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二十話 愚か者。
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「どういうこと……?」
スタンピードが片付いた後、私はその発生源である南のダンジョンに調査隊を向かわせた。
彼らが出した答えに驚愕した。
曰く、ダンジョンコアを弄った人間がいるそうだ。
ダンジョンコアとは見た目は巨大な宝石に似ていて、文字通りダンジョンの核となる存在である。
魔物の発生源であり、本来ならばすぐに破壊すべきものであるが、それは出来ない。
膨大な魔力を蓄積したそれに下手に触れれば今回のように魔物が活性化して暴走したり、噴き出した魔力による大爆発が起きたりする。
そんな事は一般人でも知っていることだ。
「コアにあった指紋を調査しましたが、ここに所属している冒険者のものとは一致しませんでした」
「じゃあ、侵入者が入ったってこと?」
「そのようです。警備の者もいたのに……どうして」
調査隊もわけがわからないという顔をしていた。
隠密魔法というものはこの世界にはあるけど、わざわざダンジョンコアなんてものに触れて暴走させるなんて。
一体何を考えてるんだ? その愚か者は。
早く見つけ出して衛兵に送りつけないと。
まだこの領地にいる可能性もある。
領地の所有している全ダンジョンの警備を強化し、他の地方のギルドマスターにも連絡した。
……私の管理不足という恥を晒してしまうが、災害には代えがたい。
何かがあってからでは遅いんだ。
●二十一話 嫌な事は重なる。
スタンピード事件での犯人は、依然として見つからなかった。
どうやら同じような事件が各地で起こっているようで、被害にあった領地は少なくなかった。
発見が遅れたのは私のように素直に報告するギルドマスターがいなかったからだ。
この事は王の知るところとなり、私に呼び出しがかかった。
「はあ……」
ギルドマスター会議。
各地のギルドマスターが王都に集まり、今後の問題解決の指針を決めるという会議をする為に呼ばれたのだ。
こうなる事はわかってはいた。
それでも、気が重い。
前世でもそうだったが、私のような行動をする者は古い価値観の人間に嫌われている。
古いやり方にこだわり、それこそが世の真理だと信じて疑わない、古参のギルドマスター達は私のやり方の何もかもが気に食わないようだ。
顔を見れば嫌味を言われるなんてことは通常運転で、わざわざ「いかにテレーシア領のギルドマスターは常識から外れているか」という長ーい手紙を寄越すこともあった。
「気が重いな……」
そんな事をぽつりと呟く。
私の隣にいたルルくんは、私の独り言に気づいたようで近づいて優しく微笑む。
「でもドロシー様は瞬時に対応し、領民と冒険者共に死傷者を出さず、原因の解明を行ったではないですか。誇ってもいいですよ」
「ありがとう、ルルくん」
彼にそう言われて、少し心が晴れた。
確かに私よりも事実を隠していたギルドマスターの方が責められるべきだよね。
うん。これなら嫌味を躱せるわ。
まあそれでも重箱の隅を楊枝でほじくって色々言われるんだろうけど。
王都に行く時の警護は、ルルくんがついて来てくれた。
何かあった時の為にテレーシア領にすぐに戻れるための召喚紋が刻まれた魔石は持った。
「じゃ、行こうか」
「はい」
そして私たちは呼び出し状に添付されていた魔法陣の上に乗って、王都に向かった。
スタンピードが片付いた後、私はその発生源である南のダンジョンに調査隊を向かわせた。
彼らが出した答えに驚愕した。
曰く、ダンジョンコアを弄った人間がいるそうだ。
ダンジョンコアとは見た目は巨大な宝石に似ていて、文字通りダンジョンの核となる存在である。
魔物の発生源であり、本来ならばすぐに破壊すべきものであるが、それは出来ない。
膨大な魔力を蓄積したそれに下手に触れれば今回のように魔物が活性化して暴走したり、噴き出した魔力による大爆発が起きたりする。
そんな事は一般人でも知っていることだ。
「コアにあった指紋を調査しましたが、ここに所属している冒険者のものとは一致しませんでした」
「じゃあ、侵入者が入ったってこと?」
「そのようです。警備の者もいたのに……どうして」
調査隊もわけがわからないという顔をしていた。
隠密魔法というものはこの世界にはあるけど、わざわざダンジョンコアなんてものに触れて暴走させるなんて。
一体何を考えてるんだ? その愚か者は。
早く見つけ出して衛兵に送りつけないと。
まだこの領地にいる可能性もある。
領地の所有している全ダンジョンの警備を強化し、他の地方のギルドマスターにも連絡した。
……私の管理不足という恥を晒してしまうが、災害には代えがたい。
何かがあってからでは遅いんだ。
●二十一話 嫌な事は重なる。
スタンピード事件での犯人は、依然として見つからなかった。
どうやら同じような事件が各地で起こっているようで、被害にあった領地は少なくなかった。
発見が遅れたのは私のように素直に報告するギルドマスターがいなかったからだ。
この事は王の知るところとなり、私に呼び出しがかかった。
「はあ……」
ギルドマスター会議。
各地のギルドマスターが王都に集まり、今後の問題解決の指針を決めるという会議をする為に呼ばれたのだ。
こうなる事はわかってはいた。
それでも、気が重い。
前世でもそうだったが、私のような行動をする者は古い価値観の人間に嫌われている。
古いやり方にこだわり、それこそが世の真理だと信じて疑わない、古参のギルドマスター達は私のやり方の何もかもが気に食わないようだ。
顔を見れば嫌味を言われるなんてことは通常運転で、わざわざ「いかにテレーシア領のギルドマスターは常識から外れているか」という長ーい手紙を寄越すこともあった。
「気が重いな……」
そんな事をぽつりと呟く。
私の隣にいたルルくんは、私の独り言に気づいたようで近づいて優しく微笑む。
「でもドロシー様は瞬時に対応し、領民と冒険者共に死傷者を出さず、原因の解明を行ったではないですか。誇ってもいいですよ」
「ありがとう、ルルくん」
彼にそう言われて、少し心が晴れた。
確かに私よりも事実を隠していたギルドマスターの方が責められるべきだよね。
うん。これなら嫌味を躱せるわ。
まあそれでも重箱の隅を楊枝でほじくって色々言われるんだろうけど。
王都に行く時の警護は、ルルくんがついて来てくれた。
何かあった時の為にテレーシア領にすぐに戻れるための召喚紋が刻まれた魔石は持った。
「じゃ、行こうか」
「はい」
そして私たちは呼び出し状に添付されていた魔法陣の上に乗って、王都に向かった。
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