絆のトレーニングノート:始まりの春、強さの種

たまに何かを書く人

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第4章 仲間とつくった絆

第四節 誇りのかたち

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翌日の夕方。
スイミングスクールでの練習を終えたさち、ハル、ユキの3人は、並んで歩きながらハルとユキの家へと帰っていた。

「昨日の番組、すごかったよね……なんか、まだ夢みたい」

「学校の友達にも“見たよ!”って言われた~!」

「私も。“さちの腕、やばくない?”って言われたよ(笑)」

3人は笑い合いながら、互いの顔を見合わせる。
その表情には、はっきりとした自信と、誇りが宿っていた。

玄関のドアを開けると、リビングからにぎやかな声が聞こえてきた。

「ただいま~!」

「おかえり!」

そこには、ハルとユキの両親――たくみとあかね、そして珍しく遊びに来ていたさちの母・真由美の姿があった。
テレビでは、昨晩の特集番組がちょうど再生されていた。
3人の映像が映るたび、部屋の空気がほんのりと温まっていく。

「いやあ……何度見てもいいなあ、これ」

たくみが目を細めて言う。

「ほんとよ。さちちゃん、あのシーン見て泣いちゃってたわよ」

あかねが笑いながら言うと、さちは照れくさそうに目をそらした。

「……ちょっとだけ、ね」

ユキがいたずらっぽくさちを見て言う。

「でもさ、パパやママに“見せられた”の、やっぱりうれしいよね」

ハルは自分の肩を軽くたたきながら言った。

「パパ、ママ、ここ。肩のライン、変わったと思わない?」

「たしかに……前より筋肉がついて、丸みが出てるかも」

「ユキはお腹、ほんとに引き締まってるよね~」

「ふふ、でしょ?」

さちも、ちょっとだけシャツの裾をめくって言った。

「私も……それなりに、成果はあると思う!」

そのとき、真由美が静かに立ち上がり、娘を見つめて言った。

「本当に、すごいわよ。さち、あなたがここまでやり抜くなんて……正直、最初は信じられなかった。
でも今は、心から誇りに思ってる。……ハルちゃん、ユキちゃん。ありがとうね。うちの子に、強くなるきっかけをくれて」

あかねがそっと真由美の肩に手を添えた。

「とんでもないです。私たちこそ驚いてますよ。娘たちが、こんなに本気になるなんて。
3人だったからこそ、ここまで続けてこられたんだと思います」

たくみがうなずきながら言った。

「全国大会、もちろん全力で応援するよ。
たとえ出場しなくても、君たちはもう“全国レベルの努力”をしてきたって、胸を張っていい」

3人は、しっかりと頷いた。

「よし……またあの特集みたいな自分たちに近づけるように、頑張ろう!」

「“今の自分たち”に満足しない!」

「だって、これはまだ途中だもん。もっと強くなる!」

その夜のトレーニングでは、いつもよりメニューを少しだけ増やし、ストレッチにも時間をかけた。
テレビの光がほのかに残る部屋の中で、3人の絆と身体はまた一歩、確かに前へと進んでいた。 
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