15 / 25
マルス神父
真夏でもないのに脂汗が止まらない。
教皇様からのお手紙越しに叱責を受け、手が震える。
私はブリジット公爵令嬢との婚約破棄を認め、ギルバート公子とチェルシー嬢との結婚を認めた。
それが公国の総意だと思ったからだ。
現に大公様に頭を下げられたのだ。受け入れるしかなかろう。
こんな結果になると知っていたら、私だって安請け合いなどしなかった。
まさか大公様が不貞行為をするとは。しかも未婚女性ならいざ知らず、名のある学者である男爵の妻というではないか!
机に突っ伏し、何度目か分からない溜め息を吐く。
公国の立場は更に危うくなっている。
宗主国である王国の血を継ぐジブリール公爵令嬢を蔑ろしただけでなく、正妃までも手酷い扱いをして王国へ帰したのだ。
我が国の外交は悲惨そのもので、ほとんどの港が封鎖状態である。
――だからって、私一人に責任があるわけではないだろう。そもそも、肉の業に翻弄された当人のせいでは?
そう自分に言い聞かせ、ハンカチで自分の手汗を拭く。
私は政治家ではない。あとこの事はもう、成り行きに任せるしかないだろう。
結論を出したところで、修道士が慌てた様子でやって来た。
「どうしたのだ」
「申し上げます、ウィメンズランドについて、ご報告が」
ウィメンズランド。
確か次期公子妃のお母上が計画している、女性だけの共同体であったか。
「ウィメンズランドにて、殺人事件が起きました」
あなたにおすすめの小説
思いを込めてあなたに贈る
あんど もあ
ファンタジー
ファナの母が亡くなった二ヶ月後に、父は新しい妻とその妻との間に生まれた赤ん坊を家に連れて来た。義母は、お前はもうこの家の後継者では無いと母から受け継いだ家宝のネックレスを奪うが、そのネックレスは……。
【完結】私の望み通り婚約を解消しようと言うけど、そもそも半年間も嫌だと言い続けたのは貴方でしょう?〜初恋は終わりました。
るんた
恋愛
「君の望み通り、君との婚約解消を受け入れるよ」
色とりどりの春の花が咲き誇る我が伯爵家の庭園で、沈痛な面持ちで目の前に座る男の言葉を、私は内心冷ややかに受け止める。
……ほんとに屑だわ。
結果はうまくいかないけど、初恋と学園生活をそれなりに真面目にがんばる主人公のお話です。
彼はイケメンだけど、あれ?何か残念だな……。という感じを目指してます。そう思っていただけたら嬉しいです。
彼女視点(side A)と彼視点(side J)を交互にあげていきます。
嘘はあなたから教わりました
菜花
ファンタジー
公爵令嬢オリガは王太子ネストルの婚約者だった。だがノンナという令嬢が現れてから全てが変わった。平気で嘘をつかれ、約束を破られ、オリガは恋心を失った。カクヨム様でも公開中。
婚約破棄を本当にありがとう
あんど もあ
ファンタジー
ラブラブな婚約者のパトリシアとラルフ。そんなパトリシアに、隣国の王立高等学院に留学しないかとのお誘いが。「私、もうこの国の王立学園を卒業してますよ?」「高等学園にはブライト博士がいるわよ」「行きます!」
当然、ラルフも付いて行くのだが、そこでパトリシアは王太子の婚約者と思われて……。
初恋の終わりは
あんど もあ
ファンタジー
おてんばで無邪気な少女と婚約した、第一王子の私。だが十年後、彼女は無表情な淑女となっていた。その事に耐えられなくなって婚約解消したのだが、彼女は「これからは、好きな物は好きだと突き進ませていただきます!」と言わんばかりに豹変! そんな彼女と反対に、私には問題が降りかかり……。