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19話 危険なジョーカー
しおりを挟む「祐加理の方から連絡してくれるなんて嬉しいよ」
私は久しぶりに高橋の自宅に来ていた。
「なんか可愛い一年生がいっぱい入ってきたから、先生を取られたくないなぁって思ったんです」
「ハハハ、僕は祐加理のことずっと誘ってたじゃない。逆に避けられてる感じがしてたよ?」
「私好きになり過ぎると周りが見えなくなるんです。だから先生に迷惑掛けたくないなって思って……」
「自分から距離を置こうと思ったんだね。そんな心配しなくていいんだよ」
そう言って高橋は私を抱き寄せた。流石に怪しまれないようキスは受け入れた。
そしてそのまま、あいつは私を押し倒そうとしてきた。それを両手で押し返した。
「せっかく今日は二人きりになれたんですけど、そのアレが来ちゃいまして……」
私は用意していた嘘を吐く。高橋は少し困った顔で肩をすくめた。
「じゃあ口で出来るかい?」
……歯医者にでも行っておけばよかった――心の底から虫歯になりたいと思った。
スッキリしたのかあいつは少し横になると言って昼寝を始めた。
私も眠るふりをして奴が寝るのを待った。
寝息がすーすーと聞こえるのを確認し、私は物音を立てないよう部屋を物色し始めた。なにかあいつの弱みとなるようなものはないか。そういえば姉との交換日誌にはNo.3と書いてあった。なら一冊目と二冊目はここにあるかもしれない。
私は寝室を出てリビングへと向かった。
リビングへ着いた時、テーブルの上のあいつのスマホが音を立てずに光った。
佐山という宛名から届いたメッセージにはこう書いてあった。
<せーんせい
そろそろ今月のお小遣い振り込んでくださいね♡>
スマホのロック解除は盗み見ていたから知っている。すぐさま私は佐山の連絡先を自分のスマホに入れた。
私は母から連絡があり、すぐ帰らないといけなくなったと嘘をつき、あいつの家を出た。寝起きのあいつが何かごにょごにょ言っていたが、適当に謝り私は外に出た。
そしてすぐに佐山に電話を掛けるとあっさり繋がった。
「もーし」
「あっ佐山さんですか? 私、羽田愛伊香の妹で祐加理っていいます」
「はぁ? 誰?」
一瞬姉とは関係のない人なのかと思ったが、私が丁寧に説明してみると、どうやら彼女は姉の後輩で同じ吹奏楽部だったようだ。
「それで? 羽田先輩と高橋先生がどういう関係だったかってのを知りたいとかでしょ?」
「知ってるんですか!?」
「もちのろ~ん、めっちゃ知ってるよ」
彼女は笑いながらそう言った。詳しい話を聞くため、後日合う約束をして電話を切った。
これで二枚目の切り札が手に入るかもしれない。この時はまだそう思っていた。
私は約束の十分前に待ち合わせ場所のファミレスに来ていた。
予想はしていたが彼女は三十分遅れてやってきた。
「あなたが祐加理さん?」
彼女は女子大生だと言っていたが、その服装はまるで夜のお仕事帰りのお姉さんといった感じだった。顔色が少し悪く目がトロリとしており、どことなく酔っ払ってるようにも見えた。
「はじめまして。羽田愛伊香の妹の城山祐加理です」
「こんにちは。佐山乃亜だよ。先輩と苗字が違うのねぇ」
「二年前、両親が離婚しまして。今は母方の苗字なんです」
へぇと興味なさ気に答えると彼女はイチゴパフェを注文した。
私はカフェオレを一口飲んで彼女に聞いた。
「それで、姉と高橋先生が付き合っていたのは事実ですか?」
「うんほんとだよ。隠れてこっそり付き合ってたみたいよ~先生は他にも女がいたけどね」
姉は浮気を知っていたのだろうか? もしかしたらそれが原因で姉はひどく落ち込んでしまったのではないか。
「佐山さんは姉以外の女性が誰か知ってるんですか!?」
私は少し身を乗り出して聞いた。すると彼女はニヤリと笑って答えた。
「知ってるよ~今あなたの目の前にいるよ」
私が唖然としていると、彼女は自分を指さして話を続けた。
「私がその浮気相手。でも先輩と先生が付き合ってるって知らなかったんだよ?
私も騙されてたの~ひどくない?」
全く悪びれた様子もなく彼女は笑っていた。思わずカフェオレをぶっかけてやろうかと思ったがお店の人に悪いのでやめた。
「それで聞きたいのはそれだけ? ほんとに聞きたいのはあれでしょ?」
なんで先輩が死んじゃったか――彼女は最後の一言を小声で私に伝えた。
「やっぱり……あの日姉の様子がおかしかったのは理由があるんですね?」
彼女は無言で頷く。
そしてテーブルに両手で頬杖をつくと私をじっと見てこう言った。
「教えてあげてもいいけど……いくら払える?」
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