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六話 親離れしてくれません。
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ルルくんの初陣は、大成功だった。
冒険者一家のリーダーである旦那さんと奥さんは、興奮した様子でルルくんを褒めていた。
「すごいですよルル! スライムの群れを一掃したんですよ? しかも風と火の複合魔法で! たったの13歳で複合魔法が出来るなんて……うちのかみさんや娘だって、複合魔法使いこなせたのは18やそこらだっていうのに……いったいどこで見つけたんですか? あの子は神童ですよ!」
「は、はあ……私も、あの子とは偶然出会ってて」
「やはり女神様のお導きなのですね……ドロシー様は本当に素晴らしいギルドマスターであり、領主様ですから」
私が夫婦に捕らえられている間、ルルくんは魔法使いである長女ちゃんと剣士である弟くんに囲われていた。
弟くんは父親と同じくルルくんの活躍に大興奮であり、同じ魔法使いである長女ちゃんはうっとりした顔をしていた。
二人に挟まれたルルくんはいつものような笑顔を浮かべていたが、どこか居心地悪そうにしていた。
もしかして、同年代の子に関わる機会がなかったのだろうか。
だったらこれを機に関わっていって、友達も作って欲しいな。
学校に行くには貴族じゃないと駄目だから出来なかったけど、私のギルドには子連れのパーティーもいるし。
かくして初クエストを終えて、私はルルくんと一緒に帰路についた。
「よかったね、ルルくん。皆いっぱい褒めてくれたよ」
「ええ……なんだか、新鮮でした」
戸惑いながらも、ルルくんは喜んでいるようだった。
よかった。彼にとってもいい刺激になったようだ。
これでいい冒険者生活をして欲しいな。
「……あ」
家の前に来ると、見覚えのある馬車に立ち止まった。
隠居している両親のものだ。
来てくれるときは一言言って欲しいけど、どんな用だろう。
……まあわかってるけど。
「ドロシーちゅあ~ん! おかえりなさぁい!」
「相変わらず評判も上々で、お父様もお母様も鼻が高いぞ」
私を見つけると、二人は飛びついてくる。
愛情を持ってくれるのはありがたいけど……いつまでたっても、まるで幼子のように扱ってくるのはちょっと嫌だ。
こっちは男爵家継いでるんだから。
「大奥様、大旦那様、ようこそいらっしゃいました」
「あらぁ、あなたもいたのね」
ルルくんも私の両親に向かって挨拶する。
二人は私が目をかけている養子ということもあり、ルルくんが魔術の天才っていうことで、表向きは彼を悪しざまに扱わない。
でも、身分の知れないルルくんを快く思っていないのは、空気でなんとなくわかる。
「お母様、ルルくんは今日初陣だったの。それですごい評判がよくて――」
「そうなの~! さすがドロシーちゃんが育てただけはあるわ! そんなことよりね、私たち、あなたにいいお話を持って来たの!」
う。やっぱり。
私が渋い顔しているのも気づかず、母は収納ボックスから肖像画たちを取り出す。
「この人はね、伯爵家の次男坊なのよ? 田舎者で訛りがひどいけど、慣れれば大丈夫だと思うわ! ちょっと見た目が芋っぽいけどね。で、こっちは有名な侯爵家の分家の出身でね、貧乏だけど成長性もあるし、今後のこと考えたら~って思うといい気するのよ。顔もそこそこいい感じだしね」
「あの……お母様。私この前言ったけど、まだ結婚は――」
「そんなこと言ったら婚期を逃すぞ? ただでさえ優秀過ぎる女は遠慮して貰い手が少ないからなぁ。ほら、この男はどうだ? 爵位はないが、あのエーデルシュタイン商会の長男だぞ? 資産もあるし、顔はこの中で一番いいんじゃないか?」
ぐいぐい迫る両親に、苦笑いするしかなかった。
「婚期を逃す」ねえ……前世でも何回言われたことか。
「あ~……ルルくん。先に部屋帰ってて」
「……わかりました」
両親を止めるのに必死で私は気づかなかった。
ルルくんの赤い目が、二人を見つめていたことに。
冒険者一家のリーダーである旦那さんと奥さんは、興奮した様子でルルくんを褒めていた。
「すごいですよルル! スライムの群れを一掃したんですよ? しかも風と火の複合魔法で! たったの13歳で複合魔法が出来るなんて……うちのかみさんや娘だって、複合魔法使いこなせたのは18やそこらだっていうのに……いったいどこで見つけたんですか? あの子は神童ですよ!」
「は、はあ……私も、あの子とは偶然出会ってて」
「やはり女神様のお導きなのですね……ドロシー様は本当に素晴らしいギルドマスターであり、領主様ですから」
私が夫婦に捕らえられている間、ルルくんは魔法使いである長女ちゃんと剣士である弟くんに囲われていた。
弟くんは父親と同じくルルくんの活躍に大興奮であり、同じ魔法使いである長女ちゃんはうっとりした顔をしていた。
二人に挟まれたルルくんはいつものような笑顔を浮かべていたが、どこか居心地悪そうにしていた。
もしかして、同年代の子に関わる機会がなかったのだろうか。
だったらこれを機に関わっていって、友達も作って欲しいな。
学校に行くには貴族じゃないと駄目だから出来なかったけど、私のギルドには子連れのパーティーもいるし。
かくして初クエストを終えて、私はルルくんと一緒に帰路についた。
「よかったね、ルルくん。皆いっぱい褒めてくれたよ」
「ええ……なんだか、新鮮でした」
戸惑いながらも、ルルくんは喜んでいるようだった。
よかった。彼にとってもいい刺激になったようだ。
これでいい冒険者生活をして欲しいな。
「……あ」
家の前に来ると、見覚えのある馬車に立ち止まった。
隠居している両親のものだ。
来てくれるときは一言言って欲しいけど、どんな用だろう。
……まあわかってるけど。
「ドロシーちゅあ~ん! おかえりなさぁい!」
「相変わらず評判も上々で、お父様もお母様も鼻が高いぞ」
私を見つけると、二人は飛びついてくる。
愛情を持ってくれるのはありがたいけど……いつまでたっても、まるで幼子のように扱ってくるのはちょっと嫌だ。
こっちは男爵家継いでるんだから。
「大奥様、大旦那様、ようこそいらっしゃいました」
「あらぁ、あなたもいたのね」
ルルくんも私の両親に向かって挨拶する。
二人は私が目をかけている養子ということもあり、ルルくんが魔術の天才っていうことで、表向きは彼を悪しざまに扱わない。
でも、身分の知れないルルくんを快く思っていないのは、空気でなんとなくわかる。
「お母様、ルルくんは今日初陣だったの。それですごい評判がよくて――」
「そうなの~! さすがドロシーちゃんが育てただけはあるわ! そんなことよりね、私たち、あなたにいいお話を持って来たの!」
う。やっぱり。
私が渋い顔しているのも気づかず、母は収納ボックスから肖像画たちを取り出す。
「この人はね、伯爵家の次男坊なのよ? 田舎者で訛りがひどいけど、慣れれば大丈夫だと思うわ! ちょっと見た目が芋っぽいけどね。で、こっちは有名な侯爵家の分家の出身でね、貧乏だけど成長性もあるし、今後のこと考えたら~って思うといい気するのよ。顔もそこそこいい感じだしね」
「あの……お母様。私この前言ったけど、まだ結婚は――」
「そんなこと言ったら婚期を逃すぞ? ただでさえ優秀過ぎる女は遠慮して貰い手が少ないからなぁ。ほら、この男はどうだ? 爵位はないが、あのエーデルシュタイン商会の長男だぞ? 資産もあるし、顔はこの中で一番いいんじゃないか?」
ぐいぐい迫る両親に、苦笑いするしかなかった。
「婚期を逃す」ねえ……前世でも何回言われたことか。
「あ~……ルルくん。先に部屋帰ってて」
「……わかりました」
両親を止めるのに必死で私は気づかなかった。
ルルくんの赤い目が、二人を見つめていたことに。
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