PK−Users. ーサイコキネシス−ユーザーズー

びおら

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第五章【全てを塗り潰す色編】

第十八話『落ちる一滴 その2』

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 被害者は発見されているだけで三人。そのうちの一人は、以前良助と小百合を監禁した『時計の針を動かすユーザー』である時塔波理という男だった。他の二人もユーザーだった。

 COLORS事務所に全員が招集された。その中には良助もいた。
「共通点は皆が例の求人サイト、イワトリクルートに登録して、ユーザー絡みのバイトをしていた、と言うことだね」
 白金が見たことのない険しい顔で言った。アンナと桃谷はどこか怯えているようでもあった。
「そこのサイトを見てユーザーを狙ったってことは、犯人はユーザーってことっスよね、フツーに考えたら」
「一般人の犯行の可能性もあると?」
「ほら、前にあったじゃないっスか、たまたま同級生がユーザーだったってことを知った奴が妬んで暴行したって事件。まぁ、その事件の時は原因の一つが、やられた被害者の方が普段から調子乗って能力を見せびらかしてたっていうことがあったとか。…別に自業自得ってわけでもないッスけどねぇ…」
「ユーザーの存在も徐々にだけど、知られていってるからね…ありえるかもしれない」
 小百合の脳裏にふと、あの夢が過った。
「ユーザーは、皆殺し…」
「赤坂?」
「え、アタシ…今、何か言った?」
 小百合の顔色が明らかに悪い。白金は小百合に帰るように言ったが、彼女は拒否した。
「アタシは大丈夫だから、続けて」
「…分かった。そこで今回、このイワトリクルートを運営するイワトコーポレーションを調査することにしようと思う。この組織は何らかの方法でユーザーを見つけ、利用または排除している。…会社か、それとも個人がやっているかは分からないが、放置はできない。目下の最重要課題だ。これから…」
 良助は白金の出す指示をあまりちゃんと聞いていなかった。それよりも赤坂の表情が気になって仕方がなかった。いつもの不遜な態度かつ自信に満ちた様子からは想像もつかないような、弱々しく、青ざめて、不安げに、どこか怯えたような彼女の姿は、まだ付き合いは浅いが、一度も見たことがない。
「………では各自、よろしく頼むよ」
 白金のその言葉で解散となった。それぞれは受けた指示の通りに動き出した。部屋に残ったのは白金と良助と、そして赤坂の三人だけだった。
「小百合君、やっぱり君、どこか悪いんじゃないかい? それとも、前に話していた正夢の事が気になって…」
 白金に言われて赤坂はハッと顔を上げて口の端を上げてみせた。
「別にどこも悪かないわよ。ごめん白金さん、さっき話聞いてなかったの。アタシの役割は?」
「君はしばらく待機。そう言ったんだよ」
「なんでよ?」
「今の君に頼める仕事はない。そういうことだ」
「ナメてんの?」
「怯えた子猫のように肩を震わせて強がっている女子高生に頼める事なんてあると思うかい?」
 赤坂はそれ以上反論しなかった。白金は目だけを良助に向けて言った。
「君も話を聞いてなかったようだね。君も待機だ」
「………そっすか」
「じゃあ、これで話は終わった。各自、よろしく頼むよ」
 赤坂はそのままにも言わずに部屋を出ていった。良助は白金の方を一度見て、彼女の後を追った。

「何が待機よ。バカにしてんじゃないわよ…ったく」
 赤坂は腕を組んで、前を向いたままで少し後ろを歩く良助に愚痴りながら駅までの道を歩いていた。
「おまえさ、マジで何があったんだよ」
「だから何もないわよ」
「何もないわけないだろ。…そういやさ、さっき白金さんが言ってた正夢ってなんのことだよ?」
「正夢? …………まいっか、アンタに話すくらい」
「そこはさ、アンタになら話してもいっか、だろ?」
「意味分かんないわ。…まぁ、こういうことよ」
 赤坂は見た夢のことを良助に話した。話しながら、たまに自分の肩を抱いたり人を向いたりしていたことに、彼女は自覚していなかった。
「使命、ねぇ………」
「そこ、気になんの?」
「使命ってことは明確な意思を持ってやるわけだろ? 突発的な…気の迷いとかじゃなくて。それは厄介な奴だよなぁ」
「なに本気にしてんのよ、だからただの夢だって」
「けど気になってんだろ、それもかなり」
「ま、まぁ………」
「他に何か理由でもあんじゃねぇのか? その夢が…正夢になるかも、っていう」
「………アンタまさか、アタシの心を見たんじゃないでしょうね?」
「なわけねーだろ。ってかそもそも俺の能力は心を見るとかではねーし。いや、マジでなんかあんのかよ」
「実は…その、夢の中で、そう叫んでた奴の顔…見覚えがあんのよ」
「…知ってる奴、なのか?」
「えぇ…。それにね、そいつ…その人、実際ユーザーじゃないの」
「ユーザーじゃない…当てはまるな」
「で、でも、たかが夢で警戒とかするべきじゃないわよね。あー、なんかアンタに話したらちょっと気分マシになったわ。それじゃ、アタシは言われた通り待機させてもらうわ。アンタも学生生活、満喫しなさいよ?」
 そう言って笑顔で駅の中に消えていった赤坂の肩は確かに、もう震えてはいなかった。それでも良助には言いようのない不安が未だ、纏わりついていた。

 つづく
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