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びおら

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第三章【能力の在り方編】

第十話『ネクロ・マンサー その3』

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 暫くしてから、なんとも言えない顔で良助は戻ってきた。既に小百合とアンナが合流しており、待ちくたびれたと言った様子だった。
「はぁ…それはもう、見るも無残な姿だった…バラバラになってて一部は流されてるから、もう再展示は絶望的だそうだ…絶望的だ…」
「あのね、別にアンタを待たなきゃいけない言われはないのよ? 分かる?」
「まぁまぁ小百合ちゃん。でも、彼を待とうって言ったの小百合ちやんよね」
「静かにしててアンナさんっ…じゃ、じゃあやるわよ」
「何をやるんだ?」
「犯人をあぶり出すのよ」
「どうやって? って言うか犯人の目星がついたってのは…?」
「それはそれとして。で、先に言うけど、ユーザーが能力を使う時はね、視界内に動かしたい対象があればいいの」
「知ってるけど」
「視界内にさえ入っていれば、実際に目で見えてなくても良いの」
「知ってるけど」
「アンタは能力が使えないからイメージできないだろうけど、アタシたちが能力を使う時ね、その動かしたい物に意識が集中するのよ。例えば仮に目の前にポストがあるとして、こう…そこにあるポストに意識がグーッと、いくわけよ」
「なるほど」
「これを逆に利用すれば、視界内に動かせる対象があるか探知出来るわけよ」
「へぇ、それはすごいんだろうな、多分」
「あんま分かってないようだけど、まぁいいわ。とにかく今からそれをやる。もしアタシが思ってる子が犯人だとしたら…分かると思う」
 いつになく、小百合の顔が曇っていた。
「小百合ちゃんがあんなに人に丁寧に話してあげるなんて珍しいわねぇ。やっぱり彼には何か、人に胸襟を開かせる魅力があるのかな…?」
「そーッスかぁ? まぁ、周りを見てる人だとは思いますケド、なんとなく」
「ワタシには分かんない。ボケなのかツッコミなのか」

 野次馬は既にかなり減っていた。川に行ったまま帰った者もいれば、事件解決で興味を失った者。あと残っているのは警察関係者か暇人か、ユーザーだけであった。小百合は博物館がちょうど視界に収まるように距離を取った。皆もついていく。
「その、心当たりある人って他には、緑色とか青とかピンクのものは身につけてなかった? アレば私たちも探せるかも」
「それがあんまり覚えてないのよ、でも赤いキーホルダーだけはハッキリ覚えてるの。赤い恐竜のやつ」
「赤い恐竜? ティラノサウルスか? でも確か今は赤色のイメージじゃ…」
「知らないけど三本角があるやつよ、顔の周りにビラビラがあって」
「トリケラトプスが…どうして赤いんだよっ!?」
「っさいわね。んなことどーでもいいのよ。集中するから黙ってなさいよ」
 小百合は目を閉じて腕時計に触れ、博物館全体に能力のイメージを飛ばした。その顔が徐々に険しくなっていく。そして目を見開く。
「あれ…いくつかある。なんで…」
「もしかしてそれって、売店で売ってるお土産じゃないか? 俺はお土産とかグッズとかには興味ないから見たことないけど、それだったら売店に同じやつがいくつかあるだろうから…」
「っそうか…でも、どれか一つ、離れたところにない、か…そこまで…うまく、探せない…」
「俺も何か手伝ってやりたいけど…俺にはどうすることもできない…歯痒いな…」
 その時、良助は本当にふと、昨日見た古い新聞を思い出した。

『時には人の心を操りもした。彼女の前では人は正直になる。彼女の前ではすべてをさらけ出す。すべての人は彼女の思いの儘…』

(すべての人は正直になる、人の心を操る、人の心を動かす…まさか)
 良助には、未だ自分の能力は分からない。しかしそれでも、何か力になれないか、それだけで考えた。そして、意識を視界内、博物館に向けるーーー。

「…三階の、左側、そこ、集中してみてくれ」
 突然の良助のその言葉に、小百合は何も言わずに意識を言われた場所に向けた。すると、他のすべての反応が一階の売店に集まっている中、一つ離れた反応がそこにあった。
「あったっ!! 三階の資料室っ!! 行くわよっ!!」
 小百合は博物館に向かって走り出した。四人も直ぐに後を追った。

 三階の資料室のドアの鍵は開いていた。息を切らしながら小百合はそのドアに手をかけた。
「恐雲さん、入るわよ」
 部屋の中には、ガタガタ震えた恐雲美千瑠がいた。

つづく
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