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小悪魔
④
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「お邪魔しまーす!」
優吾と万夢はお化け屋敷に足を踏み入れた。誰も在宅していないらしい。離婚して引っ越してきた、ということはお母さんかお父さんどちらかと住んでいるということだ。
お父さんだろうな、と万夢は室内を見て思った。入って右手に居間があるが、あらゆるところに中身がいっぱいの灰皿が点在し、使い終わったコップやペットボトルがそのまま放置されている。なんだか臭い。いい環境とは言えなかった。二階もあるようなのだが、階段のところに段ボールが積まれていて上に行けないようになっていた。
茉莉沙は「そっち汚いから」と、居間とは逆の部屋に向かった。茉莉沙の部屋のようだ。
「掃除しないの?」
優吾が居間を見て言った。馬鹿。そんなこと言うから嫌われる。
「私、あっち行かないんだよね。居間じゃなくて親の部屋。自分の部屋は掃除するよ」
茉莉沙は気にした様子もなく、部屋に入れてくれた。確かに部屋はきれいだった。しかし、物が少ない。引っ越してきて日が浅いということを思い出した。
「へぇーでもごはんの時とかは?」
優吾がしつこく詮索した。そうか、優吾は一人親ということは知らないのだ。
「自分で買ってきて、自分で食べてる」
「え! 作るの?」
「できてるやつ買ってくるの」
優吾は物珍しそうに色々訊いているが、万夢は早くも茉莉沙に偏見を持ち始めていた。万夢の親をまともだと言ったが、そのように思うのも頷ける生活だと思った。離婚するとそうなるのか。いや、友達のリオも親は離婚しているが、しっかり食事の用意などはしてもらっているはずだ。となると離婚が原因ではなく、もともとかもしれない。
「自分で何でもやるなんて、すごいなお前」
優吾は無邪気にそんなことを言っている。そんな風に言うとかえって茉莉沙は傷付くのでは。どうして万夢たちを家に呼んだんだろう。「まともな親」を持つ万夢たちとは、解り合えないとは思わなかったのか。
「レツアクな環境だからさ。お化け屋敷だし、片親だし、ネグレクト親だし、自分でなんでもやらないと生き延びられないんだよ私」
茉莉沙が言った。そんなはずはないのに、何故か自慢げに聞こえた。
あんたたちみたいなあまちゃんとは違う。まともな親に甘やかされてる坊っちゃんお嬢ちゃんとは違う。そう言っているような気がした。茉莉沙は自分の力を見せたくて、呼んだのか。
優吾と万夢はお化け屋敷に足を踏み入れた。誰も在宅していないらしい。離婚して引っ越してきた、ということはお母さんかお父さんどちらかと住んでいるということだ。
お父さんだろうな、と万夢は室内を見て思った。入って右手に居間があるが、あらゆるところに中身がいっぱいの灰皿が点在し、使い終わったコップやペットボトルがそのまま放置されている。なんだか臭い。いい環境とは言えなかった。二階もあるようなのだが、階段のところに段ボールが積まれていて上に行けないようになっていた。
茉莉沙は「そっち汚いから」と、居間とは逆の部屋に向かった。茉莉沙の部屋のようだ。
「掃除しないの?」
優吾が居間を見て言った。馬鹿。そんなこと言うから嫌われる。
「私、あっち行かないんだよね。居間じゃなくて親の部屋。自分の部屋は掃除するよ」
茉莉沙は気にした様子もなく、部屋に入れてくれた。確かに部屋はきれいだった。しかし、物が少ない。引っ越してきて日が浅いということを思い出した。
「へぇーでもごはんの時とかは?」
優吾がしつこく詮索した。そうか、優吾は一人親ということは知らないのだ。
「自分で買ってきて、自分で食べてる」
「え! 作るの?」
「できてるやつ買ってくるの」
優吾は物珍しそうに色々訊いているが、万夢は早くも茉莉沙に偏見を持ち始めていた。万夢の親をまともだと言ったが、そのように思うのも頷ける生活だと思った。離婚するとそうなるのか。いや、友達のリオも親は離婚しているが、しっかり食事の用意などはしてもらっているはずだ。となると離婚が原因ではなく、もともとかもしれない。
「自分で何でもやるなんて、すごいなお前」
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「レツアクな環境だからさ。お化け屋敷だし、片親だし、ネグレクト親だし、自分でなんでもやらないと生き延びられないんだよ私」
茉莉沙が言った。そんなはずはないのに、何故か自慢げに聞こえた。
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