オレが推しを抱くなんて! かませ犬転生元社畜×闇深最強ラスボス 

毒島醜女

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ゲヘナ編

三十六章 ※

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「おやすみ、兄貴」
「ああ、またな」

用事を終え、家に帰る。
今までの緊張が解けたせいか疲れがどっと体にのしかかる。
飯食って風呂に入ると、すぐにベッドに入ってしまった。枕に顔を埋め、体を委ねる。重くなった瞼を閉じるとそのままストンと眠りに落ちた。
夢は見なかった。だがその代わり目が覚めてしまった。
携帯を開くと、今は二十三時。
もうすぐ深夜になるという時間だ。

体がむずむずとして、胸の中が抉られたように切なくなる。
これが人肌恋しい、と言うものなのだろう。
オレの指はそのまま玄二のアドレスを押していた。

――ごめんなこんな時間に。今、起きてるか?

そうメールを送ると、すぐに返事が帰って来た。

――起きてるよ。恋白はもう寝たとこ。
――ちょっと眼が覚めちゃってさ。このまま話とか、出来る?

そんな事を送って、しばらく沈黙が流れてから携帯が揺れた。

――どうせなら今から家来ねえ? オレ、リビングにいるから、そこの窓から上がってきて。ノックしてくれたら開けるから。

願ってもない誘いに、オレはその場で正座をしてしまった。
夜中にこっそり男を家に招くなんて、そんな大胆なことをしてくれるとは思わなかった。
だがオレの本能は恋人からの誘いを断るなんて無粋なことは許さない。返事をしてから身支度を整え、オレは玄二の家に向かった。

静かな夜道を進み、もう見慣れた家に辿り着くとこっそりと中に入った。
玄関をスルーして横にあるリビングの、カーテンが降ろされた掃き出し窓をノックする。

オレの恋人はすぐにカーテンを開いてオレを迎えてくれた。

「おかえり。兄貴」
「……ただいま」

夜這いじみたことをしてるっていうのに、そんな優しい言葉をかけられてオレはぎこちなく微笑んだ。
靴を持って中に入るオレを、玄二は抱きしめてくれた。

厚い胸板、甘くて、それでいて濃厚な匂い。
肉の奥から聞こえる心音に、オレの心が満たされていく。
玄二が今ここに生きている。
それが本当に嬉しい。

もう、不安に思わなくていいんだ。
その想い一つで、オレは玄二を抱き返した。

「会いたかった」
「さっき会ったばっかなのに?」
「こんな風に、くっつけなかっただろ?」

胸の隙間に顔を埋めながらそう言うと、玄二はオレの背に手を回しながら答えた。

「……シたい?」
「ああ」

恥ずかしさとか、そういうのは全然なかった。
今はただオレの全身で玄二を感じたいし、玄二の奥にオレを刻みつけたい。
顔をあげると玄二は一瞬目を見開いていたが、目を細め、頬を手で包んでくれた。

「分かった。じゃあ、準備してくる」
「いや、いいよ。オレがやるから」

風呂場に向かう玄二の手を掴んで止める。
心で思っている気持ちがそのまま口から出てしまう。

「今すぐに、玄二に触れたい。もっと、たくさん玄二を感じたい」
「あにき……ホントに? いいの」
「恋白にはバレないようにするから……さ」

暗い中でも玄二の頬が赤らんでいるのがわかる。あいつの心臓の音がこっちにまで聞こえてきそうだ。
玄二は腕に回されたオレの手を取って、指を交差させるように結ぶ。

「それじゃ、こっそり行こうか」
「ああ……」
「転ばないように、ちゃんとオレの手掴んでて」

そして手を繋いでべったりとくっついたままオレらは二階に向かった。
真っ暗な中を玄二の温もりだけを頼りに進むと、懐かしい部屋にたどり着いた。
玄二が扉を閉めた瞬間、後ろからオレは腰に手を回した。逞しい背筋に身を委ね、張りのある尻肉にもう勃ち上がりかけている息子を押し当てる。

「兄貴、もう勃ってる」
「ごめん、もう、我慢できなくて」
「平気。なんか嬉しいし……とりあえず、さ。脱ごうか」
「あ、そう、だな」

痛くなるほどに熱くなった股間を抑えながら、ベッドまで歩いて服を脱いだ。
暗闇に慣れた目に玄二の裸が映る。

逆三角形の上半身は本当にいつみても素晴らしい。本当によく出来たギリシャ彫刻に命が宿って動いているようだ。
すーっと通った鼻筋に彫りの深く、鋭い金の目。
闇に溶け込んでしまいそうな深紫の髪。
普段は只者ではない存在感を放っているが、孤独を抱えて誰かからの救いを求めていた。そんな心をずっと秘めていた、玄二。

その全てがオレのモノだ。
今夜はそれをオレにわからせて欲しかった。

「玄二、いいか?」
「いつだっていい。兄貴にだったら、いつでも抱かれたい」

そんな風に言われたらもう理性なんて保てなかった。

オレは仰向けになってベッドの上にいる玄二にのしかかって、両手で胸を揉みながら首筋に顔を埋めていた。
さっきよりも玄二の匂いが強くなってもっと興奮する。

「あの時、さ」

玄二が喘ぎながら、途切れ途切れに言葉を吐く。

「嬉し、かった……兄貴がクラブで、キス、してくれたの」
「あの女、玄二に色目使ってたから。ムカついてさ、教えてやりたかった」
「ふふ、やっぱり妬いてくれたんだ。びっく、りしたけど……ン、すげえ、幸せだった」

くすぐったそうに笑ってオレの項あたりを撫でる。
熱の籠った目は幸せそうに細められていて、潤んだ唇にオレは自分のものを重ねる。

「んん、ふっくぅ、んぁ」
「は……もっともっと、してやるからな。玄二」

オレの嫉妬すら嬉しいと言ってくれる玄二が愛しくて仕方ない。
もうオレは、彼が無くては生きてはいけない。
キュウ、と乳首を摘まむと甘ったるい息を漏らす。すかさずそこを舌で舐めて、緩急をつけて吸い付いた。

「あ、っあ、はぁ……うぅ」

吸っていない方は片手の指で押し潰すように弄る。先端をくりくりとさせると、玄二は腰をくねらせた。
玄二もオレに触れられることを喜んでくれている。それに胸が前よりも敏感になっている。
どんどんオレに貪欲になってくれていることが嬉しくてたまらない。
そんなことを思っているうちに、玄二のちんぽが太腿に当たった。それはもう勃起していた触って欲しそうにビクビクと跳ねていた。

「ちんぽ、キツい?」

唇だけで乳首を咥えたまま玄二に尋ねた。
玄二は目を潤ませながら、うんうんを何度も頭を下げた。

「……じ、自分で触っても、満足できなぃ……できなく、なった……あにきと、シてから」
「は……マジ?」
「うん……オレ、あにき無しじゃ、も、生きてけねえよぉ」

自分が今何を言って、どんな顔してるのかわかってんのか?
とろとろにとろけた顔でそんな可愛いセリフを、この世界で一番大好きな人間に言われてみろ。
もう理性どころか正気だって保てないって。

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