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第三章:青空のその向こうへ
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翌日。
何となく落ち着かなくて早めに家を出た。普段よりも一時間ほど早く家を出る俺を、母さんは不思議そうに見送った。
昨日のことがあったせいか、自然と零された「いってらっしゃい」がひどく胸に突き刺さった。それに加え、家族に対して違和感を覚えてしまった。
母さんは、本当に俺の母さんなのだろうか。俺に向けられた愛情は本物のように感じるが、どうにも本当の母さんじゃないような気がした。顔も俺と母さんは似ていない。こう思うのは失礼だが、母さんは俺と血が繋がっていないのではないかと思う。
それもこれも、世界の秘密を暴いたら分かるのだろうか。
まだ生徒が登校していない学校に到着し、自分の教室に荷物を置いた。さすがに誰も来ていないようで、教室は閑散としていた。
だが、一番廊下側の列の真ん中の席に、見慣れたエナメルバッグが置かれていた。バッグに着けられた可愛らしい茶色の熊のキーホルダーは、俺が知る限りでは一人しか所持していない。
どうやら、北原が既に登校しているようだった。いつもは遅刻寸前に息を切らして教室に駆け込んでくるくせに、今日は随分と早く学校に来たらしい。
彼女も、学校を調査しているのかもしれない。昨日、あんな化け物に襲われたばかりだというのに、全く危機感がない。人がいない時間帯に一人でうろつくのは危ないだろう。
俺は北原を探すべく教室を後にした。この学校は広いから、どこを調査しているか見当がつかない。
……まさか、あの地下室じゃないよな。あとは、生徒会室のあの部屋を見つけて探していたりとか。
俺は内心焦りながら、早足で校内を駆け巡った。
三年の教室、職員室、図書室。ざっと見てみるが、職員室に教師がいるだけで他に人は見当たらなかった。
北原に連絡した方が早いだろうか。そう思って携帯を取り出したところで、廊下の先に何かが落ちていることに気がついた。
携帯をポケットに戻し、それに駆け寄る。屈んで拾い上げるとそれは一枚の楽譜だった。たぶん、ピアノ用だろう。俺はピアノの楽譜しか見たことがないから合ってるはずだ。
そこそこ長めの楽譜だった。曲名は書かれていない。
不思議なことに、これは手書きの楽譜だった。所々消えかけているが、まだ読めない程ではない。楽譜の右上には、『Kaoru.H』と綺麗な筆記体で刻まれている。
誰かの名前だろうが、心当たりはない。少なくとも三年生にはこのような名前の生徒はいない。
だが、俺はこの楽譜を見て北原のことが浮かんだ。この間、プロ並みの演奏を披露した北原に関係するものではないかと直感的に思った。
北原に見せれば、何か分かったりしないだろうか。そう思って再び北原を探しに歩きだそうとした時、あの日のようにどこからか旋律が聞こえてきた。
きっと北原だ。
俺はまた、宝石のように綺麗なメロディに惹かれて歩き出した。
辿り着いた音楽室からは、少しだけ忙しないピアノの音がした。遠くで聞いている時はただ楽譜通りに正確に弾かれた音色だと思っていたが、近くに来ると感情が込められた熱い音色だった。情熱的で、小さいながらに煌々と己を燃やす炎みたいだ。
「……北原」
中に入ると、北原が無我夢中でピアノに指を滑らせていた。入ってきた俺に気がつかず、少しだけ苛立ったような音を奏でていた。
見た事のない北原だった。ただならぬ気迫に満ち溢れているが、不安定で今にも崩れてしまいそうだった。
途中で集中力が切れたのか、素人の俺でも分かるくらい音が外れた。一筋の光を紡いでいた音色は、一瞬のうちにバラバラに砕け散る。
それから音は聞こえなくなり、滑らかに動いていた北原の手も止まった。
「あれ……繋?」
ようやく俺に気づいた北原が、驚いたように振り返った。丸まった瞳が俺を映し出す。
「おはよう、北原。今日は早いんだね」
「あー……何か落ち着かなくてね」
「俺も一緒。昨日で何か大きな一歩を踏み出したみたいでさ」
「分かる。ここ数日でいろんなもの見たけど、昨日のあの変なのが一番インパクト強かったもんね」
北原は椅子に腰かけながら腕を組む。楽譜台には、相変わらず何も置かれていなかった。
「あのさ、アタシね、何か思い出しそうなんだ」
「大切な記憶のこと?」
「たぶん。昨日、夢を見たんだ。アタシが、すごく綺麗な衣装を着て、どこかのホールでピアノを弾く夢」
北原は白鍵をそっと撫でながら、懐かしむような顔つきで語った。
「中学生くらいのアタシだったと思う。子供には似合わないようなドレスみたいな衣装でさ、スポットライトがアタシを照らし出して……大きなピアノと一緒に舞台の上にいたんだ」
「ピアノ発表会みたいな?」
「そんな感じ。全く身に覚えはないけどね。でも、不思議と自分が経験したことだっていうのは、なんとなく分かった」
「じゃあ、ピアノを弾いたことが北原にとって一番大切な記憶?」
「いや……そんな気もするんだけど、ちょっと違うというか……」
北原は唸りながら眉間に皺を寄せる。何かを確かめるように何度かピアノを鳴らすが、しっくりこないようでさらに唸り声を上げるだけだった。
「コンクールとか出たことないの?」
「ないよ。前も言ったみたいに、ピアノ弾いたのはあれが初めてだから」
「記憶にある限りは、だっけ」
「そうそう。うーん……どうやって思い出せばいいんだろ。あずみたいに、写真とかあればいいんだけどなぁ」
毛先を弄りながら言う北原の言葉で思い出した。
そういえば、俺はこの楽譜を北原に見せようと思っていたのだ。もしかすると、彼女が言ったように、あずにとっての写真がこの楽譜かもしれない。可能性は低いが、万が一のこともある。
「北原、この楽譜なんだけど……」と俺は廊下で拾った楽譜を差し出した。
「楽譜? アタシは楽譜落としたりなんてしてないけど」
「何か手がかりになるからと思って一応ね。心当たりはない?」
「パッと見ないかな。アタシ、この間ピアノ弾くまで楽譜なんてロクに見たことなかったし……これ、何の曲なんだろ」
北原が難しい顔をして楽譜を凝視する。
「曲名書いてないの?」
「書いてなかった。楽譜が読めれば、有名な曲であれば分かるかなって思ったけど、俺にはさっぱり」
「だよなぁ。アタシもピアノは手が勝手に弾いてくれるようになったけど、相変わらず楽譜は読めないままだし……」
「あ、でも、代わりに名前みたいなのは書いてあったよ」
「名前?」
「ほら、ここ」
俺は首を傾げた北原に、楽譜に書かれた名前を指さした。北原の澄んだ瞳が、指先を辿っていく。
「しかもさ、このサインみたいな名前も、音階も、全部手書きなんだよね。学校にある楽譜って、だいたいが印刷されたものなのに珍しくない?」
「……」
「北原?」
突然黙り込んだ北原を不思議に思い、彼女の顔を窺う。
北原は、『Kaoru.H』の文字を見つめたまま固まっていた。丸くなった瞳は時折揺らぎ、その名前をゆらゆらと映し出す。北原らしくない寂しそうで切なげな瞳は、その文字から視線を外すことはなかった。
「北原、その人知ってるの?」
俺が訊ねると、北原はハッとしたようにゆっくりと顔を上げた。
「……波多野薫」
北原が落ち着きを放った声でそう告げた。
波多野薫。
聞いたことのない名前だった。名前だけでは性別も年齢も判断できない。北原が知っているということは、おそらく彼女の知り合いなのだろうが、やけに北原が動揺したような顔をしているのは何故だろう。
「薫さん……」と北原が再び楽譜に視線を落とす。
「知ってる人?」
「……どう、なんだろ。名前がふと浮かんできただけ。でも、なんだかとても大切というか……憧れ? みたいな感じがする」
「……ピアノ関係の人かな? 北原がピアノ教室に通っていたとして、そこの講師とかさ」
「んー……かもしれないね。よく、分かんない。思い出したいのに、うざったいくらい頭に霧がかかってる」
北原は苛立ったように立ち上がった。突然立ち上がるものだから、俺は大袈裟に肩を揺らす。ごめん、と北原の短い謝罪を聞いて、俺はその楽譜に書かれたメロディを見つめた。
何となく落ち着かなくて早めに家を出た。普段よりも一時間ほど早く家を出る俺を、母さんは不思議そうに見送った。
昨日のことがあったせいか、自然と零された「いってらっしゃい」がひどく胸に突き刺さった。それに加え、家族に対して違和感を覚えてしまった。
母さんは、本当に俺の母さんなのだろうか。俺に向けられた愛情は本物のように感じるが、どうにも本当の母さんじゃないような気がした。顔も俺と母さんは似ていない。こう思うのは失礼だが、母さんは俺と血が繋がっていないのではないかと思う。
それもこれも、世界の秘密を暴いたら分かるのだろうか。
まだ生徒が登校していない学校に到着し、自分の教室に荷物を置いた。さすがに誰も来ていないようで、教室は閑散としていた。
だが、一番廊下側の列の真ん中の席に、見慣れたエナメルバッグが置かれていた。バッグに着けられた可愛らしい茶色の熊のキーホルダーは、俺が知る限りでは一人しか所持していない。
どうやら、北原が既に登校しているようだった。いつもは遅刻寸前に息を切らして教室に駆け込んでくるくせに、今日は随分と早く学校に来たらしい。
彼女も、学校を調査しているのかもしれない。昨日、あんな化け物に襲われたばかりだというのに、全く危機感がない。人がいない時間帯に一人でうろつくのは危ないだろう。
俺は北原を探すべく教室を後にした。この学校は広いから、どこを調査しているか見当がつかない。
……まさか、あの地下室じゃないよな。あとは、生徒会室のあの部屋を見つけて探していたりとか。
俺は内心焦りながら、早足で校内を駆け巡った。
三年の教室、職員室、図書室。ざっと見てみるが、職員室に教師がいるだけで他に人は見当たらなかった。
北原に連絡した方が早いだろうか。そう思って携帯を取り出したところで、廊下の先に何かが落ちていることに気がついた。
携帯をポケットに戻し、それに駆け寄る。屈んで拾い上げるとそれは一枚の楽譜だった。たぶん、ピアノ用だろう。俺はピアノの楽譜しか見たことがないから合ってるはずだ。
そこそこ長めの楽譜だった。曲名は書かれていない。
不思議なことに、これは手書きの楽譜だった。所々消えかけているが、まだ読めない程ではない。楽譜の右上には、『Kaoru.H』と綺麗な筆記体で刻まれている。
誰かの名前だろうが、心当たりはない。少なくとも三年生にはこのような名前の生徒はいない。
だが、俺はこの楽譜を見て北原のことが浮かんだ。この間、プロ並みの演奏を披露した北原に関係するものではないかと直感的に思った。
北原に見せれば、何か分かったりしないだろうか。そう思って再び北原を探しに歩きだそうとした時、あの日のようにどこからか旋律が聞こえてきた。
きっと北原だ。
俺はまた、宝石のように綺麗なメロディに惹かれて歩き出した。
辿り着いた音楽室からは、少しだけ忙しないピアノの音がした。遠くで聞いている時はただ楽譜通りに正確に弾かれた音色だと思っていたが、近くに来ると感情が込められた熱い音色だった。情熱的で、小さいながらに煌々と己を燃やす炎みたいだ。
「……北原」
中に入ると、北原が無我夢中でピアノに指を滑らせていた。入ってきた俺に気がつかず、少しだけ苛立ったような音を奏でていた。
見た事のない北原だった。ただならぬ気迫に満ち溢れているが、不安定で今にも崩れてしまいそうだった。
途中で集中力が切れたのか、素人の俺でも分かるくらい音が外れた。一筋の光を紡いでいた音色は、一瞬のうちにバラバラに砕け散る。
それから音は聞こえなくなり、滑らかに動いていた北原の手も止まった。
「あれ……繋?」
ようやく俺に気づいた北原が、驚いたように振り返った。丸まった瞳が俺を映し出す。
「おはよう、北原。今日は早いんだね」
「あー……何か落ち着かなくてね」
「俺も一緒。昨日で何か大きな一歩を踏み出したみたいでさ」
「分かる。ここ数日でいろんなもの見たけど、昨日のあの変なのが一番インパクト強かったもんね」
北原は椅子に腰かけながら腕を組む。楽譜台には、相変わらず何も置かれていなかった。
「あのさ、アタシね、何か思い出しそうなんだ」
「大切な記憶のこと?」
「たぶん。昨日、夢を見たんだ。アタシが、すごく綺麗な衣装を着て、どこかのホールでピアノを弾く夢」
北原は白鍵をそっと撫でながら、懐かしむような顔つきで語った。
「中学生くらいのアタシだったと思う。子供には似合わないようなドレスみたいな衣装でさ、スポットライトがアタシを照らし出して……大きなピアノと一緒に舞台の上にいたんだ」
「ピアノ発表会みたいな?」
「そんな感じ。全く身に覚えはないけどね。でも、不思議と自分が経験したことだっていうのは、なんとなく分かった」
「じゃあ、ピアノを弾いたことが北原にとって一番大切な記憶?」
「いや……そんな気もするんだけど、ちょっと違うというか……」
北原は唸りながら眉間に皺を寄せる。何かを確かめるように何度かピアノを鳴らすが、しっくりこないようでさらに唸り声を上げるだけだった。
「コンクールとか出たことないの?」
「ないよ。前も言ったみたいに、ピアノ弾いたのはあれが初めてだから」
「記憶にある限りは、だっけ」
「そうそう。うーん……どうやって思い出せばいいんだろ。あずみたいに、写真とかあればいいんだけどなぁ」
毛先を弄りながら言う北原の言葉で思い出した。
そういえば、俺はこの楽譜を北原に見せようと思っていたのだ。もしかすると、彼女が言ったように、あずにとっての写真がこの楽譜かもしれない。可能性は低いが、万が一のこともある。
「北原、この楽譜なんだけど……」と俺は廊下で拾った楽譜を差し出した。
「楽譜? アタシは楽譜落としたりなんてしてないけど」
「何か手がかりになるからと思って一応ね。心当たりはない?」
「パッと見ないかな。アタシ、この間ピアノ弾くまで楽譜なんてロクに見たことなかったし……これ、何の曲なんだろ」
北原が難しい顔をして楽譜を凝視する。
「曲名書いてないの?」
「書いてなかった。楽譜が読めれば、有名な曲であれば分かるかなって思ったけど、俺にはさっぱり」
「だよなぁ。アタシもピアノは手が勝手に弾いてくれるようになったけど、相変わらず楽譜は読めないままだし……」
「あ、でも、代わりに名前みたいなのは書いてあったよ」
「名前?」
「ほら、ここ」
俺は首を傾げた北原に、楽譜に書かれた名前を指さした。北原の澄んだ瞳が、指先を辿っていく。
「しかもさ、このサインみたいな名前も、音階も、全部手書きなんだよね。学校にある楽譜って、だいたいが印刷されたものなのに珍しくない?」
「……」
「北原?」
突然黙り込んだ北原を不思議に思い、彼女の顔を窺う。
北原は、『Kaoru.H』の文字を見つめたまま固まっていた。丸くなった瞳は時折揺らぎ、その名前をゆらゆらと映し出す。北原らしくない寂しそうで切なげな瞳は、その文字から視線を外すことはなかった。
「北原、その人知ってるの?」
俺が訊ねると、北原はハッとしたようにゆっくりと顔を上げた。
「……波多野薫」
北原が落ち着きを放った声でそう告げた。
波多野薫。
聞いたことのない名前だった。名前だけでは性別も年齢も判断できない。北原が知っているということは、おそらく彼女の知り合いなのだろうが、やけに北原が動揺したような顔をしているのは何故だろう。
「薫さん……」と北原が再び楽譜に視線を落とす。
「知ってる人?」
「……どう、なんだろ。名前がふと浮かんできただけ。でも、なんだかとても大切というか……憧れ? みたいな感じがする」
「……ピアノ関係の人かな? 北原がピアノ教室に通っていたとして、そこの講師とかさ」
「んー……かもしれないね。よく、分かんない。思い出したいのに、うざったいくらい頭に霧がかかってる」
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