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第三章【能力の在り方編】
第九話『ネクロ・マンサー その2』
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時は僅かに遡り、良助は須照市自然史博物館を訪れていた。講義のレポートを纏めるのに必要な資料を閲覧するためである。しかしそれもあるが、本当の目的は趣味が大きく占めていた。
良助は子供の頃から恐竜が大好きで、ここには休日によくステラサウルスの全身骨格標本を見に来るくらい常連であった。資料集めもそこそこに今日もステラサウルスのご尊顔を拝みに行こうと思っていた時、ふと資料を広げたままの机の上に開かれた、古い新聞に目が留まる。
「須照市が生んだ奇跡、岩永不如帰の歩みぃ? なんか見覚えというか、聞き覚えが…あぁ、時計屋の店主が言ってた…」
椅子に腰を下ろし、その新聞をじっくり読むことにした。
―――岩永不如帰こと岩永このえ。彼女はここ、黄泉比良村、今でいう須照市で生まれる。生まれたときの産声が『来たる来たるや根より来たる』という呪文のようなハッキリとした口調だったことから神の生まれ変わりと考えられ、社を建てられてその中から出ることなく十四歳まで育てられる。
十四歳の誕生日、村の者が一人、突如『来たる来たるや根より来たる』と大声で叫び、山の中へ走り去っていき、そして二度と戻らなかった。村の者は神の怒りだと恐れて村を捨てて逃げるものが次々と現れたが、何故か皆、すぐに戻ってきた。それからは、まるで生ける屍の如くあらゆる感情を失ってただ生きる存在と成り果てた。
その後も不思議なことは起こった。置いてある農具が浮かび上がり宙を舞ったり、河の水が柱の形を成したり、動物の死体が動き出したり。そして不如帰が二十歳になる頃、村は消滅した。
それから岩永は都会に出て、一人での生活を始める。特殊な環境で育ったが順応性がとても高かった彼女は、難なく一般人の仲間入りをする。その時代の他の人と同じような人生を送り、家族を持ち、幸せな人生を手にする。その頃には彼女の周りで不思議な事は起こらなかった。
だが彼女が五十歳になったある日、村で起こったような不思議な事が再び起こる。そのことがマスコミに知られ、一躍、彼女は時の人となる。
『謎の超能力者 岩永不如帰』。不如帰という芸名を与えられた彼女は、周りに期待されるがまま言われるがままに数々の超能力を披露して人を沸かせた。時には赤い物を操り、時には黒いものを操り、また時には人の心を操りもした。彼女の前では人は正直になる。彼女の前ではすべてをさらけ出す。すべての人は彼女の思いの儘…。
あらゆる分野から彼女は調べられたが、何もわからなかった。人の脳の活性化していない部分が発達しているだとか、宇宙からの何かしらのエネルギーを受けているだとか、改造手術を受けたからだとか、神の生まれ変わりだとか。そのどれも要領を得なかった。彼女が百八歳で天寿を全うするその日までも、結局誰にも何も分からずじまいとなった―――
「やっぱ芸能人だったか。しっかし昔っからいたんだなぁ、エスパーみたいな人って。…ん? この…不如帰が亡くなった日って…今から二年前か。ユーザーが出だしたのも確か二年前って言ってたよな…それに、俺がこの街に来たのも…。いや待てよ、この超能力って…似てるよな、ユーザーの能力に…だとしたらこの…彼女の前では人は正直になる。これって…」
良助は言いようのない不安感に襲われた。この事を、白金は知っているのか? …何故か今、そんな疑問が頭を過った。
「うっわ、マジでデケーじゃん。ヤッバ」
「ちょ、歯、エグっ」
大きな声が聞こえる。見ると、ステラサウルスの周りに騒ぎまくる高校生が群がっていた。良助は頭を振った。
(今は考えるのはやめとくか…今度、白金に聞いてみるとして、)
「っていうか博物館で騒ぐなよな…一人だけ真面目にちゃんと見学してんだろ、あの子ちっとは見習えって話だ…」
五月蝿い高校生が去って行くのを待った後で、良助は一人で存分にステラサウルスを眼福した。
そして翌日、良助もニュースを知る事となる。居てもたってもいられなくなったため良助は大学を休んでまで自然史博物館に向かうも、立ち入り禁止のテープが見張られていて中へ入ることはできなかった。周りには野次馬が大勢いた。耳を澄ますといろいろな話が聴こえてくる。
「昨日まで普通にあったのに、朝には、なくなってたって」
「なんか、あの標本が動き出してどっかへ歩いていったとかって」
「入り口の鍵が内側から空いてたって」
良助は思わず小百合に電話しようとしたが授業中と思い、取り敢えず、やはり大学に行くことにした。そして講義が終わり、小百合に電話した。
「律儀に学校終わんの待って電話よこしたの? まぁ良いけど。うちの学校でもその話で持ちきりよ。なんせ、つい昨日そこ行ったわけだし」
「昨日のあの喧しい高校生…やっぱお前らか」
「は? アンタもいたの昨日? 暇なのね」
「暇言うな。それで、これってアレだろ、ユーザーの仕業だろ?」
「でしょーね。警察から白金さんに要請があったみたいだからそうでしょ。今そこに青山とサラが向かってるって。アタシは友達のところ行ってからアンナさんと合流することになってるから」
「俺には連絡なかったな…」
「アンタは正規メンバーじゃないからそう毎回はないでしょ。今回はアンタから首突っ込む形になっただけよ」
「わかった…あぁ良かった」
「何が良かったのよ?」
「いや、おまえ、学校に友達いるんだな、って」
「っさいわね。ちょっと気になることがあんの」
「気になること?」
「いやね、その友達…っていうか、その子がね、今日学校休んでんの。で、連絡しても繋がらないから気になんの。昨日、ちょっと様子も変だったし…」
「なんにせよ、友達は大事にしろよ」
「大きなお世話よ。とにかく、首突っ込みたいなら止めないけど邪魔すんじゃないわよ、じゃあ」
暫くすると、博物館に見覚えのある二人組が姿を現す。向こうも良助に気付き、手を降って近づいてきた。
「ニイサンじゃないッスか~。ここで何してんスか?」
「まぁ、斯々然々…」
現れた青髪の青年、青山輝(あおやま らいと)と桃谷は白金の指示で件のステラサウルス失踪事件の捜査のためにここに来たようだった。
「って言うかお前さ、今俺が名前聞くまで絶対自分から名乗る気なかったよな?」
「え、名乗ってなかったっスか? そいつは失礼~。で、中には入れないんすよねぇ…どうしましょうかねぇ~」
「警察と協力してんじゃないのか? 入れてもらえないのか?」
「あんま大っぴらに警察とは関わりたくないんスよね、こんだけ人多いと」
「そうか…あぁ、さっき何となく周りの話聞いてみたんだが、内側から鍵か空いてて、それで恐竜が勝手に歩いて出ていったとかなんとか」
「恐竜を動かす能力ってことッスか? また随分とニッチな…鍵が空いてるってことは関係者が? いや、鍵も能力使ったら開けられないことはないか…」
「犯人は現場に戻るのよ、これサスペンションの鉄則よ」
いきなり桃谷は得意げに鼻を鳴らして言い放った。今日もフードを目深に被り、マスクをしていた。
「桃チャンはドラマとか好きだもんネ~。現場に戻る、か…」
「それか、まだ現場にいるとか?」
「ニイサン怖いこと言わないで下さいよ~。殺人事件とかだったらシャレなんないスから…」
「これは立派な誘拐事件だっ!! 充分シャレんなってねぇよっ!!」
「なんなんスか、いきなり…圧ヤバいっスよ」
「ステラサウルスが攫われたんだぞっ!? これが冷静でいられるかよっ…」
「今までフツーのテンションだったじゃないっスか…あ、小百合嬢から電話。…はい、はい、はぁ、…へ? …了解ッス」
「なんだったんだよ、電話?」
「いやね、今すぐそこ行くから~って。んで、犯人の目星がついた、勘が当たればまだ博物館の中にいるかもって。ニイサンの推理、あながち~ってやつじゃないんスか」
「この中にいる、だと? …ブチのめしてやるっ!!」
「だからどんなテンションなんスか…」
「おーい、見つかったそうだぞーっ!! 近くの須照川に沈んでたってーっ」
誰かの大声が聞こえた。どこからか来た野次馬のようだった。それを聞いた野次馬群衆はぞっとその方へ流れていった。その方向には、市内を流れる河川、須照川がある。その川は深くて危険で有名だった。
「見つかったんスか。じゃあ万事解決? ってワケにもいかないかぁ~。ニイサン…あれ?」
良助の姿は、須照川はなだれ込む群衆の中にいた。
「…あの人ってさ、ボケなの? ツッコミなの? ワタシ分かんないけど」
「どっちでもいいっスわ~って感じ」
つづく
良助は子供の頃から恐竜が大好きで、ここには休日によくステラサウルスの全身骨格標本を見に来るくらい常連であった。資料集めもそこそこに今日もステラサウルスのご尊顔を拝みに行こうと思っていた時、ふと資料を広げたままの机の上に開かれた、古い新聞に目が留まる。
「須照市が生んだ奇跡、岩永不如帰の歩みぃ? なんか見覚えというか、聞き覚えが…あぁ、時計屋の店主が言ってた…」
椅子に腰を下ろし、その新聞をじっくり読むことにした。
―――岩永不如帰こと岩永このえ。彼女はここ、黄泉比良村、今でいう須照市で生まれる。生まれたときの産声が『来たる来たるや根より来たる』という呪文のようなハッキリとした口調だったことから神の生まれ変わりと考えられ、社を建てられてその中から出ることなく十四歳まで育てられる。
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その後も不思議なことは起こった。置いてある農具が浮かび上がり宙を舞ったり、河の水が柱の形を成したり、動物の死体が動き出したり。そして不如帰が二十歳になる頃、村は消滅した。
それから岩永は都会に出て、一人での生活を始める。特殊な環境で育ったが順応性がとても高かった彼女は、難なく一般人の仲間入りをする。その時代の他の人と同じような人生を送り、家族を持ち、幸せな人生を手にする。その頃には彼女の周りで不思議な事は起こらなかった。
だが彼女が五十歳になったある日、村で起こったような不思議な事が再び起こる。そのことがマスコミに知られ、一躍、彼女は時の人となる。
『謎の超能力者 岩永不如帰』。不如帰という芸名を与えられた彼女は、周りに期待されるがまま言われるがままに数々の超能力を披露して人を沸かせた。時には赤い物を操り、時には黒いものを操り、また時には人の心を操りもした。彼女の前では人は正直になる。彼女の前ではすべてをさらけ出す。すべての人は彼女の思いの儘…。
あらゆる分野から彼女は調べられたが、何もわからなかった。人の脳の活性化していない部分が発達しているだとか、宇宙からの何かしらのエネルギーを受けているだとか、改造手術を受けたからだとか、神の生まれ変わりだとか。そのどれも要領を得なかった。彼女が百八歳で天寿を全うするその日までも、結局誰にも何も分からずじまいとなった―――
「やっぱ芸能人だったか。しっかし昔っからいたんだなぁ、エスパーみたいな人って。…ん? この…不如帰が亡くなった日って…今から二年前か。ユーザーが出だしたのも確か二年前って言ってたよな…それに、俺がこの街に来たのも…。いや待てよ、この超能力って…似てるよな、ユーザーの能力に…だとしたらこの…彼女の前では人は正直になる。これって…」
良助は言いようのない不安感に襲われた。この事を、白金は知っているのか? …何故か今、そんな疑問が頭を過った。
「うっわ、マジでデケーじゃん。ヤッバ」
「ちょ、歯、エグっ」
大きな声が聞こえる。見ると、ステラサウルスの周りに騒ぎまくる高校生が群がっていた。良助は頭を振った。
(今は考えるのはやめとくか…今度、白金に聞いてみるとして、)
「っていうか博物館で騒ぐなよな…一人だけ真面目にちゃんと見学してんだろ、あの子ちっとは見習えって話だ…」
五月蝿い高校生が去って行くのを待った後で、良助は一人で存分にステラサウルスを眼福した。
そして翌日、良助もニュースを知る事となる。居てもたってもいられなくなったため良助は大学を休んでまで自然史博物館に向かうも、立ち入り禁止のテープが見張られていて中へ入ることはできなかった。周りには野次馬が大勢いた。耳を澄ますといろいろな話が聴こえてくる。
「昨日まで普通にあったのに、朝には、なくなってたって」
「なんか、あの標本が動き出してどっかへ歩いていったとかって」
「入り口の鍵が内側から空いてたって」
良助は思わず小百合に電話しようとしたが授業中と思い、取り敢えず、やはり大学に行くことにした。そして講義が終わり、小百合に電話した。
「律儀に学校終わんの待って電話よこしたの? まぁ良いけど。うちの学校でもその話で持ちきりよ。なんせ、つい昨日そこ行ったわけだし」
「昨日のあの喧しい高校生…やっぱお前らか」
「は? アンタもいたの昨日? 暇なのね」
「暇言うな。それで、これってアレだろ、ユーザーの仕業だろ?」
「でしょーね。警察から白金さんに要請があったみたいだからそうでしょ。今そこに青山とサラが向かってるって。アタシは友達のところ行ってからアンナさんと合流することになってるから」
「俺には連絡なかったな…」
「アンタは正規メンバーじゃないからそう毎回はないでしょ。今回はアンタから首突っ込む形になっただけよ」
「わかった…あぁ良かった」
「何が良かったのよ?」
「いや、おまえ、学校に友達いるんだな、って」
「っさいわね。ちょっと気になることがあんの」
「気になること?」
「いやね、その友達…っていうか、その子がね、今日学校休んでんの。で、連絡しても繋がらないから気になんの。昨日、ちょっと様子も変だったし…」
「なんにせよ、友達は大事にしろよ」
「大きなお世話よ。とにかく、首突っ込みたいなら止めないけど邪魔すんじゃないわよ、じゃあ」
暫くすると、博物館に見覚えのある二人組が姿を現す。向こうも良助に気付き、手を降って近づいてきた。
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「まぁ、斯々然々…」
現れた青髪の青年、青山輝(あおやま らいと)と桃谷は白金の指示で件のステラサウルス失踪事件の捜査のためにここに来たようだった。
「って言うかお前さ、今俺が名前聞くまで絶対自分から名乗る気なかったよな?」
「え、名乗ってなかったっスか? そいつは失礼~。で、中には入れないんすよねぇ…どうしましょうかねぇ~」
「警察と協力してんじゃないのか? 入れてもらえないのか?」
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「そうか…あぁ、さっき何となく周りの話聞いてみたんだが、内側から鍵か空いてて、それで恐竜が勝手に歩いて出ていったとかなんとか」
「恐竜を動かす能力ってことッスか? また随分とニッチな…鍵が空いてるってことは関係者が? いや、鍵も能力使ったら開けられないことはないか…」
「犯人は現場に戻るのよ、これサスペンションの鉄則よ」
いきなり桃谷は得意げに鼻を鳴らして言い放った。今日もフードを目深に被り、マスクをしていた。
「桃チャンはドラマとか好きだもんネ~。現場に戻る、か…」
「それか、まだ現場にいるとか?」
「ニイサン怖いこと言わないで下さいよ~。殺人事件とかだったらシャレなんないスから…」
「これは立派な誘拐事件だっ!! 充分シャレんなってねぇよっ!!」
「なんなんスか、いきなり…圧ヤバいっスよ」
「ステラサウルスが攫われたんだぞっ!? これが冷静でいられるかよっ…」
「今までフツーのテンションだったじゃないっスか…あ、小百合嬢から電話。…はい、はい、はぁ、…へ? …了解ッス」
「なんだったんだよ、電話?」
「いやね、今すぐそこ行くから~って。んで、犯人の目星がついた、勘が当たればまだ博物館の中にいるかもって。ニイサンの推理、あながち~ってやつじゃないんスか」
「この中にいる、だと? …ブチのめしてやるっ!!」
「だからどんなテンションなんスか…」
「おーい、見つかったそうだぞーっ!! 近くの須照川に沈んでたってーっ」
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「見つかったんスか。じゃあ万事解決? ってワケにもいかないかぁ~。ニイサン…あれ?」
良助の姿は、須照川はなだれ込む群衆の中にいた。
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