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小悪魔
①
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トイレ掃除は二人でやる。万夢は今、茉莉沙とペアだ。南川先生が決めた。家が隣だから、慣れるまで頼んだぞなどという謎のコメント付き。万夢は平和主義者で、器じゃないと思いながらもクラスをまとめることがしばしばあり、先生に頼られることもまたしかりなのだ。しかしこの内容で頼られるのは正直迷惑この上なかった。万夢は茉莉沙寄りなところがグループから嫌われて、最近仲間外れにされることがある。それに加えてしょっちゅう親ブロック。予想では万夢抜きでスマホチームでライングループが作られている。リアルでついていけない話が多すぎる。
万夢は決して茉莉沙派というわけではない。たまたま二人で話したことがあり、たまたま話せたというだけの話で、あんな奇妙な髪色の子なんて正直引く。しかし茉莉沙は万夢に好感を持っているようなので邪険にもできない。それが周りから見ると仲良く見えるのだろう。みんなも、先生も、ひどい。こんなことで仲間外れにされるなんて。
「これはどうすんの?」
茉莉沙が汚物入れのごみを持って尋ねてきた。
「あ、これはね。まとめて口を縛ってからこっちのごみに合体して、ごみ箱にはまた黒い袋セットしてね」
万夢は丁寧に教えた。迷惑な存在ではあるが、クラスメイトだと思うと突き放せない。
「女子はほとんど生理きてるから、酷いときはパンパンになっててごみ箱のサイズ変えてって思うときあるよー。トイレットペーパーとかナプキンのからで包まない人もいるし、ほんと勘弁」
なんて、余計な話まで振ってしまう。万夢はお人好しなのだ。バカなんだ。
「ふーん。私まだだよ」
「あっそうなんだねー。ごめんねこんな話アハハ」
茉莉沙は初潮がまだか。他の子に聞かれたら一瞬で広まって「異星人だから生理なんてないんじゃない」みたいな陰口を叩かれる。万夢は周囲を確認して盗み聞きしてる奴がいないか確かめてしまった。
「よし、完了」
ごみ捨てに行って、掃除が終わった。最近は公園に行くのも億劫だったが、今日は完全に行きたくない。スマホは今日は手元にあるが、ユヅキらと違ってこっそり学校に持ってくる勇気はない。グループラインを見たくない。しかし発言しないとそれはそれで言われる。
茉莉沙はいつも公園に行かずに何をしているのだろうか。
「ねぇ、マリサは塾とか習い事とかしてる?」
当たり障りない聞き方をしてみた。
「してない」
「公園とかは好きじゃないの?」
マリサみたいに、公園と関係ない放課後を過ごすことが平気になりたい。でもそれって、もうすでにぼっちへの道を辿ってるのかな。
万夢は決して茉莉沙派というわけではない。たまたま二人で話したことがあり、たまたま話せたというだけの話で、あんな奇妙な髪色の子なんて正直引く。しかし茉莉沙は万夢に好感を持っているようなので邪険にもできない。それが周りから見ると仲良く見えるのだろう。みんなも、先生も、ひどい。こんなことで仲間外れにされるなんて。
「これはどうすんの?」
茉莉沙が汚物入れのごみを持って尋ねてきた。
「あ、これはね。まとめて口を縛ってからこっちのごみに合体して、ごみ箱にはまた黒い袋セットしてね」
万夢は丁寧に教えた。迷惑な存在ではあるが、クラスメイトだと思うと突き放せない。
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なんて、余計な話まで振ってしまう。万夢はお人好しなのだ。バカなんだ。
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「よし、完了」
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