平成30年北海道胆振東部地震実況・電気がない!食べ物がない!

沢麻

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 家に着いたとき、着信があったことに気付いてスマホを見ると、母親であった。携帯から、ということは、電気が復旧したに違いない。私は遠慮なくかけ直した。するとまだ停電だという。札幌ではないが隣町でしかも駅近なのに、まだなのか。だったら電話してたら充電切れるからと思い、お互いを励まし合ってから手短に電話を切った。ついでに思い立って旦那の実家にも電話をかけた。こちらは家電に繋がり、義母が出た。旦那の実家は札幌よりもけっこう南で厚真にも近いので心配だったが、先程電気が復旧したとのことだった。そしてSNSを見る。復旧している書き込みは減り、まだ電気こない系の投稿が目立つ。なんだか私は不安になってきた。全然終わってなんかいない。
 
 とりあえず昼御飯は枝豆を茹で、長女と次女にはトマトジュース、長男には庭にかろうじてあったピーマンを刻んでドレッシング、次男は朝御飯の残りのオムレツとコーンのベビーフードを用意した。あっという間に皆食べ終わり、長男は「これでおわり?」と口にした。……そうだよな、そう思うよな。スーパーが元通りになるまで、食べ物が手に入らないからどんどん質素になることを再度説明すると、そっかーと理解はしているようだった。さっきあった卵のママが一週間分の食料とか言ってた。数日は大丈夫だけれど、一週間はうちも無理だと思い、可能な限り節約することにしたのだ。私は昼御飯は、ごはん少しと枝豆四つしか食べていない。
 
 そのまま午後は家で過ごした。子供達のストレスが限界に達していたので、ドラえもんの日本誕生を見せて誤魔化す。本当ならニュースが見たい。電気が戻った今、今度は物流が気になる。
 そのうちに旦那が帰宅した。昨日のワクワクした表情は立ち消え、どう見てもキレている。
 「ガソリン入れれない」
 ……なるほど。私と違って貧乏ランプが点いている彼はそういう問題も抱えているのだった。会社が自宅から一キロもないのが救いだが、ガソリンがないのは心もとないだろう。
 「食い物もダメ。おかゆしかない」
 更に施設勤務の彼は、入居者の食事が何もないと言う。うわー、また食べ物の話。その頃学校からもメールがあり、月曜日火曜日は給食なしの午前授業ということが伝えられたところだった。
 そして夕飯は冷凍のエビカツと、大根とほうれん草の味噌汁、おかゆ。エビカツの調理時にサラダ油の残りが少ないことに気付く。ヤバい。冷凍のフライはたくさんあっても、油がなければ調理できないではないか。やっぱりドラッグストアでサラダ油も買えばよかった。一歳にはそのエビカツの衣を剥がして与える。エビカツの衣を剥がすとえびのすり身によるカマボコみたいなのが出てくるという新しい発見。案の定食べず、仕方ないのでケチャップをかけて食欲を促す。更に昼間のコーンの残りにほうれん草を忍ばせたものも追加する。旦那がそっこうに食べ終わり、ごはんをおかわりしようとしたがもう残っていない。それを告げると一層不機嫌な表情になった。面倒だったので私の分のごはんを半分あげることにした。
 「果物、ないんでしょ?」
 フルーツ好きな長男と次女が言う。ないので昼間買ったグミを数粒ずつ与えて終わる。
 旦那が空腹&ガソリンのあてがないことでものすごく不機嫌な空気を醸し出し始めた。
 「ごめんね、明日は一合多く米炊くね」
 そう声をかけて、ふと思う。このペースで米を炊き続けたら、米がなくなるのでは……? 我が家は通常時は一日に五合。六合ずつとなるとけっこうな量かもしれない。やっぱりドラッグストアで米も買えばよかった。流通が戻らなければ、いよいよヤバイではないか。
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