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霜が降る
霜が降り、完結する
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その日、12月としては久しぶりに雪が降った。
小雨の様な、当たったかも分からないような小さな粒がしんしんと肩に舞い降りる程度。予報によれば、王粒になるのに時間はかからないという。
探偵の昼寝の時間は邪魔できないと、少し早めのご到着。探偵秘蔵の茶菓子を取り出せば、彼は喜んで口にする。ジト目に涙を含めた探偵の目が痛いが、涙をのんで無視をすれば探偵が口を開いた。
「そうだね、今回の結末の事だよ」
「ほう」
事件は解決した。
私達はそれだけを言い、此処に彼を呼び出した。
無論、詳しい詳細は事務所にてという文言を付けてだ。
「アレは、霜が降るを内包している蔵です」
「霜が降る?」
「東北地方の一部地域に残った伝承みたいなものです。今は廃れてなくなってしまいましたけど、我々専門家としても名称通りの減少な物で、そんな名前になったそうです」
「専門家。___ね」
一連の詳細を語れば、読み取れない表情で天先生は頷く。
どう切り返そうか、そう考える私の隣で探偵は言葉を重ねた。
「天先生よ。試験はどうだい?」
「何の話かな?」
「本当は、この事件は解決していた。何せ霜が降るは、”異常性を手放した際に起きる現象”だから」
天先生は、この現象についての解明を期待してはいなかった。彼は、この現象の解決策を知りたかった。具体的には、”この現象を終わらせる事”。
だが、しかし。
探偵の心象の通り、それだけでは。
「__答え合わせというには、不十分だとは思わないか?」
「おそらく、元々の保有者はあの倉ではなく、ナカさんだったのではないですか?」
説明も野暮だと言う様に口を閉ざした探偵の代わりに、私は探偵と共に導いた結論を語る。
「君達は一連の現象を知っていて答えを出したのか?」
「いえ、違いますよ。ヒントを辿ったんです」
私は机の上に置いた資料の中で、希望の年代に記された一文が記されたルーズリーフをファイルから取り出す。その中には、”霜が降る”についての記載と、私達が予測した通りの結末が記されていた。
「先ず、貴方の発言からあの倉に元々そういう機能は備わっていなかった。あの話が嘘偽りだったとしても、理由がない嘘を付くのはあまりにも貴方の印象にそぐいません。だから、あの倉は霜が降るの影響をどこかで被ったんです。この場合、誰のせい。というよりは、何のせいと答えた方が正解に近いとは思いますが。
では、それはどの瞬間からか」
天先生は霜が降るについて知っていた。それはおそらく、彼が知る最も身近な異常の一つだからだ。
天先生は専門家がいる事を知っていた。それはおそらく、自分自身が置かれた状況に対して手を差し伸べた専門家がいたからだ。
それは、彼にとって身近で根源に近しい話に違いない。
少なくとも、異常性の邂逅に対してその傷は大きいモノだろう。
「もう一つ。貴方は何故私に依頼したのか。それは私達が専門家である事を理解していたから。あの異常性と関わりがあったのが彼女の父だからです。おそらく、ナカさんと貴方は探偵の協力の元異常性を切り離した。__だが、貴方は。あの異常性を戻そうと思っていた。
ナカさんは貴方に隠そうとしたのではなく、知っていたから意味が無かったから。他の家族は知りもしませんとは思いますが」
「……何故だと思う?」
「理由までは分かりません」
こんな依頼をしたのか。
あてになる理由は思いつかないが。__それは多分、心象の深い所にある。
所謂。
その冷たさも含めて愛していたのだろう。
「ただの心の凝りに過ぎない」
そんな回答になるのではないか?
「__また、本人に言えば済む事を」
「私はピュアなんだ。そんな事を言えるわけがないだろ?」
「ナカ婆なら、きっと否定するでしょうに」
「それは理解しているんだがね。まあ、そうであったとしても」
何処か懐かしむかのように、諦めているかのように。
「焼け付くように残った夏を焦がれる事は”悪ではない”」
天先生は、笑いながら呟くのである。
「とりあえず、ナカ婆には言っておきますね?」
「__止めてくれるかな?」
「私を騙そうとした罰金だよ。それと、羊羹を献上してもらおうか?」
嘆息と共に少し多めに積まれた駄賃に、探偵は終始ご機嫌の体を見せる。
それが心の底からの表現だと私は気づいているし、何時も通りの天先生はその様子を孫娘を見守る様な柔和な笑顔を見せていた。
彼にとっては、方法があっても無くても構わない。__どこか諦めを含めた暇つぶしに過ぎなかったのかもしれない。あるいは、それに希望があったのかもしれない。
その腹の内が分かる程度には年期が違うし、一件は落着という形である事は間違いない。
寒空からは、少し大きめの霜が街を白銀に染め上げていく。
小雨の様な、当たったかも分からないような小さな粒がしんしんと肩に舞い降りる程度。予報によれば、王粒になるのに時間はかからないという。
探偵の昼寝の時間は邪魔できないと、少し早めのご到着。探偵秘蔵の茶菓子を取り出せば、彼は喜んで口にする。ジト目に涙を含めた探偵の目が痛いが、涙をのんで無視をすれば探偵が口を開いた。
「そうだね、今回の結末の事だよ」
「ほう」
事件は解決した。
私達はそれだけを言い、此処に彼を呼び出した。
無論、詳しい詳細は事務所にてという文言を付けてだ。
「アレは、霜が降るを内包している蔵です」
「霜が降る?」
「東北地方の一部地域に残った伝承みたいなものです。今は廃れてなくなってしまいましたけど、我々専門家としても名称通りの減少な物で、そんな名前になったそうです」
「専門家。___ね」
一連の詳細を語れば、読み取れない表情で天先生は頷く。
どう切り返そうか、そう考える私の隣で探偵は言葉を重ねた。
「天先生よ。試験はどうだい?」
「何の話かな?」
「本当は、この事件は解決していた。何せ霜が降るは、”異常性を手放した際に起きる現象”だから」
天先生は、この現象についての解明を期待してはいなかった。彼は、この現象の解決策を知りたかった。具体的には、”この現象を終わらせる事”。
だが、しかし。
探偵の心象の通り、それだけでは。
「__答え合わせというには、不十分だとは思わないか?」
「おそらく、元々の保有者はあの倉ではなく、ナカさんだったのではないですか?」
説明も野暮だと言う様に口を閉ざした探偵の代わりに、私は探偵と共に導いた結論を語る。
「君達は一連の現象を知っていて答えを出したのか?」
「いえ、違いますよ。ヒントを辿ったんです」
私は机の上に置いた資料の中で、希望の年代に記された一文が記されたルーズリーフをファイルから取り出す。その中には、”霜が降る”についての記載と、私達が予測した通りの結末が記されていた。
「先ず、貴方の発言からあの倉に元々そういう機能は備わっていなかった。あの話が嘘偽りだったとしても、理由がない嘘を付くのはあまりにも貴方の印象にそぐいません。だから、あの倉は霜が降るの影響をどこかで被ったんです。この場合、誰のせい。というよりは、何のせいと答えた方が正解に近いとは思いますが。
では、それはどの瞬間からか」
天先生は霜が降るについて知っていた。それはおそらく、彼が知る最も身近な異常の一つだからだ。
天先生は専門家がいる事を知っていた。それはおそらく、自分自身が置かれた状況に対して手を差し伸べた専門家がいたからだ。
それは、彼にとって身近で根源に近しい話に違いない。
少なくとも、異常性の邂逅に対してその傷は大きいモノだろう。
「もう一つ。貴方は何故私に依頼したのか。それは私達が専門家である事を理解していたから。あの異常性と関わりがあったのが彼女の父だからです。おそらく、ナカさんと貴方は探偵の協力の元異常性を切り離した。__だが、貴方は。あの異常性を戻そうと思っていた。
ナカさんは貴方に隠そうとしたのではなく、知っていたから意味が無かったから。他の家族は知りもしませんとは思いますが」
「……何故だと思う?」
「理由までは分かりません」
こんな依頼をしたのか。
あてになる理由は思いつかないが。__それは多分、心象の深い所にある。
所謂。
その冷たさも含めて愛していたのだろう。
「ただの心の凝りに過ぎない」
そんな回答になるのではないか?
「__また、本人に言えば済む事を」
「私はピュアなんだ。そんな事を言えるわけがないだろ?」
「ナカ婆なら、きっと否定するでしょうに」
「それは理解しているんだがね。まあ、そうであったとしても」
何処か懐かしむかのように、諦めているかのように。
「焼け付くように残った夏を焦がれる事は”悪ではない”」
天先生は、笑いながら呟くのである。
「とりあえず、ナカ婆には言っておきますね?」
「__止めてくれるかな?」
「私を騙そうとした罰金だよ。それと、羊羹を献上してもらおうか?」
嘆息と共に少し多めに積まれた駄賃に、探偵は終始ご機嫌の体を見せる。
それが心の底からの表現だと私は気づいているし、何時も通りの天先生はその様子を孫娘を見守る様な柔和な笑顔を見せていた。
彼にとっては、方法があっても無くても構わない。__どこか諦めを含めた暇つぶしに過ぎなかったのかもしれない。あるいは、それに希望があったのかもしれない。
その腹の内が分かる程度には年期が違うし、一件は落着という形である事は間違いない。
寒空からは、少し大きめの霜が街を白銀に染め上げていく。
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