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正しさの家
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夕方、窓の外が薄く暗くなり始めていた。
カーテンは半分だけ閉められていて、隙間から入る光が、机の端を斜めに切っている。
その線の上に、答案用紙が置かれていた。
父は椅子に深く腰掛け、足を組み、ペンを持っている。
黒いボールペンの先が、紙の上で止まったまま動かない。
コツ、コツ、と。
ペン先が、机を叩く音がする。
規則正しい音ではない。
思いついたときだけ、短く鳴る。
優は、その音が鳴るたびに肩をすくめた。
「……ここ」
父が、答案の一箇所を指す。
指先が影を作る。
影の中に、数字が沈む。
九十九。
「惜しい、じゃ意味がない」
声は低く、静かだ。
怒っていない。
苛立ってもいない。
それが余計に、逃げ場をなくす。
優は椅子の背にもたれたまま、視線を下げる。
鉛筆を持つ手のひらが、じっとりと湿っている。
どこが間違いだったのか、説明しろと言われたら、分からない。
分からないことを、分からないと言う勇気もない。
母が、台所から戻ってくる。
エプロンの裾が、椅子の脚に軽く当たる。
「今日は難しかったよね」
母はそう言いながら、答案を覗き込む。
目線が、優の手に止まる。
震えているのが分かる。
「ちゃんと考えてたでしょ」
その瞬間、
コツ、と音がした。
父のペンが、机を叩く。
「そこで慰めるから、伸びない」
母の動きが、一瞬止まる。
返事をしようとして、言葉を探す。
だが、その間に父は続ける。
「失敗は失敗として処理しないと、次に進めない。
情緒で誤魔化すのは、本人のためにならない」
ペン先が、また机に触れる。
コツ。
コツ。
優の視線が、自然とペンに吸い寄せられる。
音が鳴るたびに、胸の奥がきゅっと縮む。
母は、何か言おうとして、結局言わない。
唇が一度だけ動いて、閉じる。
「……ご飯、冷めるわね」
場違いな言葉だった。
父は、視線を答案から外さない。
「後でいい」
その一言で、母は黙る。
台所に戻る足音が、少し早い。
優は、背中を丸めたまま考える。
ママが喋ると、空気が重くなる。
パパが喋ると、話が進む。
その違いを、言葉にしないまま、体が覚え始めていた。
夜、布団に入っても、
あの音が耳に残っている。
コツ。
コツ。
暗い天井を見つめながら、父の声がよみがえる。
「ママが庇うから」
「逃げ道があるから」
「だから中途半端になる」
最初は、違うと思った。
ママは、守ってくれているだけだ。
それが悪いわけがない。
でも、何度も聞く。
同じ言葉を。
同じ調子で。
そのたびに、
ペンの音が頭の中で鳴る。
コツ。
コツ。
母は、最近よく包丁を落とす。
鍋の蓋を閉める音が、大きくなる。
優は、その音にびくっとする。
でも、父は気にしない。
「集中しろ」
それだけだ。
⸻
朝の光が、やけに白かった。
カーテンの隙間から入る光が、床を四角く切り取っている。
そこに、優のランドセルが置かれていた。
いつもと同じ場所。
いつもと同じ朝。
でも、音が少なかった。
台所から聞こえるはずの、
包丁がまな板に当たる音がない。
フライパンの油のはぜる音もない。
代わりに、
湯のみを置く音だけがした。
コト。
優は居間に出る。
母はテーブルに座っていた。
背筋は伸びているのに、
手だけが、膝の上で落ち着かない。
父は、すでにスーツ姿だった。
ネクタイを締め終え、
腕時計を一度だけ確認する。
母は、
優の給食袋をたたんで、
机の上に置く。
布の端を揃えて、
いつも通りに。
父は、それを見ても何も言わない。
そこに意味があるとは思っていないからだ。
代わりに、
腕時計を見る。
秒針の音が、やけに耳につく。
「今日は学校、休む」
父は、そう言った。
理由は言わない。
優は、何も聞かない。
聞くタイミングが分からない。
母が、優を見る。
「優ちゃん」
声は、いつもより柔らかい。
柔らかすぎて、逆に引っかかる。
「今日はね、ママ……ちょっと、出かけるだけ」
“だけ”という言葉が、宙に浮く。
父が、すぐに続ける。
「最近、具合が悪いだろう」
母は一瞬、父を見る。
その視線に、警戒が混じる。
「病院に行くほどじゃ……」
言い切る前に、
父が言葉を重ねる。
「昨日も、頭が痛いって言ってただろう」
母は黙る。
言った気もするし、
言っていない気もする。
その曖昧さが、
いつの間にか“事実”に変わっていく。
優は、二人の顔を交互に見る。
話が進んでいるのに、
自分が置いていかれている感じがする。
母は、立ち上がる。
「じゃあ……少しだけ、ね」
その言い方は、
自分に言い聞かせる声だった。
玄関で、母は靴を履く。
かかとを踏み外して、一度だけよろける。
「大丈夫」
父が言う。
手は出さない。
優は、その背中を見ている。
外に出ると、
朝の音が一気に流れ込む。
車のエンジン音。
遠くの話し声。
いつもと同じ、普通の朝。
その瞬間だった。
母が、立ち止まる。
玄関から一歩出たところで、
急に振り返る。
「……やっぱり、嫌」
声が、低くなる。
「今日は、行かない」
父が、静かに言う。
「何を言ってる」
母の呼吸が荒くなる。
胸が上下して、
目が、優を見る。
「優ちゃん」
その呼び方が、
いつもと違った。
説明じゃない。
お願いでもない。
“連れていかれる”と、
分かった声だった。
優は、一歩近づこうとする。
でも、父の手が、肩に置かれる。
重い。
逃げられないほどではないが、
動こうと思えない。
母が、急に走る。
優にしがみつく。
「離さない」
声が割れる。
「一緒にいるの!」
その瞬間、
父の顔が、ほんの少し歪む。
苛立ちでも怒りでもない。
計画が狂った顔。
「ほら」
父は、優に向かって言う。
「これだ」
母は泣いて、叫んで、
必死に腕に力を込める。
理由はない。
理屈もない。
ただ、
子どもと引き離されると分かった体が、
勝手に動いている。
父は、知らない大人に目配せする。
「すみません、取り乱して」
その言葉が、
母の声を消す。
母の腕が、引き剥がされる。
「優ちゃん!」
その声が、
途中で途切れる。
母の姿は、人の影に隠れて見えなくなった。
優は、その場に立ったまま、
何もできない。
父が、低い声で言う。
「可哀想だろう?」
その言葉が、
母の姿を“別のもの”に変える。
優は、うなずく。
そうしないと、
今見ている光景を、
理解できなくなる気がした。
父は、その反応を見て、ほんの一瞬だけ息を吐いた。
計算が合った、という顔だった。
無駄が多い。
最近、そう思うことが増えた。
会話も、動線も、感情も。
特に、あれだ。
優の前で泣く。
抱きしめる。
「大丈夫」と言う。
全部、不要だ。
結果が出ない理由は明確だ。
逃げ場があるからだ。
病院の話は、前から進めていた。
知人の紹介だ。
実績がある。
金で、時間と手間を買える。
「家庭の事情にも配慮します」
いい言葉だ。
要するに、
こちらの都合を優先してくれる。
——選ぶ相手を、間違えた。
ふと、そう思った。
教養のない女を選ぶんじゃなかった。
だから、息子もこうなった。
理屈としては、綺麗に繋がる。
冷酷じゃない。
合理的な最適化だ。
⸻
ドアが閉まる音が、短く鳴った。
外の空気が遮断されて、車内の匂いだけが残る。
新しいわけでも、古いわけでもない。
父の車の匂いだ。
エンジンがかかる。
低い振動が、足元から伝わる。
シートベルトの金具が、胸の前で軽く鳴る。
カチ。
父は、何も言わないまま車を出す。
ウインカーの音が、一定の間隔で続く。
カチ、カチ。
朝の道は混んでいない。
コンビニの前で、制服の人が立っている。
信号が青に変わる。
父は、ハンドルを握ったまま、前を見ている。
「……怖かったか」
問いかけは、独り言みたいだった。
優は、返事をしない。
喉の奥が詰まって、声が出ない。
「びっくりしただろう」
父は、そう言ってから少し間を置く。
返事を待っているわけではない。
言葉が、落ち着くのを待っている。
「ママは、最近ああなんだ」
信号で止まる。
赤い光が、フロントガラスに反射する。
優の膝の上にも、赤が落ちる。
「疲れが溜まると、ああなる」
父は、ため息をつく。
深くも、長くもない。
「可哀想だよな」
その言葉が、ゆっくり車内に広がる。
さっき見た光景が、頭に浮かぶ。
母の顔。
声。
腕の力。
優は、ぎゅっと手を握る。
「でもな」
父の声が、少しだけ柔らかくなる。
「お前のせいじゃない」
それは、優が一番欲しかった言葉だった。
胸の奥が、少しだけ緩む。
「ママが、うまく自分を保てなくなっただけだ」
交差点を曲がる。
タイヤが、静かに音を立てる。
「こういうのは、大人の問題だ」
大人、という言葉が、線を引く。
優は、その線の外に出る。
「だから、さっきのことは」
父は、少し間を置いてから言う。
「病気なんだ」
言い切りだった。
疑問を挟む余地がない。
「病気の人は、正常な判断ができない」
父は、教えるように話す。
学校の授業みたいに。
「暴れたり、泣いたりするのも、そのせいだ」
ワイパーが、一度だけ動く。
窓に残っていた水滴が、流れる。
「だから、可哀想だろう?」
また、その言葉だ。
可哀想。
そう思えば、
怒らなくていい。
考えなくていい。
優は、ゆっくり頷く。
「……うん」
自分の声が、遠くに聞こえる。
父は、その返事を聞いて、
少しだけ肩の力を抜く。
「よく分かってるな」
褒められた気がして、
胸の奥が、ちくりと痛む。
「正しいことをしたんだ」
父は、そう言って、
もう一度前を見る。
「これで、全部うまくいく」
車は、一定の速度で進む。
街の景色が、流れていく。
優は、窓の外を見る。
さっきの家が、もう見えない。
見えなくなった、という事実だけが、
はっきり残る。
母の声は、
もう、聞こえない。
その代わりに、
父の言葉が、頭の中で繰り返される。
——病気。
——可哀想。
——正しいこと。
それが、
この朝の出来事の説明として残る。
⸻
病院の自動ドアが開くと、空気が変わった。
外の朝の匂いが切れて、少し湿った、消毒とも石鹸ともつかない匂いが鼻に残る。
床は白い。
白すぎて、足元の影が薄い。
受付のカウンターの向こうで、キーボードを叩く音がする。
カタ、カタ。
一定の速さで、止まらない。
父は、迷わず近づく。
書類を出す。
名前を告げる。
「予約は――」
「通っています」
その一言で、話は早くなる。
父の声は落ち着いている。
慣れている、というより、想定してきた声だ。
優は、少し遅れてついていく。
床の線を踏まないように歩く。
白い線と白い床の境目が、やけに気になる。
廊下は長い。
壁に貼られたポスターが、途中で剥がれている。
端がめくれて、影ができている。
待合室には、人がいる。
年齢も、服装もばらばらだ。
みんな、静かに座っている。
テレビがついている。
音量は小さい。
天気予報の文字だけが、やけに大きい。
「お掛けください」
父は、優を椅子に座らせる。
自分は立ったまま、壁にもたれる。
母はいない。
その事実が、
ここに来て、はっきり形になる。
隣の椅子で、誰かが咳をする。
紙コップの水が、テーブルに置かれる音。
カサ、と乾いた音。
「大変ですね」
知らない女が、父に声をかける。
声を潜めているが、聞こえる。
「最近、多いらしいですよ」
父は、小さくうなずく。
「よくあるケースです」
女は、安心したように笑う。
「うちの親戚も、同じ病院なんです」
クスクス、と小さな笑い声。
それが、別の笑い声を呼ぶ。
「ここ、有名ですよね」
「ちゃんとしてる」
優は、その会話を聞きながら、
母の声を思い出そうとする。
さっきまで、聞こえていたはずの声。
呼ばれていた名前。
でも、
音として思い出せない。
呼ばれた、という感覚だけが残る。
番号が呼ばれる。
父が立ち上がる。
優も、反射的に立つ。
「ママは?」
口に出した瞬間、
自分でも驚く。
父は、少しだけ顔をしかめる。
「今は、会えない」
理由は言わない。
言わなくても、話は進む。
白い部屋。
机。
椅子。
医師は、カルテを見る。
「お子さんの前で取り乱すのは、良くないですね」
父は、深くうなずく。
「本人のためです」
その言葉が、
何度も部屋に反射する。
本人。
ため。
優は、椅子に座ったまま、
床を見ている。
タイルの継ぎ目に、
小さな汚れがある。
それを、じっと見ている。
いつの間にか、
話は終わっていた。
父が立ち上がる。
優の肩に手を置く。
「行こう」
その言葉に、
逆らう理由はない。
母のことは、
誰も、もう話さない。
⸻
夢を見た。
名前を呼ばれる。
優ちゃん、と。
声のするほうを見ると、母がいた。
川沿いの遊歩道。
昔と同じ場所。
光が、柔らかい。
水の音が、近い。
母は、少し前屈みで立っている。
腕を広げている。
体が、勝手に動く。
考えるより先に、走っている。
抱きしめられる。
細い腕。
懐かしい匂い。
顔を埋めると、胸が上下するのが分かる。
息が詰まる。
泣いている、と気づくまで時間がかかった。
声は出ていない。
ただ、涙だけが落ちる。
「ママ」
言葉にした瞬間、
胸の奥が、音を立てて崩れる。
母は、強く抱き返す。
逃がさない、という力。
それが、
あまりに自然で、
あまりに当然で。
——ああ、そうだった。
こうして呼べた。
こうして、抱きしめてもらえた。
目が覚める。
天井がある。
静かな部屋。
時計の音だけが聞こえる。
枕が、少し濡れている。
声を出さずに、
名前を呼んだことだけが、
夢の中に残っている。
⸻
リビングに行くと、父がすでに座っていた。
背もたれに深くもたれ、新聞を広げている。紙の擦れる音だけが、部屋に残っている。
朝の食事は、家政婦が用意していた。
白い皿に、同じ量。
箸の向きも、位置も、いつも通りだ。
味は、分からなかった。
噛んでいるはずなのに、
口の中で何が起きているのかが、曖昧だ。
飲み込むたび、喉が一瞬ひっかかる。
優は最後の一口を口に入れる。
噛まずに、飲み込む。
家政婦が、黙って湯のみを置く。
底が卓に触れる、短い音。
そのあと、少し遅れて、受け皿の音。
誰も、余計なことを言わない。
父は新聞から目を離さず、
コーヒーに口をつける。
「今日のテスト」
低い声だった。
問いかけではない。
「今日こそ、百点だな」
断定だった。
期待でも、確認でもない。
そうであるはず、という言い方。
返事をする前に、
胸の奥で、何かが小さく音を立てて崩れた。
「……うん」
声は、自分のものに聞こえなかった。
父は、それで満足したらしい。
「よし」とも「頑張れ」とも言わない。
結果は、もう決まっているからだ。
食器の触れる音。
家政婦が、次の皿を運ぶ音。
スリッパが床を擦る音。
どれも、静かだ。
静かすぎて、息の仕方が分からなくなる。
父は、こちらを見ない。
見なくても、結果は分かると思っている。
そのことが、はっきり伝わる。
——もう、庇ってくれる人はいない。
その考えが、突然浮かんだわけではなかった。
ずっと前から、薄く積もっていたものが、
今朝、形になっただけだった。
言い訳を受け止める人も、
途中を見てくれる人も、
「よくやった」と言ってくれる人も、
もう、ここにはいない。
窓の外で、蝉が鳴いた。
一匹だけではない。
重なって、遠くで鳴いている。
夏は、何も変わらない顔で始まる
優は、リビングを見回す。
音も、光も、位置も、すべてが整っている。
整いすぎていて、
逃げる場所がない。
逃げる場所がない、というより、
最初から逃げるという発想が許されていない家だった。
音はあるのに、
この家の中には、温かいものが何もない。
父が、新聞を畳む。
紙の擦れる音が、やけに大きく聞こえた。
「もう、あいつはいないからな」
視線は、紙面のままだ。
「優も、安心して勉強できる」
笑った、と思った。
でも、口元が動いただけかもしれない。
胸の奥が、きゅっと縮む。
手の先が冷たくなる。
椅子に座っているだけなのに、
体が遠くへ引っ張られていく感じがした。
母の声を、思い出そうとする。
どんなふうに呼ばれていたか。
どんな温度だったか。
うまく出てこない。
代わりに浮かぶのは、
白い壁と、
閉まる扉の音。
——きっと。
何の根拠もないのに、
そう思ってしまう。
ぼくも、
いつか同じ場所へ行く。
同じように、
誰にも届かない声を出して、
病気だと説明されて、
正しさの中に片づけられる。
蝉の声が、また聞こえる。
遠くで、
ずっと鳴いている。
カーテンは半分だけ閉められていて、隙間から入る光が、机の端を斜めに切っている。
その線の上に、答案用紙が置かれていた。
父は椅子に深く腰掛け、足を組み、ペンを持っている。
黒いボールペンの先が、紙の上で止まったまま動かない。
コツ、コツ、と。
ペン先が、机を叩く音がする。
規則正しい音ではない。
思いついたときだけ、短く鳴る。
優は、その音が鳴るたびに肩をすくめた。
「……ここ」
父が、答案の一箇所を指す。
指先が影を作る。
影の中に、数字が沈む。
九十九。
「惜しい、じゃ意味がない」
声は低く、静かだ。
怒っていない。
苛立ってもいない。
それが余計に、逃げ場をなくす。
優は椅子の背にもたれたまま、視線を下げる。
鉛筆を持つ手のひらが、じっとりと湿っている。
どこが間違いだったのか、説明しろと言われたら、分からない。
分からないことを、分からないと言う勇気もない。
母が、台所から戻ってくる。
エプロンの裾が、椅子の脚に軽く当たる。
「今日は難しかったよね」
母はそう言いながら、答案を覗き込む。
目線が、優の手に止まる。
震えているのが分かる。
「ちゃんと考えてたでしょ」
その瞬間、
コツ、と音がした。
父のペンが、机を叩く。
「そこで慰めるから、伸びない」
母の動きが、一瞬止まる。
返事をしようとして、言葉を探す。
だが、その間に父は続ける。
「失敗は失敗として処理しないと、次に進めない。
情緒で誤魔化すのは、本人のためにならない」
ペン先が、また机に触れる。
コツ。
コツ。
優の視線が、自然とペンに吸い寄せられる。
音が鳴るたびに、胸の奥がきゅっと縮む。
母は、何か言おうとして、結局言わない。
唇が一度だけ動いて、閉じる。
「……ご飯、冷めるわね」
場違いな言葉だった。
父は、視線を答案から外さない。
「後でいい」
その一言で、母は黙る。
台所に戻る足音が、少し早い。
優は、背中を丸めたまま考える。
ママが喋ると、空気が重くなる。
パパが喋ると、話が進む。
その違いを、言葉にしないまま、体が覚え始めていた。
夜、布団に入っても、
あの音が耳に残っている。
コツ。
コツ。
暗い天井を見つめながら、父の声がよみがえる。
「ママが庇うから」
「逃げ道があるから」
「だから中途半端になる」
最初は、違うと思った。
ママは、守ってくれているだけだ。
それが悪いわけがない。
でも、何度も聞く。
同じ言葉を。
同じ調子で。
そのたびに、
ペンの音が頭の中で鳴る。
コツ。
コツ。
母は、最近よく包丁を落とす。
鍋の蓋を閉める音が、大きくなる。
優は、その音にびくっとする。
でも、父は気にしない。
「集中しろ」
それだけだ。
⸻
朝の光が、やけに白かった。
カーテンの隙間から入る光が、床を四角く切り取っている。
そこに、優のランドセルが置かれていた。
いつもと同じ場所。
いつもと同じ朝。
でも、音が少なかった。
台所から聞こえるはずの、
包丁がまな板に当たる音がない。
フライパンの油のはぜる音もない。
代わりに、
湯のみを置く音だけがした。
コト。
優は居間に出る。
母はテーブルに座っていた。
背筋は伸びているのに、
手だけが、膝の上で落ち着かない。
父は、すでにスーツ姿だった。
ネクタイを締め終え、
腕時計を一度だけ確認する。
母は、
優の給食袋をたたんで、
机の上に置く。
布の端を揃えて、
いつも通りに。
父は、それを見ても何も言わない。
そこに意味があるとは思っていないからだ。
代わりに、
腕時計を見る。
秒針の音が、やけに耳につく。
「今日は学校、休む」
父は、そう言った。
理由は言わない。
優は、何も聞かない。
聞くタイミングが分からない。
母が、優を見る。
「優ちゃん」
声は、いつもより柔らかい。
柔らかすぎて、逆に引っかかる。
「今日はね、ママ……ちょっと、出かけるだけ」
“だけ”という言葉が、宙に浮く。
父が、すぐに続ける。
「最近、具合が悪いだろう」
母は一瞬、父を見る。
その視線に、警戒が混じる。
「病院に行くほどじゃ……」
言い切る前に、
父が言葉を重ねる。
「昨日も、頭が痛いって言ってただろう」
母は黙る。
言った気もするし、
言っていない気もする。
その曖昧さが、
いつの間にか“事実”に変わっていく。
優は、二人の顔を交互に見る。
話が進んでいるのに、
自分が置いていかれている感じがする。
母は、立ち上がる。
「じゃあ……少しだけ、ね」
その言い方は、
自分に言い聞かせる声だった。
玄関で、母は靴を履く。
かかとを踏み外して、一度だけよろける。
「大丈夫」
父が言う。
手は出さない。
優は、その背中を見ている。
外に出ると、
朝の音が一気に流れ込む。
車のエンジン音。
遠くの話し声。
いつもと同じ、普通の朝。
その瞬間だった。
母が、立ち止まる。
玄関から一歩出たところで、
急に振り返る。
「……やっぱり、嫌」
声が、低くなる。
「今日は、行かない」
父が、静かに言う。
「何を言ってる」
母の呼吸が荒くなる。
胸が上下して、
目が、優を見る。
「優ちゃん」
その呼び方が、
いつもと違った。
説明じゃない。
お願いでもない。
“連れていかれる”と、
分かった声だった。
優は、一歩近づこうとする。
でも、父の手が、肩に置かれる。
重い。
逃げられないほどではないが、
動こうと思えない。
母が、急に走る。
優にしがみつく。
「離さない」
声が割れる。
「一緒にいるの!」
その瞬間、
父の顔が、ほんの少し歪む。
苛立ちでも怒りでもない。
計画が狂った顔。
「ほら」
父は、優に向かって言う。
「これだ」
母は泣いて、叫んで、
必死に腕に力を込める。
理由はない。
理屈もない。
ただ、
子どもと引き離されると分かった体が、
勝手に動いている。
父は、知らない大人に目配せする。
「すみません、取り乱して」
その言葉が、
母の声を消す。
母の腕が、引き剥がされる。
「優ちゃん!」
その声が、
途中で途切れる。
母の姿は、人の影に隠れて見えなくなった。
優は、その場に立ったまま、
何もできない。
父が、低い声で言う。
「可哀想だろう?」
その言葉が、
母の姿を“別のもの”に変える。
優は、うなずく。
そうしないと、
今見ている光景を、
理解できなくなる気がした。
父は、その反応を見て、ほんの一瞬だけ息を吐いた。
計算が合った、という顔だった。
無駄が多い。
最近、そう思うことが増えた。
会話も、動線も、感情も。
特に、あれだ。
優の前で泣く。
抱きしめる。
「大丈夫」と言う。
全部、不要だ。
結果が出ない理由は明確だ。
逃げ場があるからだ。
病院の話は、前から進めていた。
知人の紹介だ。
実績がある。
金で、時間と手間を買える。
「家庭の事情にも配慮します」
いい言葉だ。
要するに、
こちらの都合を優先してくれる。
——選ぶ相手を、間違えた。
ふと、そう思った。
教養のない女を選ぶんじゃなかった。
だから、息子もこうなった。
理屈としては、綺麗に繋がる。
冷酷じゃない。
合理的な最適化だ。
⸻
ドアが閉まる音が、短く鳴った。
外の空気が遮断されて、車内の匂いだけが残る。
新しいわけでも、古いわけでもない。
父の車の匂いだ。
エンジンがかかる。
低い振動が、足元から伝わる。
シートベルトの金具が、胸の前で軽く鳴る。
カチ。
父は、何も言わないまま車を出す。
ウインカーの音が、一定の間隔で続く。
カチ、カチ。
朝の道は混んでいない。
コンビニの前で、制服の人が立っている。
信号が青に変わる。
父は、ハンドルを握ったまま、前を見ている。
「……怖かったか」
問いかけは、独り言みたいだった。
優は、返事をしない。
喉の奥が詰まって、声が出ない。
「びっくりしただろう」
父は、そう言ってから少し間を置く。
返事を待っているわけではない。
言葉が、落ち着くのを待っている。
「ママは、最近ああなんだ」
信号で止まる。
赤い光が、フロントガラスに反射する。
優の膝の上にも、赤が落ちる。
「疲れが溜まると、ああなる」
父は、ため息をつく。
深くも、長くもない。
「可哀想だよな」
その言葉が、ゆっくり車内に広がる。
さっき見た光景が、頭に浮かぶ。
母の顔。
声。
腕の力。
優は、ぎゅっと手を握る。
「でもな」
父の声が、少しだけ柔らかくなる。
「お前のせいじゃない」
それは、優が一番欲しかった言葉だった。
胸の奥が、少しだけ緩む。
「ママが、うまく自分を保てなくなっただけだ」
交差点を曲がる。
タイヤが、静かに音を立てる。
「こういうのは、大人の問題だ」
大人、という言葉が、線を引く。
優は、その線の外に出る。
「だから、さっきのことは」
父は、少し間を置いてから言う。
「病気なんだ」
言い切りだった。
疑問を挟む余地がない。
「病気の人は、正常な判断ができない」
父は、教えるように話す。
学校の授業みたいに。
「暴れたり、泣いたりするのも、そのせいだ」
ワイパーが、一度だけ動く。
窓に残っていた水滴が、流れる。
「だから、可哀想だろう?」
また、その言葉だ。
可哀想。
そう思えば、
怒らなくていい。
考えなくていい。
優は、ゆっくり頷く。
「……うん」
自分の声が、遠くに聞こえる。
父は、その返事を聞いて、
少しだけ肩の力を抜く。
「よく分かってるな」
褒められた気がして、
胸の奥が、ちくりと痛む。
「正しいことをしたんだ」
父は、そう言って、
もう一度前を見る。
「これで、全部うまくいく」
車は、一定の速度で進む。
街の景色が、流れていく。
優は、窓の外を見る。
さっきの家が、もう見えない。
見えなくなった、という事実だけが、
はっきり残る。
母の声は、
もう、聞こえない。
その代わりに、
父の言葉が、頭の中で繰り返される。
——病気。
——可哀想。
——正しいこと。
それが、
この朝の出来事の説明として残る。
⸻
病院の自動ドアが開くと、空気が変わった。
外の朝の匂いが切れて、少し湿った、消毒とも石鹸ともつかない匂いが鼻に残る。
床は白い。
白すぎて、足元の影が薄い。
受付のカウンターの向こうで、キーボードを叩く音がする。
カタ、カタ。
一定の速さで、止まらない。
父は、迷わず近づく。
書類を出す。
名前を告げる。
「予約は――」
「通っています」
その一言で、話は早くなる。
父の声は落ち着いている。
慣れている、というより、想定してきた声だ。
優は、少し遅れてついていく。
床の線を踏まないように歩く。
白い線と白い床の境目が、やけに気になる。
廊下は長い。
壁に貼られたポスターが、途中で剥がれている。
端がめくれて、影ができている。
待合室には、人がいる。
年齢も、服装もばらばらだ。
みんな、静かに座っている。
テレビがついている。
音量は小さい。
天気予報の文字だけが、やけに大きい。
「お掛けください」
父は、優を椅子に座らせる。
自分は立ったまま、壁にもたれる。
母はいない。
その事実が、
ここに来て、はっきり形になる。
隣の椅子で、誰かが咳をする。
紙コップの水が、テーブルに置かれる音。
カサ、と乾いた音。
「大変ですね」
知らない女が、父に声をかける。
声を潜めているが、聞こえる。
「最近、多いらしいですよ」
父は、小さくうなずく。
「よくあるケースです」
女は、安心したように笑う。
「うちの親戚も、同じ病院なんです」
クスクス、と小さな笑い声。
それが、別の笑い声を呼ぶ。
「ここ、有名ですよね」
「ちゃんとしてる」
優は、その会話を聞きながら、
母の声を思い出そうとする。
さっきまで、聞こえていたはずの声。
呼ばれていた名前。
でも、
音として思い出せない。
呼ばれた、という感覚だけが残る。
番号が呼ばれる。
父が立ち上がる。
優も、反射的に立つ。
「ママは?」
口に出した瞬間、
自分でも驚く。
父は、少しだけ顔をしかめる。
「今は、会えない」
理由は言わない。
言わなくても、話は進む。
白い部屋。
机。
椅子。
医師は、カルテを見る。
「お子さんの前で取り乱すのは、良くないですね」
父は、深くうなずく。
「本人のためです」
その言葉が、
何度も部屋に反射する。
本人。
ため。
優は、椅子に座ったまま、
床を見ている。
タイルの継ぎ目に、
小さな汚れがある。
それを、じっと見ている。
いつの間にか、
話は終わっていた。
父が立ち上がる。
優の肩に手を置く。
「行こう」
その言葉に、
逆らう理由はない。
母のことは、
誰も、もう話さない。
⸻
夢を見た。
名前を呼ばれる。
優ちゃん、と。
声のするほうを見ると、母がいた。
川沿いの遊歩道。
昔と同じ場所。
光が、柔らかい。
水の音が、近い。
母は、少し前屈みで立っている。
腕を広げている。
体が、勝手に動く。
考えるより先に、走っている。
抱きしめられる。
細い腕。
懐かしい匂い。
顔を埋めると、胸が上下するのが分かる。
息が詰まる。
泣いている、と気づくまで時間がかかった。
声は出ていない。
ただ、涙だけが落ちる。
「ママ」
言葉にした瞬間、
胸の奥が、音を立てて崩れる。
母は、強く抱き返す。
逃がさない、という力。
それが、
あまりに自然で、
あまりに当然で。
——ああ、そうだった。
こうして呼べた。
こうして、抱きしめてもらえた。
目が覚める。
天井がある。
静かな部屋。
時計の音だけが聞こえる。
枕が、少し濡れている。
声を出さずに、
名前を呼んだことだけが、
夢の中に残っている。
⸻
リビングに行くと、父がすでに座っていた。
背もたれに深くもたれ、新聞を広げている。紙の擦れる音だけが、部屋に残っている。
朝の食事は、家政婦が用意していた。
白い皿に、同じ量。
箸の向きも、位置も、いつも通りだ。
味は、分からなかった。
噛んでいるはずなのに、
口の中で何が起きているのかが、曖昧だ。
飲み込むたび、喉が一瞬ひっかかる。
優は最後の一口を口に入れる。
噛まずに、飲み込む。
家政婦が、黙って湯のみを置く。
底が卓に触れる、短い音。
そのあと、少し遅れて、受け皿の音。
誰も、余計なことを言わない。
父は新聞から目を離さず、
コーヒーに口をつける。
「今日のテスト」
低い声だった。
問いかけではない。
「今日こそ、百点だな」
断定だった。
期待でも、確認でもない。
そうであるはず、という言い方。
返事をする前に、
胸の奥で、何かが小さく音を立てて崩れた。
「……うん」
声は、自分のものに聞こえなかった。
父は、それで満足したらしい。
「よし」とも「頑張れ」とも言わない。
結果は、もう決まっているからだ。
食器の触れる音。
家政婦が、次の皿を運ぶ音。
スリッパが床を擦る音。
どれも、静かだ。
静かすぎて、息の仕方が分からなくなる。
父は、こちらを見ない。
見なくても、結果は分かると思っている。
そのことが、はっきり伝わる。
——もう、庇ってくれる人はいない。
その考えが、突然浮かんだわけではなかった。
ずっと前から、薄く積もっていたものが、
今朝、形になっただけだった。
言い訳を受け止める人も、
途中を見てくれる人も、
「よくやった」と言ってくれる人も、
もう、ここにはいない。
窓の外で、蝉が鳴いた。
一匹だけではない。
重なって、遠くで鳴いている。
夏は、何も変わらない顔で始まる
優は、リビングを見回す。
音も、光も、位置も、すべてが整っている。
整いすぎていて、
逃げる場所がない。
逃げる場所がない、というより、
最初から逃げるという発想が許されていない家だった。
音はあるのに、
この家の中には、温かいものが何もない。
父が、新聞を畳む。
紙の擦れる音が、やけに大きく聞こえた。
「もう、あいつはいないからな」
視線は、紙面のままだ。
「優も、安心して勉強できる」
笑った、と思った。
でも、口元が動いただけかもしれない。
胸の奥が、きゅっと縮む。
手の先が冷たくなる。
椅子に座っているだけなのに、
体が遠くへ引っ張られていく感じがした。
母の声を、思い出そうとする。
どんなふうに呼ばれていたか。
どんな温度だったか。
うまく出てこない。
代わりに浮かぶのは、
白い壁と、
閉まる扉の音。
——きっと。
何の根拠もないのに、
そう思ってしまう。
ぼくも、
いつか同じ場所へ行く。
同じように、
誰にも届かない声を出して、
病気だと説明されて、
正しさの中に片づけられる。
蝉の声が、また聞こえる。
遠くで、
ずっと鳴いている。
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