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【運命】
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この世界には昔から魔法という概念が存在している。それは空気や水の様にごく当たり前に常に誰しもの側にあるものだ。
そしてモンスターと呼ばれる怪物もまた、昔からこの世に蔓延っていて人々に仇なしていた。
やがてそのモンスターの中でも知能や魔力の高い個体が現れ出してそれらは魔族と呼ばれる種となり、下位のモンスターを使役することで繁栄を築いていった。そしてその魔族の中から魔王と恐れられる強大な存在が生まれ、人々と魔族との全面的な争いの時代へと時は移り変わっていくのだった。
戦乱は数百年に及んだ。当初は力なき人々は魔族に一方的にやられるのみであったが、ある時、人々の中から奇跡的に魔族と対抗しうる力を持つ者が現れる。それを人々は勇気ある者、勇者と呼び讃えた。
そして遂に勇者とその仲間たちの手によって魔王は打倒され、世に平和が訪れることとなった。
それから幾星霜の時が経つも、一度たりとも人々とモンスターによる大きな争いは起こっていない。それどころかモンスターもここ最近は殆ど姿を見せなくなり、魔法の力もとても弱くなってきている。地方によってはモンスターも魔法も一切存在しない所まで存在している。文明こそ衰退しているものの、恒久的に平和な世界が続いていた。
「どうして世界はずっと平和なの? おじいちゃん?」
庭先のウッドチェアに腰掛ける老人の足元に座り込んで膝に頬を寄せている孫娘は、その純粋無垢な瞳で問いを投げかけた。
「お前は平和な世界が好きじゃないのかい?」
「そんなことないよっ ずーっと平和だったら、こうやって、ずーっとおじいちゃんとお話してられるもん」
「そうかい、おじいちゃんもそう思っているんだよ」
「えー、じゃあ、どうして世界がずっと平和なのか、知ってるってことだよねー?」
「………もしかしてお前も、そうなのかい?」
「だって、またあれやるのヤダもんっ」
「おじいちゃんも、本当にそう思うよ………」
今、この世界で生きる『生命体』の殆どは転生者である。それも殆どが前世が勇者だった者である。
彼らは争い続けることに疲れたのだ。もしまた争いになってその命を落とすことになれば、また勇者に転生するハメになってしまう。
一度、勇者となってしまった者は次に転生しても必ず勇者となってしまう運命なのだ。だが誰もが争わなければやがて勇者という存在がこの世界から必要なくなる。魔王がいたとしても、勇者がいたとしても、争わなければそれらは単なる肩書に他ならない。そしていつの日か、魔王は生まれなくなる。なぜならこの世は、勇者だけになってしまうのだから。
おわり
そしてモンスターと呼ばれる怪物もまた、昔からこの世に蔓延っていて人々に仇なしていた。
やがてそのモンスターの中でも知能や魔力の高い個体が現れ出してそれらは魔族と呼ばれる種となり、下位のモンスターを使役することで繁栄を築いていった。そしてその魔族の中から魔王と恐れられる強大な存在が生まれ、人々と魔族との全面的な争いの時代へと時は移り変わっていくのだった。
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そして遂に勇者とその仲間たちの手によって魔王は打倒され、世に平和が訪れることとなった。
それから幾星霜の時が経つも、一度たりとも人々とモンスターによる大きな争いは起こっていない。それどころかモンスターもここ最近は殆ど姿を見せなくなり、魔法の力もとても弱くなってきている。地方によってはモンスターも魔法も一切存在しない所まで存在している。文明こそ衰退しているものの、恒久的に平和な世界が続いていた。
「どうして世界はずっと平和なの? おじいちゃん?」
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「お前は平和な世界が好きじゃないのかい?」
「そんなことないよっ ずーっと平和だったら、こうやって、ずーっとおじいちゃんとお話してられるもん」
「そうかい、おじいちゃんもそう思っているんだよ」
「えー、じゃあ、どうして世界がずっと平和なのか、知ってるってことだよねー?」
「………もしかしてお前も、そうなのかい?」
「だって、またあれやるのヤダもんっ」
「おじいちゃんも、本当にそう思うよ………」
今、この世界で生きる『生命体』の殆どは転生者である。それも殆どが前世が勇者だった者である。
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一度、勇者となってしまった者は次に転生しても必ず勇者となってしまう運命なのだ。だが誰もが争わなければやがて勇者という存在がこの世界から必要なくなる。魔王がいたとしても、勇者がいたとしても、争わなければそれらは単なる肩書に他ならない。そしていつの日か、魔王は生まれなくなる。なぜならこの世は、勇者だけになってしまうのだから。
おわり
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