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異常事態……
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私は帰宅すると、自分の部屋へ直行して着替えをする。
それから一日中ほとんど見ることもないスマホをバッグから取り出して、机の充電器に挿す。
しかし、この充電を忘れてしまうこともよくあって、次の日までバッグに入れっぱなしだった、なんてこともよくあったりする。
つまり、スマホへの関心なんて今まではほとんどなかったと言う事だ。
当然、スマホは次の朝まで決して触れる事もないので、部屋から持ち出すことはしない。
正直、スマホ依存の人たちの感覚がイマイチよく理解できなかった。
ただ美香に言わせると私の方がよほど理解に苦しむらしく、よくバカにされていた。
そもそも私のスマホのメモリに登録されている人数が極端に少ない。
悲しい事に、これはイコール友だちが少ないってことなのだが。
そんな訳だからスマホが手元になくても不安になる事なんか全く無かった。
それなのに。
今ではスマホを片時も離さなくなった。
今更になって“今どきの女子高生”の気持ちがよくよく分かってしまった。
理由はもちろん維澄さん。
彼女からの連絡があるかもしれないと思うと、とてもじゃないがスマホを手放すことなんかできない。
この小さな機械の向こう側に維澄さんが繋がっていると想像するだけで、まるでそのスマホが維澄さんであるかのように愛おしく思えてくるから不思議だ。
まあ、そんな想像したところで、維澄さんから個人的な連絡がくるはずもないのだが。
そんな毎日を過ごしていた時に、事件は起こった。
その日、いきなり維澄さんから着信があったのだ。
着信があった時は、悲しいかな維澄さんからだという想像すらできず“誰だ?”と訝しんでしまった。
だから、スマホの画面に“維澄さん”と表示されているのを見た時は、驚きのあまり大声を上げてしまった。
私はあわてながら通話ボタンを押した。
「檸檬です……い、維澄さんですか?」
私は興奮気味に尋ねると……
「ご、ごめんなさい急に……」
そう話す維澄さんの声が聞こえたが、私はその声を聞いた途端、一気に緊張した。
維澄さんは声のトーンを落とし、聞き取れないほどに小さな声を出したのだ。
しかも明らかに声が上ずっている。
そもそも維澄さんがいきなり連絡してきたこと自体が普通ではない。
「ど、どうしたんですか?」
「なんか……つけられてるみたいで」
それを聞いた私はあまりの緊張に内臓がぐるりと鈍く動かされたような焦燥感を感じた。
つけられてる?
ま、まさかストーカー?
とっさに前に絡んできた男性の顔が思い出された。
いや、別の男の可能性だってある。
だってあの維澄さんだ。
私ですらストーキングされた経験があるのだから……
「い、今……ど、どこですか?」
動揺しすぎて声が上ずってしまった。
「まだ自宅から結構距離あるんだけど、動けなくて……」
「自宅にはいかないで!自宅を突き止められたらやっかいだから。すぐに人通りの多いところに移動してください」
私は思ったことを早口に言った。
「維澄さん、近くに目印ありますか?」
「稲橋公園の裏あたりなんだけど」
稲橋公園の裏?く、暗いじゃないか?なんだってあんな場所に!!
私はいてもたってもいられず、部屋を飛び出した。
「翔!!」
女子高生の私一人ではどうにも不安だ。
その点、空手有段者の翔がいれば安心だ。
「なに?そんなに慌てて」
翔も私の動揺ぶりを目ざとく察知して、眼に緊張感が宿った。
「ちょっと付き合って。アルバイト先の女性が、男につけられてるっぽい」
「え?マジで?警察呼んだの?」
「まだだけど、そんな暇なさそう。稲橋公園だから直ぐ自転車で駆け付けたい」
「分かった。二人乗りじゃあスピード出ないから……別々に行こう!」
そういって二人で稲橋公園を目指した。
その後、維澄さんに何度連絡しても通話に出なくなってしまった。
いやな想像ばかりが後から後から湧きあがってくる。
私は不安で押しつぶされそうになった。
私の家から稲橋公園までは自転車で飛ばしても15分程度はかかる。
盛岡の中心部に向かう大通りを、足がちぎれるくらいに全力でペダルを漕いで飛ばした。
大通りとは言え、まだ開通してそれほど年数の経っていないこの道路沿いは、空き地しかない。
維澄さんから連絡があったのは、その大通りから一本路地を曲がったところにある公園。
人通りは少なく、この時間に女性一人で歩くなんてとんでもない。
私と翔は、公園の周りを一周したが、ついに維澄さんの姿は見当たらなかった。
私は激しい焦燥感で吐き気が催してくるのをなんとか耐えた。
歩きならそんなに遠くには行けないはずだ。
でも、考えたくないが車で拉致されるような事があれば、もうどうにもならない。
私は、電話で咄嗟にひとけのある方に行くことを指示したので、今いる公園から人通りのある通りまで自転車を飛ばした。
すると大通りに出る手前に一軒だけコンビニがあるのが目に付いた。
もしや?と思い、私はコンビニの駐車場に自転車を乗り入れて、慌てて店内をのぞきこんだ。
すると……
い、……いた。
私はホッとして崩れ落ちそうになった
それから一日中ほとんど見ることもないスマホをバッグから取り出して、机の充電器に挿す。
しかし、この充電を忘れてしまうこともよくあって、次の日までバッグに入れっぱなしだった、なんてこともよくあったりする。
つまり、スマホへの関心なんて今まではほとんどなかったと言う事だ。
当然、スマホは次の朝まで決して触れる事もないので、部屋から持ち出すことはしない。
正直、スマホ依存の人たちの感覚がイマイチよく理解できなかった。
ただ美香に言わせると私の方がよほど理解に苦しむらしく、よくバカにされていた。
そもそも私のスマホのメモリに登録されている人数が極端に少ない。
悲しい事に、これはイコール友だちが少ないってことなのだが。
そんな訳だからスマホが手元になくても不安になる事なんか全く無かった。
それなのに。
今ではスマホを片時も離さなくなった。
今更になって“今どきの女子高生”の気持ちがよくよく分かってしまった。
理由はもちろん維澄さん。
彼女からの連絡があるかもしれないと思うと、とてもじゃないがスマホを手放すことなんかできない。
この小さな機械の向こう側に維澄さんが繋がっていると想像するだけで、まるでそのスマホが維澄さんであるかのように愛おしく思えてくるから不思議だ。
まあ、そんな想像したところで、維澄さんから個人的な連絡がくるはずもないのだが。
そんな毎日を過ごしていた時に、事件は起こった。
その日、いきなり維澄さんから着信があったのだ。
着信があった時は、悲しいかな維澄さんからだという想像すらできず“誰だ?”と訝しんでしまった。
だから、スマホの画面に“維澄さん”と表示されているのを見た時は、驚きのあまり大声を上げてしまった。
私はあわてながら通話ボタンを押した。
「檸檬です……い、維澄さんですか?」
私は興奮気味に尋ねると……
「ご、ごめんなさい急に……」
そう話す維澄さんの声が聞こえたが、私はその声を聞いた途端、一気に緊張した。
維澄さんは声のトーンを落とし、聞き取れないほどに小さな声を出したのだ。
しかも明らかに声が上ずっている。
そもそも維澄さんがいきなり連絡してきたこと自体が普通ではない。
「ど、どうしたんですか?」
「なんか……つけられてるみたいで」
それを聞いた私はあまりの緊張に内臓がぐるりと鈍く動かされたような焦燥感を感じた。
つけられてる?
ま、まさかストーカー?
とっさに前に絡んできた男性の顔が思い出された。
いや、別の男の可能性だってある。
だってあの維澄さんだ。
私ですらストーキングされた経験があるのだから……
「い、今……ど、どこですか?」
動揺しすぎて声が上ずってしまった。
「まだ自宅から結構距離あるんだけど、動けなくて……」
「自宅にはいかないで!自宅を突き止められたらやっかいだから。すぐに人通りの多いところに移動してください」
私は思ったことを早口に言った。
「維澄さん、近くに目印ありますか?」
「稲橋公園の裏あたりなんだけど」
稲橋公園の裏?く、暗いじゃないか?なんだってあんな場所に!!
私はいてもたってもいられず、部屋を飛び出した。
「翔!!」
女子高生の私一人ではどうにも不安だ。
その点、空手有段者の翔がいれば安心だ。
「なに?そんなに慌てて」
翔も私の動揺ぶりを目ざとく察知して、眼に緊張感が宿った。
「ちょっと付き合って。アルバイト先の女性が、男につけられてるっぽい」
「え?マジで?警察呼んだの?」
「まだだけど、そんな暇なさそう。稲橋公園だから直ぐ自転車で駆け付けたい」
「分かった。二人乗りじゃあスピード出ないから……別々に行こう!」
そういって二人で稲橋公園を目指した。
その後、維澄さんに何度連絡しても通話に出なくなってしまった。
いやな想像ばかりが後から後から湧きあがってくる。
私は不安で押しつぶされそうになった。
私の家から稲橋公園までは自転車で飛ばしても15分程度はかかる。
盛岡の中心部に向かう大通りを、足がちぎれるくらいに全力でペダルを漕いで飛ばした。
大通りとは言え、まだ開通してそれほど年数の経っていないこの道路沿いは、空き地しかない。
維澄さんから連絡があったのは、その大通りから一本路地を曲がったところにある公園。
人通りは少なく、この時間に女性一人で歩くなんてとんでもない。
私と翔は、公園の周りを一周したが、ついに維澄さんの姿は見当たらなかった。
私は激しい焦燥感で吐き気が催してくるのをなんとか耐えた。
歩きならそんなに遠くには行けないはずだ。
でも、考えたくないが車で拉致されるような事があれば、もうどうにもならない。
私は、電話で咄嗟にひとけのある方に行くことを指示したので、今いる公園から人通りのある通りまで自転車を飛ばした。
すると大通りに出る手前に一軒だけコンビニがあるのが目に付いた。
もしや?と思い、私はコンビニの駐車場に自転車を乗り入れて、慌てて店内をのぞきこんだ。
すると……
い、……いた。
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