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新生活の始まり
親睦を深めよう
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親睦を深める……って、どうやるの?
いやまぁ、私は空気。隣にはむっちゃんがいるし、誰とでも仲良くなれそうな、神無月さんと小望さんもいる。私は何もしなくても、自然と仲良くなってくれるだろう。
……問題は、私が十六夜さん、如月さんと仲良くなれるかどうかなんだよなぁ……多分無理。
「まぁ結局、仲良くなると言ったら自己紹介だよね!という事で、まずは私から!私の名前は神無月瑠奈!背はこのようにめちゃちっちゃいけど、それを利用して小動物的な可愛さ?的なやつ目指すのもありかなって思ってます!まずは一年間、よろしく~!」
相変わらず勢いが凄すぎる神無月さん。……小動物的な可愛さって、何だっけ…?小動物的な可愛さって、元気系でもなれるんだっけ…?
「じゃあ次はあたしー。私は小望愛華。多分この学校じゃ唯一のギャルじゃな~い?ギャップ萌えが好きだったから~勉強頑張ってたら、モデルの友達にこの学校の存在を教えられて、特別って言葉に惹かれて来た感じでーす。好きな四字熟語は猪突猛進!何事もとりま突撃っしょ!ということで、一年間よろ~。」
ギャルって、怖いイメージしかないけど…小望さんは頭が良いからか、その怖さがあんまり無い。…悪口を言ってないから?私が今まで出会ったギャル、誰かの悪口を大声で言うような人ばっかりだったから……
小望さんに会って、ギャル=「怖 悪」っていうイメージが、そうでも無くなった。
とはいえ、小望さん以外のギャルは怖いんだけどね…
「次は私…かな。私は、玲美睦月。みっちゃ…夏子ちゃんと同じ中学に通ってて、その頃から仲が良いです。学校行事委員、何をする委員会なのかは分からないけど、精いっぱい頑張ります。まずは一年間、よろしくお願いします。」
中学の頃から仲の良い友人扱い、頂きました!!言葉にされるだけで、ここまで嬉しいとは…!
うんうん。そうだね。やっぱり、伝えたいことは言葉にしないと伝わらない、よね。大事なことは、ちゃんと言葉にしよう…うん。身に沁みて感じたよ。
……十六夜さんと如月さんが話し出す気配もないし…これ、次は私…?
「わ、私の名前は、夏子文月…です。えーっと、とにかく、邪魔にならないように精いっぱい頑張ります!一年間よろしくお願いします!!」
と、とりあえずこんな感じで…いいよね?うん。大丈夫、当たり障りのない感じのはず。明らかに前3人より内容が極薄だけど、しょうがない。大丈夫。悪目立ちさえしなければ、大丈夫。
「じゃあお次は私《わたくし》ですわね。私の名前は十六夜姫香。AIを革新的に進化させた、あの十六夜家の娘ですわ。学校行事委員、何をする委員なのかは細かく言われていませんが…私がいる時点で、何事も心配はいりませんわ。とりあえず一年間、よろしくお願い致しますわ。」
「十六夜ちゃ~ん!早速だけど、姫って呼んでいい?」
「もちろんいいですわよ。私の名前はどこを取っても美しいのですから!」
「じゃああたしはひめっちって呼ぶねー!」
「じゃあ私は姫ちゃんって呼ぶね。」
皆が一斉に呼び名を言う。そして、如月さん以外みんなが私を見る。
…………これ、私も何て呼ぶか言う流れってやつ…?
普通に呼ぶなら十六夜さんだけど…姫、姫っち、姫ちゃん。私も何か姫関連の呼び方の方が良い…?いやでも、変なこと言って場が凍り付いたりしたら、私もそのまま心肺停止して死ぬよ?
…うん、やっぱり普通で行こう…盛り上がらなくとも、冷めはしないだろう。
「じゃ、じゃあ私は……………十六夜さんって呼ぶね…」
「いやめっちゃふつー!」
「これぞつきっち。」
「シンプルイズベストだよね。」
……え、これ、正解引いたやつ?それとも、みんなが優しすぎるやつ?…まぁ、明らかに後者だろう。
むっちゃんだけでなく、神無月さんと小望さんもフォローしてくれる。え、最高か?高校生活上手くいく気しかしないんだが?この高校、来てよかった!……あれ、でも、今私、退学の危機に陥ってるんだよね…
「次は私かしら?私は、如月凛。一応、そこのですわですわうるさいお嬢様に勝ち、首席合格しているわ。一つ、あなた達と馴れ合うつもりは無いわ。二つ、委員会の仕事はきちんとする。協力が必須なものは、必ず全力で協力すると誓うわ。三つ、姫香に頼ろうと思ったものは、先に私を頼りなさい。以上」
「四つ、凛は頼りにならないので頼らなくていいですわ。人に頼るのは恥ずかしいことでは無い。ので、私には、是非頼ってくださいまし。」
「おー、早速バチバチだねぇ」
「犬猿の仲ってヤツかな?」
私から見たら、結構強めの喧嘩なんだけど……二人にとっては多分、日常茶飯事なのだろう。
その証拠に、ほんの少し、ほんの少しだけ、如月さんの表情も、十六夜さんの表情も、和らいでいる気がする。
「如月ちゃーん!りんりんって呼んでもいい?」
「私はりんっち…はなんか言いにくいから……如月……きさらぎ……きさっち?きさっちって呼んで良い?」
恐れを知らない二人……だ、大丈夫?「ダメに決まってるでしょ。バカなの?頭悪いの?」くらい強烈なこと言われない?十六夜さんとのやり取り見てたら、それくらい言われそうだけど……
「好きにしなさい。」
………意外と寛容だった。あだ名で呼ぶのは馴れ合う、には入らないんだ…
「じゃあ私は凛ちゃんって呼ぶね。」
また、如月さん以外の四人が私を見る。………え、さっきと同じ流れだよね、これ?普通に、如月さんって呼びます。でいいんだよね…?
「じゃ、じゃあ私は……き、如月さんって呼ばせていただきます…」
「なんか緊張してない?ふみふみ。」
そりゃあ、めちゃくちゃ鋭い口喧嘩を見せられたばかりですから……三人に対しては大丈夫でも、私に対しては「は?あなた程度の存在が私の名を呼ぶつもりなの?やめてくれないかしら。底辺が伝染るわ。」とか言われるかもしれないじゃん!(言われない)
「呼び方なんて好きにしなさい。ただ、馴れ合うつもりは無いわ。」
「大丈夫ですわよ皆さん。凛は怖いのは口だけなので。遊びに誘えばついてくるのが凛という女なのですわよ。」
「ついて行かないわ。何を言ってるの?姫香。適当なこと言わないでくれる?」
十六夜さんが、座ってる如月さんの肩に手を置いて、言う。……なんか、この二人が仲良しに見えてきた。如月さんもその距離感に嫌がる様子ないし…
「そういえばー、二人はミッションどうだった?」
「何言ってるのよ。あなた達に言うわけないでしょう?」
「私は【一日喧嘩をしない】だったわ。簡単ですわね。凛が学校を休めば全てが解決するわ。」
「私が学校を休むなんてあり得ないわ。」
「そう。じゃあ物凄く難易度の高いミッションになりそうね。」
「お互い様よ。」
お互い様………ということは、如月さんも十六夜さんに関係のあるミッションという事か…?
「お互い様?」
「…私も姫香と同じミッションなのよ。」
「同じとかあるんだ!」
各々の性格に沿って作られるって言ってたから……如月さんと十六夜さんは似てるって事?……そうは見えないけど…
「あら、言ってしまって良かったのかしら?」
「いいのよ別に。どうせ変わらないのだから」
……確かに、二人とも超絶自信家というところは、似てる…あと、頭も良い。
…今はこれくらいしか共通点が分からない。けど、きっと、もっとあるのだろう。AIが言うのだから間違いない!
「あなた達はどのようなミッションだったのかしら?」
「私は、これー。」
「…一週間累計三時間自宅学習…………ま、まぁ、難しいか簡単かの価値観は人それぞれですわよね。」
「あたしはこれ。」
「…一日敬語……………これも、そうですわね。人によって価値観は違いますわよね。」
「簡単じゃん」とは決して言わない十六夜さん……私が抱いていた第一印象と大きく違った…
正直、「簡単すぎますわね。もはやこれをミッションと捉える必要性が無いほど…あ、すみませんね。あなたがたにとってはこれが難しい部類に入るのですわよね(笑)それは申し訳ないことをしたわ(笑)」的なこと言うと思ってた。(言うわけない)
「あ、それでね!つきちゃんのミッションがヤバくて…」
「ヤバいって…難しいという事ですの?」
「いや、そうじゃないんだよ…玲ちゃん、言っても大丈夫?」
「もちろん、大丈夫だよ。私は、これだったの。」
「…無し!?え、どういうことですの!?」
まぁ、そういう反応になるよね…
「私にも分からないよ…」
「ちょっと凛!これ見てみなさい!」
「何よ。………これ、玲美さんのかしら?」
「そうですわ。凛、私たちでもミッションありましたのに…」
「………これは…私達二人とも負けね…」
「そ、そんな…凛ちゃんと姫ちゃんとは、学力で差がありすぎるよ…」
ミッションでも勝負とかあるんだ…というか、やっぱりこの二人仲良くない?二人の会話で、お互いを認めてるのが分かるし…
ツンデレ×ツンデレの、ツンデレペアってこと…?
「りんりんと姫、勝負大好きだよね」
「この二人が認めるなんて…流石玲ちゃんだ…」
「ほんとほんと。流石むっちゃん」
「みっちゃんだけでなくルナちゃんと愛ちゃんまで……」
みっちゃん信者は永遠に増え続ける宿命なんだよ。みっちゃん。
「もう!私はいいから!」
「じゃあ次は、夏子さんのミッションですわね。」
「えーっと、私は…しょうもないミッションなので…」
「友達を作る」がミッションだなんて知られたら、友達がいないクソ陰キャであり、友達を作ることも出来ないクソカス陰キャだってことがバレちゃう……いや、もしかして変わらない?もうバレてるかもしれないし…
「みっちゃんは、友達を作るって言うミッションなの。私も、あいちゃんも、ルナちゃんも、ミッション前から友達だったから…手伝うことが出来なくて…」
「つまり、私に夏子さんと友達になって欲しい、という事ですわね?…そんなこと、言われなくても大丈夫ですわよ。私は、夏子さんのこと気に入ってますから。是非友達になりましょう!」
「えぇ!?」
たった二つの会話ラリーで私に友達が出来かけてる!?え、何、魔法?これもむっちゃんの魔法?
「え、いやそんな…」
「私じゃ不満ですの?」
「いやそんな!そんなわけないじゃないですか!わ、私にはもったいなさすぎるといいますかなんといいますか……」
「ややこしい性格してますわね…友達なんて…少し会話すれば友達ですわ。」
私にとっての「友達」というものへの価値観と、十六夜さんの価値観が違いすぎる……いや、そもそも私が「友達」に対して重すぎるだけなのかもしれない…
「友達を作るというミッション……もしかしたら、私《わたくし》が友達だと思っても、夏子さんが友達だと思ってなかったら意味が無いかもしれませんわね……」
「私ともちちは昨日話しただけだけど、友達だよ?」
「私も!」
「そういう事なら、きっと、私《わたくし》が高貴すぎて萎縮してるのですわ。仕方の無い事ですわ。なんせ、この私《わたくし》ですから!」
……なんというか、神無月さんと小望さんは距離の詰め方が尋常じゃなかったり、友達1000人いそうだったり、その1000人の中の一人ならまぁ、私でも大丈夫だろう。という感じだったのだが……十六夜さんは、最初からグイグイ来てた訳では無いし、何よりお嬢様だし、如月さんとよく喧嘩してたし。
結局、気持ちの問題だ。
「じゃあじゃあ~、姫とふみふみ、二人で遊んで来たら~?」
「えっ!?」
「…仲良くなるには手っ取り早い手段ですわね。」
え、え? いやいや、無理だよ。無理。私が二人っきりで遊べる人なんて、家族とむっちゃんしかいないよ。むっちゃんと二人っきりで遊ぶのすら難易度が高いのに!まだ仲良いと言っていいのか分からないくらいの距離感の十六夜さんと?お嬢様と!?
無理です
「さ、流石にそれは…」
「私はいい案だと思うけどなぁ…みっちゃん、それくらいしないと「友達」って思えないんじゃない?」
「…じゃ、じゃあせめてむっちゃんも──」
「もちろんダメだよつきっち?それじゃあ、結局ずっと玲ちゃんにくっついてるのが目に見えてるよ?」
「うぅぅ……」
みんな私の背中を押してくる…みんなから見たらその先が天国かもしれないけど、私から見たら崖に掛けられた一本の紐の上を歩けって言われてるようなものなんだよ…
いや、そもそもだ。そもそも、十六夜さんが許可を出すわけがないだろう。お嬢様だから、忙しそうだし!庶民の遊びとかしなさそうだし!!
「私は別に構いませんが…」
「えっ!?」
「そこまで否定されると流石の私も傷つきますわよ?」
「えっ!?いや、そんなつもりじゃ……」
いやでも、十六夜さんから見たら、自分と一緒に遊びたくなくて、何とか逃げようとしてる人、に見えるよね……それは無礼にもほどがある。
「あ、あのあのわたしぃ…友達と遊ぶとか、慣れていなくて…その、十六夜さんを楽しませるとか出来る気がしなくて…」
「何言ってるのよ。あなたが私《わたくし》を楽しませるのではなく──」
そう言いながら、近づいてくる十六夜さん。そしてそのまま私の顎を、手でクイッと…世間一般的に言われる、顎クイをされ───
「私《わたくし》が、あなたをエスコートしますわよ?」
「えっ、あ、あのそのえっと………」
「きゃー!姫かっこいいー!!」
「ひゅ~!イケメン姫っち~!」
「…バカバカしい」
「なんだか複雑な気分…」
…え、なにこれナニコレ。こういうの、陽キャじゃ普通なの?え、顔近いし。なんかいい匂いするし。顔良いし。金髪が綺麗だし……というか近い!!
「という訳で、今日の放課後、東京駅で遊びましょう。」
「は、はいぃ……」
私は、押しに弱かったらしい。
いやまぁ、私は空気。隣にはむっちゃんがいるし、誰とでも仲良くなれそうな、神無月さんと小望さんもいる。私は何もしなくても、自然と仲良くなってくれるだろう。
……問題は、私が十六夜さん、如月さんと仲良くなれるかどうかなんだよなぁ……多分無理。
「まぁ結局、仲良くなると言ったら自己紹介だよね!という事で、まずは私から!私の名前は神無月瑠奈!背はこのようにめちゃちっちゃいけど、それを利用して小動物的な可愛さ?的なやつ目指すのもありかなって思ってます!まずは一年間、よろしく~!」
相変わらず勢いが凄すぎる神無月さん。……小動物的な可愛さって、何だっけ…?小動物的な可愛さって、元気系でもなれるんだっけ…?
「じゃあ次はあたしー。私は小望愛華。多分この学校じゃ唯一のギャルじゃな~い?ギャップ萌えが好きだったから~勉強頑張ってたら、モデルの友達にこの学校の存在を教えられて、特別って言葉に惹かれて来た感じでーす。好きな四字熟語は猪突猛進!何事もとりま突撃っしょ!ということで、一年間よろ~。」
ギャルって、怖いイメージしかないけど…小望さんは頭が良いからか、その怖さがあんまり無い。…悪口を言ってないから?私が今まで出会ったギャル、誰かの悪口を大声で言うような人ばっかりだったから……
小望さんに会って、ギャル=「怖 悪」っていうイメージが、そうでも無くなった。
とはいえ、小望さん以外のギャルは怖いんだけどね…
「次は私…かな。私は、玲美睦月。みっちゃ…夏子ちゃんと同じ中学に通ってて、その頃から仲が良いです。学校行事委員、何をする委員会なのかは分からないけど、精いっぱい頑張ります。まずは一年間、よろしくお願いします。」
中学の頃から仲の良い友人扱い、頂きました!!言葉にされるだけで、ここまで嬉しいとは…!
うんうん。そうだね。やっぱり、伝えたいことは言葉にしないと伝わらない、よね。大事なことは、ちゃんと言葉にしよう…うん。身に沁みて感じたよ。
……十六夜さんと如月さんが話し出す気配もないし…これ、次は私…?
「わ、私の名前は、夏子文月…です。えーっと、とにかく、邪魔にならないように精いっぱい頑張ります!一年間よろしくお願いします!!」
と、とりあえずこんな感じで…いいよね?うん。大丈夫、当たり障りのない感じのはず。明らかに前3人より内容が極薄だけど、しょうがない。大丈夫。悪目立ちさえしなければ、大丈夫。
「じゃあお次は私《わたくし》ですわね。私の名前は十六夜姫香。AIを革新的に進化させた、あの十六夜家の娘ですわ。学校行事委員、何をする委員なのかは細かく言われていませんが…私がいる時点で、何事も心配はいりませんわ。とりあえず一年間、よろしくお願い致しますわ。」
「十六夜ちゃ~ん!早速だけど、姫って呼んでいい?」
「もちろんいいですわよ。私の名前はどこを取っても美しいのですから!」
「じゃああたしはひめっちって呼ぶねー!」
「じゃあ私は姫ちゃんって呼ぶね。」
皆が一斉に呼び名を言う。そして、如月さん以外みんなが私を見る。
…………これ、私も何て呼ぶか言う流れってやつ…?
普通に呼ぶなら十六夜さんだけど…姫、姫っち、姫ちゃん。私も何か姫関連の呼び方の方が良い…?いやでも、変なこと言って場が凍り付いたりしたら、私もそのまま心肺停止して死ぬよ?
…うん、やっぱり普通で行こう…盛り上がらなくとも、冷めはしないだろう。
「じゃ、じゃあ私は……………十六夜さんって呼ぶね…」
「いやめっちゃふつー!」
「これぞつきっち。」
「シンプルイズベストだよね。」
……え、これ、正解引いたやつ?それとも、みんなが優しすぎるやつ?…まぁ、明らかに後者だろう。
むっちゃんだけでなく、神無月さんと小望さんもフォローしてくれる。え、最高か?高校生活上手くいく気しかしないんだが?この高校、来てよかった!……あれ、でも、今私、退学の危機に陥ってるんだよね…
「次は私かしら?私は、如月凛。一応、そこのですわですわうるさいお嬢様に勝ち、首席合格しているわ。一つ、あなた達と馴れ合うつもりは無いわ。二つ、委員会の仕事はきちんとする。協力が必須なものは、必ず全力で協力すると誓うわ。三つ、姫香に頼ろうと思ったものは、先に私を頼りなさい。以上」
「四つ、凛は頼りにならないので頼らなくていいですわ。人に頼るのは恥ずかしいことでは無い。ので、私には、是非頼ってくださいまし。」
「おー、早速バチバチだねぇ」
「犬猿の仲ってヤツかな?」
私から見たら、結構強めの喧嘩なんだけど……二人にとっては多分、日常茶飯事なのだろう。
その証拠に、ほんの少し、ほんの少しだけ、如月さんの表情も、十六夜さんの表情も、和らいでいる気がする。
「如月ちゃーん!りんりんって呼んでもいい?」
「私はりんっち…はなんか言いにくいから……如月……きさらぎ……きさっち?きさっちって呼んで良い?」
恐れを知らない二人……だ、大丈夫?「ダメに決まってるでしょ。バカなの?頭悪いの?」くらい強烈なこと言われない?十六夜さんとのやり取り見てたら、それくらい言われそうだけど……
「好きにしなさい。」
………意外と寛容だった。あだ名で呼ぶのは馴れ合う、には入らないんだ…
「じゃあ私は凛ちゃんって呼ぶね。」
また、如月さん以外の四人が私を見る。………え、さっきと同じ流れだよね、これ?普通に、如月さんって呼びます。でいいんだよね…?
「じゃ、じゃあ私は……き、如月さんって呼ばせていただきます…」
「なんか緊張してない?ふみふみ。」
そりゃあ、めちゃくちゃ鋭い口喧嘩を見せられたばかりですから……三人に対しては大丈夫でも、私に対しては「は?あなた程度の存在が私の名を呼ぶつもりなの?やめてくれないかしら。底辺が伝染るわ。」とか言われるかもしれないじゃん!(言われない)
「呼び方なんて好きにしなさい。ただ、馴れ合うつもりは無いわ。」
「大丈夫ですわよ皆さん。凛は怖いのは口だけなので。遊びに誘えばついてくるのが凛という女なのですわよ。」
「ついて行かないわ。何を言ってるの?姫香。適当なこと言わないでくれる?」
十六夜さんが、座ってる如月さんの肩に手を置いて、言う。……なんか、この二人が仲良しに見えてきた。如月さんもその距離感に嫌がる様子ないし…
「そういえばー、二人はミッションどうだった?」
「何言ってるのよ。あなた達に言うわけないでしょう?」
「私は【一日喧嘩をしない】だったわ。簡単ですわね。凛が学校を休めば全てが解決するわ。」
「私が学校を休むなんてあり得ないわ。」
「そう。じゃあ物凄く難易度の高いミッションになりそうね。」
「お互い様よ。」
お互い様………ということは、如月さんも十六夜さんに関係のあるミッションという事か…?
「お互い様?」
「…私も姫香と同じミッションなのよ。」
「同じとかあるんだ!」
各々の性格に沿って作られるって言ってたから……如月さんと十六夜さんは似てるって事?……そうは見えないけど…
「あら、言ってしまって良かったのかしら?」
「いいのよ別に。どうせ変わらないのだから」
……確かに、二人とも超絶自信家というところは、似てる…あと、頭も良い。
…今はこれくらいしか共通点が分からない。けど、きっと、もっとあるのだろう。AIが言うのだから間違いない!
「あなた達はどのようなミッションだったのかしら?」
「私は、これー。」
「…一週間累計三時間自宅学習…………ま、まぁ、難しいか簡単かの価値観は人それぞれですわよね。」
「あたしはこれ。」
「…一日敬語……………これも、そうですわね。人によって価値観は違いますわよね。」
「簡単じゃん」とは決して言わない十六夜さん……私が抱いていた第一印象と大きく違った…
正直、「簡単すぎますわね。もはやこれをミッションと捉える必要性が無いほど…あ、すみませんね。あなたがたにとってはこれが難しい部類に入るのですわよね(笑)それは申し訳ないことをしたわ(笑)」的なこと言うと思ってた。(言うわけない)
「あ、それでね!つきちゃんのミッションがヤバくて…」
「ヤバいって…難しいという事ですの?」
「いや、そうじゃないんだよ…玲ちゃん、言っても大丈夫?」
「もちろん、大丈夫だよ。私は、これだったの。」
「…無し!?え、どういうことですの!?」
まぁ、そういう反応になるよね…
「私にも分からないよ…」
「ちょっと凛!これ見てみなさい!」
「何よ。………これ、玲美さんのかしら?」
「そうですわ。凛、私たちでもミッションありましたのに…」
「………これは…私達二人とも負けね…」
「そ、そんな…凛ちゃんと姫ちゃんとは、学力で差がありすぎるよ…」
ミッションでも勝負とかあるんだ…というか、やっぱりこの二人仲良くない?二人の会話で、お互いを認めてるのが分かるし…
ツンデレ×ツンデレの、ツンデレペアってこと…?
「りんりんと姫、勝負大好きだよね」
「この二人が認めるなんて…流石玲ちゃんだ…」
「ほんとほんと。流石むっちゃん」
「みっちゃんだけでなくルナちゃんと愛ちゃんまで……」
みっちゃん信者は永遠に増え続ける宿命なんだよ。みっちゃん。
「もう!私はいいから!」
「じゃあ次は、夏子さんのミッションですわね。」
「えーっと、私は…しょうもないミッションなので…」
「友達を作る」がミッションだなんて知られたら、友達がいないクソ陰キャであり、友達を作ることも出来ないクソカス陰キャだってことがバレちゃう……いや、もしかして変わらない?もうバレてるかもしれないし…
「みっちゃんは、友達を作るって言うミッションなの。私も、あいちゃんも、ルナちゃんも、ミッション前から友達だったから…手伝うことが出来なくて…」
「つまり、私に夏子さんと友達になって欲しい、という事ですわね?…そんなこと、言われなくても大丈夫ですわよ。私は、夏子さんのこと気に入ってますから。是非友達になりましょう!」
「えぇ!?」
たった二つの会話ラリーで私に友達が出来かけてる!?え、何、魔法?これもむっちゃんの魔法?
「え、いやそんな…」
「私じゃ不満ですの?」
「いやそんな!そんなわけないじゃないですか!わ、私にはもったいなさすぎるといいますかなんといいますか……」
「ややこしい性格してますわね…友達なんて…少し会話すれば友達ですわ。」
私にとっての「友達」というものへの価値観と、十六夜さんの価値観が違いすぎる……いや、そもそも私が「友達」に対して重すぎるだけなのかもしれない…
「友達を作るというミッション……もしかしたら、私《わたくし》が友達だと思っても、夏子さんが友達だと思ってなかったら意味が無いかもしれませんわね……」
「私ともちちは昨日話しただけだけど、友達だよ?」
「私も!」
「そういう事なら、きっと、私《わたくし》が高貴すぎて萎縮してるのですわ。仕方の無い事ですわ。なんせ、この私《わたくし》ですから!」
……なんというか、神無月さんと小望さんは距離の詰め方が尋常じゃなかったり、友達1000人いそうだったり、その1000人の中の一人ならまぁ、私でも大丈夫だろう。という感じだったのだが……十六夜さんは、最初からグイグイ来てた訳では無いし、何よりお嬢様だし、如月さんとよく喧嘩してたし。
結局、気持ちの問題だ。
「じゃあじゃあ~、姫とふみふみ、二人で遊んで来たら~?」
「えっ!?」
「…仲良くなるには手っ取り早い手段ですわね。」
え、え? いやいや、無理だよ。無理。私が二人っきりで遊べる人なんて、家族とむっちゃんしかいないよ。むっちゃんと二人っきりで遊ぶのすら難易度が高いのに!まだ仲良いと言っていいのか分からないくらいの距離感の十六夜さんと?お嬢様と!?
無理です
「さ、流石にそれは…」
「私はいい案だと思うけどなぁ…みっちゃん、それくらいしないと「友達」って思えないんじゃない?」
「…じゃ、じゃあせめてむっちゃんも──」
「もちろんダメだよつきっち?それじゃあ、結局ずっと玲ちゃんにくっついてるのが目に見えてるよ?」
「うぅぅ……」
みんな私の背中を押してくる…みんなから見たらその先が天国かもしれないけど、私から見たら崖に掛けられた一本の紐の上を歩けって言われてるようなものなんだよ…
いや、そもそもだ。そもそも、十六夜さんが許可を出すわけがないだろう。お嬢様だから、忙しそうだし!庶民の遊びとかしなさそうだし!!
「私は別に構いませんが…」
「えっ!?」
「そこまで否定されると流石の私も傷つきますわよ?」
「えっ!?いや、そんなつもりじゃ……」
いやでも、十六夜さんから見たら、自分と一緒に遊びたくなくて、何とか逃げようとしてる人、に見えるよね……それは無礼にもほどがある。
「あ、あのあのわたしぃ…友達と遊ぶとか、慣れていなくて…その、十六夜さんを楽しませるとか出来る気がしなくて…」
「何言ってるのよ。あなたが私《わたくし》を楽しませるのではなく──」
そう言いながら、近づいてくる十六夜さん。そしてそのまま私の顎を、手でクイッと…世間一般的に言われる、顎クイをされ───
「私《わたくし》が、あなたをエスコートしますわよ?」
「えっ、あ、あのそのえっと………」
「きゃー!姫かっこいいー!!」
「ひゅ~!イケメン姫っち~!」
「…バカバカしい」
「なんだか複雑な気分…」
…え、なにこれナニコレ。こういうの、陽キャじゃ普通なの?え、顔近いし。なんかいい匂いするし。顔良いし。金髪が綺麗だし……というか近い!!
「という訳で、今日の放課後、東京駅で遊びましょう。」
「は、はいぃ……」
私は、押しに弱かったらしい。
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