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びおら

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第一章【赤との出会い編】

第三話『故の、悩み』

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 自分を襲った犯人は、まさかの憧れのデザイナー。その驚愕の事実に打ちひしがれつつも、その本人と会えるかもしれないという高揚感で情緒が不安定になった良助とは対照的に至って冷静な小百合の二人は、情報にあったショップにやってきた。
「なんか、こういう店って入りづらいよな。俺とかホントに縁が無いっていうか…」
「はぁ? アンタ、ファッションに興味あるんでしょ? てっきり常連さんかと思ってたんだけど」
「俺が、いつファッションに興味あると言ったよ?」
「あんだけネクタイの事で盛り上がっててファッションに興味ないわけないでしょ?」
「俺はあくまでネクタイと言うものに興味があるだけであって、別にファッションに興味やこだわりはない」
「まぁ確かに? アタシが見てもアンタのその格好は、ファッションを気にしてる人間がするものとは到底思えないわね。なんでそんな野暮ったい服なのにネクタイだけちゃんとしてんのよ。え、でもアンタ確か初日に並んでたとか言ってなかった?」
「並んだけど列の途中で売り切れーってなって、店に入ることなく帰ったんだよ。だから入ったことはない」
「ったく…。店の前であーだこーだ言っててもしょうがないわね」
 小百合は臆することなく店に突入した。店員がすかさず声をかけたがそれを一蹴し、逆に詰め寄った。
「オススメとかどーでもいいのよ。ねぇ、九十九ジャスミンってどこにいんのよ?」 
 あとから入店した良助は、やんわりと小百合を宥めた。突然詰め寄られた店員は訝しげに二人を睨みつけた。
「いきなり喧嘩腰で行くなよ…。あの、実は自分、九十九ジャスミンさんのそれはもう大ファンでして、もしかしたらこちらで彼女に会えるかなー、なんて思いまして。こちらに九十九さんはいらっしゃったりは…?」
「あぁ…たまにいます、お客様みたいな方…。残念ですが九十九さんは店には顔を出しませんよ。ご自身のオフィスでお仕事されてますから…」
「まぁ、それもそうだ。すみませんね、先ほどはこの子が失礼を。ところで…そのオフィスって、どこにあります?」

 良助が物腰柔らかに九十九のオフィスの場所を聞き出し、二人はそこへ向かうことにした。
「なんであの店員、アンタが聞いたらすぐに答えんのよ。ムカつくわね」
「もうちょっとこう、やんわりと行けよな…」
「面倒くさいわね…。九十九に会ったらこの手でぶちのめしてやるわ」
「おいおい、物騒な感じになるのかよ、やっぱり…」
「それは相手次第よ。今までだって相手によっては危害を加えてきたり何なら人の命を平気で奪おうとするやつもいた。そういうやつらには実力行使しかないでしょ? …いや、流石にアタシは人殺しは、してないわよ?」
「は、が怖えよ」
「そうこうしてるうちに着いたわよ。店からそんなに離れてないじゃない」
 九十九ジャスミンのオフィスは須照市の中央に位置する、街で一番高い高層ビルの上階に居を構えていた。良助はただただ呆然と見上げ、小百合は得心を得たような顔で頷いていた。
「あそこからなら…なるほどねぇ」
「どうしたんだよ?」
「あの部屋からだったら、この周辺は大体見渡せるわね。確定だわ」
「だから、一体なんなんだよ?」
「いちいちうっさいわね…。能力を使うには動かしたいものを視界に入れとかないといけないの。見えてる範囲内でしか動かせないってこと。さっき白金さんが言ってたでしょ? 聞いてなかったの?」
「そうだった。そうか、じゃあ…あの時、九十九ジャスミンがその場に居たわけじゃなかったのか…」
「まぁ実際はどうか分かんないけどね」
「って言うかアレだよな、情報を小出ししてくるよな? 一応協力するってことになったんだから、他になにか知っておくべき情報はないかよ?」
「そうね、今後いちいち聞かれてもダルいしね。じゃあ今ここで、ユーザーに関する基本情報を纏めて伝えておくわ。一回しか言わないから、よく聞いときなさいよ?」

1 ユーザーが持つ超能力とは、ものを動かす能力。もの、とは物体であったり概念であったりと様々。
2 動かす、とは基本的に位置を移動させること。形を変化させたり大きさを変えたりは基本的には出来ない。例えばマネキンの場合は各関節を動かして操っているので、関節のないマネキンを人間のように歩かせたりは出来ない。
3  能力を使う際には、動かしたい対象が視界に入っていなければならず、動かせる範囲も視界内のみ。ただし視界に入ってさえいれば実際に目で見えていなくとも動かせる。
4 一度に動かせるものは一つだけ。他のものを動かしたい場合は能力を解除しなければならない。また、一度動かした後に解除した場合、そのものは二度と能力の対象に出来なくなる。
5 能力を解除することなく連続して動かし続けられる時間はユーザーの集中力による。しかし最大でも30分までが限界と言われている。しかし記録は取られていない。
6 能力で動かすことができる対象はユーザー事に決まっている。マネキンを動かせるユーザーはマネキンしか動かせない。ちなみにこのアタシ、赤坂小百合は『赤い物なら何でも動かせる』。

 取扱説明書を丸暗記したかのような長文を一息で言い切った小百合はゼェゼェ言いながら、しかし一仕事したような顔で、かいてもいない汗をぬぐってみせた。
「お、おぅ…、お疲れ。アニメの説明回並の情報の濃度だったわ。しかし色々よく分かった。って言うかアレだろ、最後のやつが一番重要な情報だと思うんだけど、もしかして言う順番間違えてないか?」
 小百合は赤面しつつ無言のまま良助の脇腹に一撃食らわした。

「…気を取り直して。取り敢えず、ユーザーに関する事でアタシが知ってる事はこれで全部伝えたから。以後は質問禁止ね、さっきも言ったけど」
「了解した…けど、しっかし、まさかマジでこんなことが現実に存在してんだな…」
「普通はね、こんな話しても信用されないし、本当だと分かっても受け入れにくいもんよ? アンタが受け入れ早すぎんのよ」
「多分…退屈な日常が、どっかでぶっ壊れるのを期待してんのかもなぁ…遠い目」
「行くわよ」
「ナチュラル無視はやめてくれ…」

 一連のやりとりを終えた二人はビルへ向かい、受付ではねられ、そのまま警備員に締め出された。
「いやまぁ、そりゃそうだよな。セキュリティ完璧ってやつだ。いやさぁ、こういう場合ってほら、組織って言うか、さっきの白金って人から、こう、話が行ってる的な感じじゃないのかよ…?」
「いつもはそんな感じなんだけど…アタシも予想外だわ」
「お前が受付でノープラン顔した時に、あぁ終わったって思ったよ。しかし、どうするかねぇ…うまいこと九十九ジャスミン本人が外に出てきてくれでもしたらなぁ…」
「そんな…つまんない漫画みたいな事あるわけないでしょ…」
 二人が頭を抱えていると、ビルの中からひときわ派手な出で立ちの長身の女性が、後ろに地味目な女性を一人引き連れて出てくるのが見えた。小百合は少し引いていたが、良助は固まっていた。
「おいおいおい嘘だろ。ありゃ九十九ジャスミンだ。マジかよ。後ろの人はマネージャーさんか?」
「ありえないでしょ…過度なご都合主義はウケないわよ?」
「ウケないってなんなんだよ。それよりほら、せっかくのチャンスだ。接触するか、取り敢えず尾行でもしてみるか?」
「なんか腑に落ちないわね…まるで物事がうまく動く超能力でも食らってるみたい。そんなのないけど。よし」
 良助はどこか物陰を探していたが、そんな行動は無意味だった。小百合はズンズンと九十九に歩み寄って、そして前方に仁王立ちして足止めをした。
「な、なによアナタ。もしかしてワタクシのファンの方? ともすれば少しばかり威勢が良すぎるわね?」
 九十九は一瞬訝しげな顔をしたがすぐにビジネス笑顔を見せた。後ろのマネージャーのような女性は狼狽えている。
「アンタ、九十九ジャスミン?」
「えぇ、おっしゃるとおりよ」
「アンタ、マネキンを動かせるユーザーでしょ?」
「ユー、ザー? あいにくワタクシ…SNSとかは一切しない主義なの、だからそういったものは無縁なの。勧誘とかもお断りしてるわ」
「あくまでシラ切るつもりね。だったら実力行使よ」
 小百合はイチゴ型の腕時計に触れる。すると九十九が胸に付けていた薔薇のブローチが千切れ飛んだ。後ろの女性は驚いて腰を抜かしてその場にへたり込んだが、九十九はどこ吹く顔で、落ちたブローチを拾い上げた。
「これももう、そろそろ金具が弱っていたのよ。残念ね、お気に入りだったのに」
「…ビビったりしないのね?」
「こういうこともあるでしょ。…まだ、なにかあるのかしら? ワタクシこう見えて忙しい身なの。サインが欲しいようには見えないし、…用事はもうないと思うけど?」
「…あんまり派手に出来ないか…、ちっ」
 歯痒くしている小百合を横目に、九十九は漸く立ち上がって後を付いて来ている女性にブローチを預け、悠々と去っていった。去り際、距離を取って隠れていた良助を一瞥した。
「九十九ジャスミンと目が合った…マジかよ」
「間違いない。ヤツがマネキン使い。あの反応は超能力のことを知っているヤツのそれ。なのに…」
「しかし、接触したのはマズかったんじゃないか? 警戒して、もうやらなくなるんじゃ…」
「それはそれでいいのよ、被害がなくなるから。白金さんとしてはそれが良いと思ってる。けど、何か目的があってやってんだったら、やめないでしょ」
「だったら俺が夜に囮になるから、現行犯で捕まえるか?」
「えっ? …いや、それもやぶさかじゃないけど…取り敢えず、聞き込みしてみるわよ」

 それから周辺で聞き込みをしてみた結果、夜中にマネキンが歩いていると言った目撃例は一件もなかったが、二年ほど前から付近で夜中に二人でランニングをしている者がたまにいるという目撃談があった。その二人はどこか競争しているようにも見えた、とも言われた。
 その後、先ほどのショップに戻りさらに聞き込んだ所、マネキンがなくなる事件は二年前ほど前に初めて起き、それから月に一体ずつなくなっている事が分かった。その都度、警察に相談しているが犯人は捕まることなく、やがてピタッと事件は収まった。しかし突然、今月またマネキンが一体なくなる事件が起きたらしい。しかし九十九が警察への相談を止めたため、事件化はしなかった。

 二人は情報を纏めるために近くの公園のベンチに腰を下ろした。その公園は先ほどのビルからすぐ近くにあり、朝はランニングをする人がちらほら見られるが、昼間は殆ど人の姿はなかった。さらに周りを木々が取り囲んでいるため、公園の外からは中が見えづらい作りになっていた。ここでなら周りの目を気にすることなく話込めると判断した。
「この公園いい感じだけど、夜とか中で何やってるか分かりづらい物騒感あるな…。じゃあ纏めるか」
「店の人らは警察に通報してたつもりだっけど、最初の一件から九十九が止めてたんでしょうね。警察も通報があれば動くから、そこまでマヌケじゃない。けど店の人たちもその後自分で通報しなかったみたいね…。九十九に逆らえないから、か…」
「そんなにワンマンというか、パワハラする印象なかったけどなぁ…」
「アンタはファンだからでしょ。でも、これでヤツが何もしなければ…ん? なんか聞こえない?」
 言われて気付く。後ろの方からガシャンガシャンといった何かが動く音が聞こえた。振り返ると、木々の間からキラリと光る刃物を持ったマネキンが一体、ゆっくりとこちらに歩み寄っていた。
「こんな明るいうちから、まさかね」
「え、もう口封じしてくんの? 展開早すぎだろっ!?」
 さらにマネキンの後ろ、少し離れたところに九十九ジャスミンの姿があった。後ろにいたマネージャーの姿はない。
「昨日はごめんなさいね、追いかけ回して。でもアナタの逃げ惑う姿、可愛かったわよ?」
「目的はなに? コイツを狙ったの? それとも無差別?」
「単なる憂さ晴らしよ。…仕事柄ね、色々とストレスが溜まるのよ。だから夜な夜な部屋のベランダから街を見降ろしてたの。そしたらある時この力を得た。マネキンは仕事柄、自由にできる。まさに天啓だと思ったわ。逃げ惑ってる人を見てると気分がスカッとしてわ。…そしたら仕事も上手くいった。だから、邪魔してほしくないのよ」
「聞いてもないのにベラベラと…。いいわ、ここなら周りの目を気にしないで済むし、これ幸いに赤い遊具もあるわ」
 小百合が、腕時計に手を触れた。その同時、マネキンは首を傾けながら急に加速して走り出した。一気に距離を詰められ、切っ先が小百合の前髪を僅かに散らしたかと思うと、次の瞬間には地面に叩きつけられて拉げた。マネキンを押しつぶすように赤いパンダの遊具が上空から落下してきたからである。
「なんでパンダが赤いのよ…。まぁ有り難いけど」
 人の形を留めていないマネキンは、それでも蠢いていた。だがパンダが重しとなって身動きが取れない。やがて能力を解除され、動かなくなった。
 新たなマネキンを用意できる筈もなく、九十九は観念したかのように座り込んだ。気が付けば、マネージャーの女性もその場におり、同じ様に座り込んで、九十九に頭を下げた。
「ごめんなさい、九十九さん。わ、わたしが…その…」
「あなたが、この子たちに情報を、流したのね」
「これ以上、九十九さんが他の人を傷つける姿は見たくなかったんです。二年前から急に変わってしまわれたのが、怖くて…でも、どうすることもできなくて…」
「ごめんなさいね、アナタの憧れを汚してしまって」

 しばらくして立ち上がった九十九は観念して小百合と良助に向き合った。
「アナタには本当に悪い事をしたわ、本当にごめんなさい。それと赤髪のアナタも、きれいな髪をごめんなさい」
「別に誰も怪我してないし良いわよ。アンタは、どう?」
「俺は、もう、九十九ジャスミンと、こうして話してるだけで…」
「…はぁ。まぁ、あとは警察の仕事ね。盗難とか器物損壊とかそんなとこでしょ、アンタ、今まで誰も怪我させたことないでしょ? さっきだってアタシを本気で切るつもりなかったでしょうし」
「…それは、誓ってないわ。でもワタクシがしたことは許されないこと。これから警察に行くわ。…カナちゃん、これから迷惑かけることになるけど」
「待ってますから、私。任せて下さい」

 それから九十九ジャスミンは出頭した。その後どうなったかは二人には知る由もなかった。ただ、今回のマネキン事件は確かに、解決となった。
 事務所に戻ると既に事の顛末は白金に伝わっており、良助は労いの言葉を受け取った。
「案外、早い解決で良かった良かった。工藤君もお疲れ様」
「コイツはマジで何もしてませんよ?」
「囮を買って出てくれたんだろ? 充分じゃないか」
「その必要なかったし。じゃあアタシこれで」
 小百合は良助を一瞥することもなく事務所を後にした。
「それじゃあ、俺もこれで。もう狙われる心配もないことだし…」
「そうだね、それがいいかもしれない。…よくよく考えたら、無理に自分の能力を知る必要もないしね。日常に戻れる人は戻るべきだ」
「…そうですよね、俺はどこにでもいる普通の大学生ですから、こちら側の人間には…やっぱり、なれませんよ。正直、マネキンが包丁持ってきた時、体が動きませんでした。情けない話ですけど…あぁ、あと、すいませんけど赤坂…さんには礼を言っておいて貰えますか、言いそびれて」
「伝えておくよ」
 そう言って良助は白金に頭を下げて事務所を出た。白金は呼び止めることなく、手元にある資料に目を落とした。
 事務所を出ると、ドアに小百合は、もたれかかってはいなかった。

つづく
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