貴方だろうに、如何やら本命は違うようで、彼女は私を一瞥した後に湖へと顔を向けた。
伸ばした手はある一点を指し示しているようで、私は自然とその方向へと顔を向ける。
「んじゃあ、少しハイキングをしないか?良い読書スペースを見つけたんだ」
「ハイキングですか?」
「ここよりもいい避暑地を見つけてね。生憎、誰も付き合ってくれないんだ。最上は相変わらずだし、庵だって付き合いが悪くて。私に付き合ってくれるのは長瀬後輩ぐらいしかいないんだよ。__お願い、聞いてくれるだろうか?」
__自宅からは離れている故に、登山の其れとは比べる程ではないにしろ今の格好は十分動ける恰好だった。成程、先輩は私の顔ではなく恰好を見ていたようだ。
陰湿な言葉を飲み込んで、先輩が望んでいるであろう優秀ちゃんな後輩として、私はわざとらしく頬をつきながら答える。
「いいですよ、先輩のご命令とあれば」
「私の後輩は、やっぱり優秀ちゃんだね。__後、もう一つお願いがあるんだけどさ。……聞いてほしいな」
晴天のような彼女は、私に折りたたまれた紙を渡した。
彩り豊かなその色は、私の心を染め上げてくれた。
そんな色に対して出来る事に、話相手以外の選択肢はなくて。
隣の芝生は青色で、私自身は空白だったけど。
それでも頼ってくれる蒼い色彩の言葉に、私は想像以上に救われていた。
これが延々ではないと分かっていた。
けれども、もっと長く続くと思っていた。
色彩は、晴れやかに其処にあったから。
「どうか、私の手を繋いでほしい」
青く眩しい色彩は、何時だって遠くて。
私は、尊敬を込めてその蒼を愛していた。
困ったような顔をする色先輩。
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