隣の彼女

沢麻

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幼馴染

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 万夢と仲直りしなければいけない。悠平の話を聞いてしまったら、なんだか放っておけなくなった。しかしその日は塾なので不在だと言われる。翌日以降も、うまく捕まえることができなかった。しかし潤二郎からの情報によれば、特にかわりなく塾も頑張っているとのことだ。いいか。このままでも。万夢が元気なら、それでいいか。
 
 優吾は九月の連休に、スマホを買ってもらうことになった。親にスマホが欲しいと言ったら、意外にすんなりオッケーが出た。万夢なんて四年の時から欲しい欲しいと言い続けて買ってもらうまでに二年かかったものだから、ハードルが高いものだと思い込んでいた。とりあえず潤二郎の家に遊びに行って、使い方を教わった。ラインも入れた。
 「川口にも教えよーっと」
 潤二郎はどうやら万夢に、優吾がスマホデビューしたことをラインしているようだ。ついでに優吾の番号も送ったらしく、いきなり万夢とラインで友達になった。全く関わりがないわけではないが、しばらく親しく話していない。万夢は完全に関口と二人組になっていた。 
 「スマホ女子のグループにもお前、入る? 優吾が入ればみんなすげー喜ぶよ」
 潤二郎が誘ってきたが、優吾はやんわり断った。万夢を仲間外れにしたと思うと、なんとなく構えてしまう。しかしなんだかんだでクラスのスマホを持っている面々全てとラインで繋がった。新たな世界へ踏み出したような高揚感と、自分が自分でいられなくなるのではないかという底知れぬ不安感があった。
 「ここがね、意外とエロいやつが見れるんだよね」
 潤二郎は既にそういう話に移行した。優吾のスマホはクラスメイトから次々とメッセージを受け取って鳴りっぱなし状態だ。混乱してきた。
 「疲れた!」
 優吾はスマホを潤二郎のベッドに放り投げた。
 「なんだよ、つまんねぇ」
 「……こーゆーのでいつも友達と会話してるの?」
 「いつもってわけじゃないけど、いつもなのかな。なんか慣れた。グループトークが動いてても、見てるだけだし」
 「……万夢とも話す?」
 「川口はね。塾が一緒だし南栄受験チームだから、しょっちゅう。勉強の話もするし」
 「それって勉強の邪魔だな」
 「……確かに。でも元気出るよ。勉強って飽きるし」
 「で、お前らに見込みはあるわけ?」
 優吾はズバリ訊いた。潤二郎も、万夢も、落ちて星ヶ丘に来ればいいと心のどこかで思っていた。
 
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