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 そして旦那と長男のおにぎりを握る。昨日の空腹によるイライラにうんざりしたので旦那のおにぎりはでかく、ついでに柿ピーもつけた。息子の分については、私は土曜は十二時半までの勤務なので、待ってる間に昼食を済ませてもらおうと思ったのだ。おにぎりの他に、ウインナーと数日前に収穫したミニトマト一つ、今年二本しかならなかったきゅうりを甘酢漬けにしたものと、唯一豊作なかぶを甘酢漬けにしたものをタッパーに入れる。午前授業の来週の月曜日、火曜日もこのような弁当になるだろう。仕方ない。
 みんなが食べている隙に洗濯物を干し、私は味噌汁とオムレツと次女が残したごはんを食べて、子供四人を連れて出発した。保育園に三人預けると、もはや腹が減ってきた。昨日から食べる量が減っている。私は家族を優先して自分のを削っているのに、旦那の野郎は足りない足りないと不機嫌になるとはまったく親としての自覚が足りん、なんて思いながら道中のコンビニで何か売っていないかと思い立ち寄った。混んでいたらやめようと思ったが、そうでもなかったのでコーヒーと惣菜パン、チョコレートと、米をここで発見し通勤途中なのに買ってしまった。パンは夕飯足りないと言われたらみんなに配れるように四つ買った。
 「ここで勉強して、一時間経ったら漫画を読んだり図鑑を読んだり、好きなことをしていてね」
 私は女子休憩室に長男を連れていった。えっ、ここ女子のとこでしょ、エッチでしょとか言い出すから、着替えはカーテンの奥でやるから大丈夫なんだと言い聞かせる。
 「昨日専務が差し入れしてくれたケーキがあるから子供にあげなよ」
 上司がそんなありがたいことを言う。苺ショートと、私はクッキーシューを確保して十時半休憩で長男と食べた。しかし十時半の段階で長男は持ってきたグッズすべてを終了させ、もはや飽きてきていた。私は職場にあった子供用の本を何冊か拝借し、これ読んであと二時間待っててと長男に渡すと再び仕事に戻った。
 上司二名は電気復旧が遅かったようで、かなりぐったりしていた。他の同僚も皆それぞれ苦労して過ごしていたが、また再びいつものように働いている今日を嬉しく感じた。
 仕事が終わり、さっき買ったパンを一つ食べると長男と保育園に行った。長男は最近は保育園に付き合ったりせずに自宅で一人でいたり、友達と公園で遊んだりする傾向にあったが、余震が来たときに一人でいたら危ないことを説明するとすんなり理解してついてくるのだった。一瞬職場も見学させることができたし、今日の子連れ出勤は悪くなかったかな、と思った。
 
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